現在、√K Contemporaryで開催されているのは、
“草野絵美「Ornament Survival」”という展覧会。
今もっとも国内外から注目を集める日本人アーティストの一人、草野絵美さんの最新展です。
高校生の頃に、原宿のストリートファッションを記録する写真家としてデビュー。
その後、3人組音楽ユニット「Satellite Young」を結成し、
世界最大規模の音楽フェスティバル『サウス・バイ・サウスウエスト』に出演。
2020年以降は、NFTアートを手掛けるようになり、
長男は小学生NFTアーティストZombie Zoo Keeperとして、
母子揃ってNFTアートの最前線で活躍をしました。
そして、今ほど生成AIが浸透していなかった2023年頃より、
生成AIを用いた写真や映像作品の制作を本格的に手掛けるように。
日本における生成AI表現のパイオニアともいうべきアーティストです。
そんな草野さんが最初に手掛けた生成AI作品が、「Neural Fad」シリーズ。
1990年生まれながら、子どもの時より、
好きなアイドルはピンクレディーだったという草野さん。
1980年代やそれ以前のカルチャーに関心があり、
とりわけファッションの分野には強い関心を抱いているそうです。
1990年代にも、アムラーやシノラー、あゆなど、
カリスマ的なファッションリーダーはいましたが、
2000年以降は、若者が一様にファッションを真似るほどの存在はいません。
きっとこの先もそういったファッションブームはないような気がします。
そのことに寂しさのようなものを感じていた草野さんは、
かつて日本に存在した「竹の子族」や「カラス族」の画像を、
当時はまだ一般的でなかった生成AIに作らせてみたのだそうです。
そんな「Neural Fad」シリーズに始まり、
2025年にはパリの画廊で生成AI作品の個展を開催するまでに。
その時に発表されたのが「Office Ladies」シリーズ。
今やすっかり絶滅危惧種(?)となりつつあるOLをテーマにした作品です。
山積みになった書類やお茶汲みといった、
ところで、これらの作品を見て、読者の皆様の中には、
“・・・・・・生成AIを使えば誰でも作れるのでは?(ボソッ)”
と思った方もいらっしゃるかもしれません。
いえいえ、竹の子族やカラス族が活躍した当時の画像は、
当たり前ですが、現在のように画質の良いものではありません。
今のカメラで撮ったような画像にするためには、
「竹の子族」や「カラス族」以外のキーワードで言語化し、
それらを組み合わせ、何度も試してみる必要があるのです。
生成AIに作らせるモチーフを1から考えて、
実現させるプロンプト(AIへの指示)を考えて、
その上で自身のイメージする完成作に近づけていく。
それが、生成AIアートです。
確かに、生成AIを使えば、理屈上は誰でも作れますが、
作品としてのクオリティは、やはりプロと素人では圧倒的な差があります。
画家に対しては、“絵の具を使えば誰でも描けますよ”とは言わないわけで(笑)
今はまだ賛否両論ある生成AIアートですが、
草野さんをはじめとするアーティストたちによって、
そう遠くない将来に、1つのジャンルとして確立することでしょう。
その誕生の瞬間に立ち会える展覧会です。

なお、本展のハイライトともいえるのが、
タイトルにもなっている《Ornament Survival》シリーズ。
今年3月のアートバーゼル香港で発表され、大きな反響を呼んだ最新シリーズで。
日本で公開されるのは、本展が初めての機会となります。
本シリーズで生成されているのは、
ナースや客室乗務員といった制服をまとう職種の女性たち。
時として、彼女らは“アイドル”
そのように“自分の感情を抑えることで賃金を得る労働”、
いわゆる感情労働(エモーショナルレイバー)をテーマにしたシリーズです。






