現在、東京都現代美術館で開催されているのは、
“(UN)KNOWN HIROKO KOSHINO ―新説/真説 コシノヒロコ―”。
日本を代表するファッションデザイナー、
コシノヒロコさんの過去最大規模となる展覧会です。
↑こちらは、プレス内覧会にて、
ライブドローイングを終えた直後のコシノさん。
プロフィールに“1937年生まれ”とあって、
思わず二度見してしまったほど、若々しくてチャーミングなお方でした。
さてさて、本展は全6章で構成されています。
導入となるチャプター0では、コシノさんが過去に手掛けた、
数多くのコレクションの中でも特に重要な《ECCENTRIC LOTUS》(2008AW)を展示。
「(UN)KNOWN HIROKO KOSHINO - 新説/真説コシノヒロコ -」展示風景、東京都現代美術館、2026年
さらに、巨大な絵画作品も展示されています。
何を隠そう、この絵画を描いたのもコシノさん。
実は、コシノさんは、ファッションデザイナーと並行して、
近年は油彩画やアクリル画などの絵画制作も行っており、
自身の作家活動を紹介するギャラリーも運営しているようです。
そんなアーティストとしての側面にもスポットを当てた本展では、
ファッションのコレクション約200点と併せて絵画約130点も紹介。
ファッションの分野に留まらない彼女の活動領域を実感できる内容となっています。
それが最大限に発揮されているのが、
現美のダイナミックな吹き抜け空間で展開されるチャプター1。
コシノさんがこれまでに生み出したファッションや絵画が集結しています。
「(UN)KNOWN HIROKO KOSHINO - 新説/真説コシノヒロコ -」展示風景、東京都現代美術館、2026年
一口にファッションと言っても、そのスタイルはさまざま。
モノトーンのエレガントなスタイルもあれば、
「(UN)KNOWN HIROKO KOSHINO - 新説/真説コシノヒロコ -」展示風景、東京都現代美術館、2026年
大阪の岸和田出身らしい(?)派手なスタイルのものもありました。
個人的に惹かれたのは、「禅」をテーマにしたというニットドレスです。
シルエットは明らかに西洋のスタイルですが、
全体に宿る精神性のようなものは、明らかに東洋的。
ファッションアイテムとしてでなく、造形的な立体作品として見入ってしまいました。
ちなみに。
こちらの展示空間の中でひときわ目を引くのが、超巨大なタペストリー(?)。
その正体は・・・・・
《WORK#1989 「紀文大盡」舞台幕(長唄杵勝会全国大会歌舞伎座公演にて使用)》 2019年
2019年に歌舞伎座で行われた長唄杵勝会全国大会の舞台幕(直筆!)とのこと。
しかも、コシノさんは長唄三味線では名取の腕前を持つそうで。
「杵屋勝禄女」という名前も頂いているようです。
続くチャプター2では、コシノさんのファッションと、
東京都現代美術館のコレクションから厳選された、
彼女と同時代に活躍したアーティストやデザイナーらの作品を合わせて紹介。
当時のクリエイティブ精神やデザイナーたちの熱気が感じられるような展示となっています。
チャプター3も、現美ならではの試み。
パリを拠点に活動するマティルド・ドゥニーズ(1986~)とのコラボレーションが展開されています。
ドゥニーズは廃棄されたオブジェや、自身の過去の作品、
古着やキャンバスなどを素材に用いる女性現代アーティスト。
本展のために制作された新作の素材となっているのは、
コシノさんの過去のコレクションに用いられた衣服やテキスタイルです。
さて、本展の個人的ハイライトが、チャプター4。
「テキスタイルへの情熱─創作の核心」と題されたこちらでは、
特にテキスタイルにこだわり抜いたコレクションの数々が紹介されています。
チャプター1での展示のように、一般的なファッション展では、
コレクションはマネキンに着用させた状態で展示されますが。
こちらでは、ショップのようにハンガーラックに掛けられて展示されていました。
「(UN)KNOWN HIROKO KOSHINO - 新説/真説コシノヒロコ -」展示風景、東京都現代美術館、2026年
まずその美術館では見慣れない光景にも驚きましたが、
それ以上に驚いたのが、随所に設置された注意表示でした。
はいはい、もちろん展示品には触ってはいけな・・・・・くないの?!!
テキスタイルは触ってはじめてわかるものがあります。
ということで、チャプター4のコレクションに関しては、
コシノさんの寛大さにより、すべて触って鑑賞することができる仕様に!
これはファッション展における大革命なのでは!?
この画期的なスタイルには感動すら覚えました。
ちなみに。
本展のラストを飾るチャプター5では、
東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団が実施する、
コシノさん監修による子供向け芸術文化体験プログラムの活動が紹介されていました。
ファッションデザイナーとして、アーティストとして、
時には長唄の名取として、精力的に活動を続けるコシノさん。
そのクリエイションの種を次世代に繋ぐ活動も積極的に行っているようです。
正直なところ、コシノヒロコさんに関して、
“コシノ三姉妹の長女”という認識しか無かったのですが(←大変失礼いたしました!)。
本展を通じて、デザイナーやアーティストの実力をまざまざと思い知らされました。



┃会期:2026年5月26日(火)~7月26日(日)
┃会場:東京都現代美術館
┃https://hirokokoshino.com/unknown/



















