皇室と日本の歴史を伝える貴重な品々を所蔵する学習院大学史料館が、
昨年3月に「霞会館記念学習院ミュージアム」としてリニューアルオープンしました。
リニューアルしたというわりには、シブい建物・・・と思ったら、
モダニズム建築の巨匠・前川國男設計の大学図書館をリノベしたのだそうです。
さて、そんな霞会館記念学習院ミュージアムでは現在、
“伊勢の名刹 専修寺-寺宝からみる公家文化”が開催中です。
親鸞の教えを受け継ぐ真宗高田派の本山、専修寺(せんじゅじ)。
国宝の如来堂・御影堂を有する三重県津市を代表する名刹です。
一見すると、学習院大学とは何の接点もないような気がしますが、
実は、学習院大学文学部哲学科の教員や学生、OBらが長年にわたって、
専修寺に残る美術工芸品の悉皆調査(※)を行っているのだそう。
(※1つ残らず全部、調査すること)
本展はその悉皆調査で判明した新出作品などを初めて大規模に紹介するものです。
なお、鑑賞料は無料となっています!

まず会場の入り口で出迎えてくれるのは、
寺外初出品となる鎌倉時代の《阿弥陀如来立像》。
お顔立ちや佇まいも美しかったですが、
それ以上に目を惹かれたのが、布の表現。
袈裟の下に「覆肩衣(ふくけんえ)」という見せるインナーのような布も着用しているそうです。
それで複雑な布の表現になっているのですね。
さて、本展の出展作品の総数は、22点。
そのうち寺外で公開されたことがあるのは、《親鸞聖人伝絵》の高田本だけ。
あとはすべて、寺外初公開となっています。
それらの中には、佐竹本三十六歌仙絵巻の模本や、
円山応挙の絵画もありました。
いわゆる仏教絵画ではないこれらの絵画が、なぜ専修寺に伝わっているのか?
それは、専修寺が有栖川宮家や近衛家といった、
皇室や宮家。公家と密接な関係があることに由来するのだそう。
これらの絵画はそうした華麗なる一族からの“御下賜品”とのことです。
ちなみに。
紹介されていた絵画の中には、
肖像画を得意とした中丸精十郎による洋画もありました。
モデルは、近衛家の血を引く常磐井鶴松。
梵語学者、仏教学者として活躍し、
のちに堯猷上人と名を改め、専修寺22代も務めています。
“だいぶ童顔だなぁ”と思ったら、彼が14歳の頃に描かれた肖像画なのだそうです。
明治初期に、少年の肖像画が描かれるというのは稀なケース。
実は、彼はこの頃にドイツ留学したそうで、
その記念として描かれたものなのかもしれません。
さてさて、展覧会の後半では、専修寺に伝わる工芸品が紹介されています。
工芸品もまた、華麗なる一族に由来するものが多いようです。
例えば、こちらの《桐鳳凰蒔絵書棚》。
公家の近衛忠房が拝領したものだそうです。
その忠房の三男が、先ほど登場した常磐井鶴松。
そうした縁で専修寺に伝来したそうです。
また例えば、薩摩焼の《透彫双耳三足香炉》。
なんと、昭憲皇太后(明治天皇の皇后)の御遺品として伝わるものだそう。
さらに驚くべきはその透彫の技術!
全体にびっしりと模様が施されています。
とりわけ超絶的なのが、蓋。
3Dプリンターで作ったのでは?
と、思わず疑いたくなるほど、精緻な透彫でした。
そんな《透彫双耳三足香炉》と並んで、
超絶技巧が冴えわたっていたのが、こちら↓
パッと見、ただの栗に思えますが、
実は、象牙で作られた彫刻作品です。
もちろん栗から飛び出している虫も、象牙なのでご安心を。
なお、本作は、貞明皇太后(大正天皇の皇后)からの御遺品とのことです。
ちなみに。
専修寺には、将軍や皇室ゆかりの工芸品だけでなく、
海外への輸出用に作られた工芸品もいくつか伝来しているのだそう。
















