現在、たばこと塩の博物館で開催されているのは、
明治時代の看板や引札にスポットを当てた展覧会です。
本展は全3部で構成されています。
まず第1部は、看板がテーマ。
その冒頭では、東京の名店と名物芸者を組み合わせた、
歌川国周による《東京自慢名物会》シリーズが紹介されています。
解説によると、道路に垂直に設けるのが江戸時代流、
道路に平行に看板を掛けるのが明治時代流なのだそうです。
明治末期にはその両方が混在するお店もあったのですね。
なお、展示されていた中には、風月堂が描かれたものも。
この時代からハイカラな雰囲気だったようです。
例えば、こちらは酒屋の看板。
たばこと塩の博物館らしく、たばこ屋の看板もありました。
たばこそのものではなく、たばこの葉を象っているようです。
第2部のテーマは、引札。
引札とは、商店や問屋が宣伝のために配る紙の広告物のこと。
主に得意先に配られていたようで、
チラシというよりも、ダイレクトメールに近かったようです。
例えば、こちらは、とある煙草屋の開業を知らせる引札。
引札には、口上が記載されることが多く、
こちらの引札には、開業に当たっての挨拶が述べられています。
なお、その結びには開業から3日間、記念品を進呈する旨が書かれていました。
明治時代から開店記念サービスは健在だったのですね。
さて、当初は文字がメインだった引札ですが、
時代が進むにつれ、絵がメインの華やかなもの、
その名も、「絵びら」が主流になっていきます。
絵びらの中には、尾竹竹坡の兄・国一(越堂)ら当時の人気絵師が描きおろしたものや、
円山応挙の絵がデザインされたものもあったようです。
会場にはさまざまなタイプの引札が展示されていましたが、
中でも特に印象に残っているのが、新年の挨拶用に作られたというこの引札。
神様らしき3人が、謎の柄の服を着て、謎のポーズを決めています。
めでたいような、めでたくないような。
正月から頭を悩ませること必至の引札でした。
第3部で取り上げられていたのは、明治後期の商品広告について。
とりわけフィーチャーされていたのは、2大たばこメーカーによる熱き商戦です。
キセルがまだ主流だった明治時代において、
看板や新聞など、ありとあらゆる広告手段を使って、
紙巻たばこの存在を世に広めたのが、岩谷松平による岩谷商会でした。
一方、国産の葉たばこにこだわる岩谷に対し、
アメリカ産葉たばこを使い、アメリカ式のたばこを作ったのが、
アメリカ修行経験のある村井吉兵衛による村井兄弟商会です。
岩谷商会vs村井兄弟商会。
ちなみに。
村井兄弟商会はおまけとして、
たばこカードを同封していたそうです。
これは、当時としては画期的なアイディアだったそう。
もし、村井兄弟商会のたばこカードがなければ、
永谷園のお茶漬け海苔に、東海道五十三次のカードは入っていなかったかもしれません。

なお、本展とは別に、ミニ企画展として、
同館のコレクションより、海外のたばこカードの数々も紹介されていました。
個人的に気になったのは、「Do you know?」シリーズ。
自然や動物の、建築物などのイラストの裏に、
トリビアのようなものが記載されたたばこカードです。
馬と牛の立ち上がり方が違うことを、
このたばこカードを通じて初めて知りました。
16へぇ。
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