今年2026年は、『はらぺこあおむし』の日本語版が出版されて50年目の節目の年。
それを記念して、東京都現代美術館では現在、
“エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし”が開催されています。
© 1969, 1987 Penguin Random House LLC.
© 1969, 1987 Penguin Random House LLC.
紹介されている中には、絵本で使われた原画だけでなく、
掲載されなかった別案や周年ポスターの原画などもありました。
「エリック・カール展」展示風景、東京都現代美術館、2026年
とりわけ希少だったのが、『はらぺこあおむし』の原案となったダミーブック。
『はらぺこあおむし』の原案となったダミーブック『みみずのウィリーのいっしゅうかん』 1969年
エリック・カールは絵本を作る際にまず、
デザインのアイデアを練るための絵コンテのようなものを作りました。
それが、ダミーブック。
実は、『はらぺこあおむし』はダミーブックの段階では、
主人公がミミズの『みみずのウィリーのいっしゅうかん』だったようです。
もし、主人公がミミズのままだったら、
きっと50年以上も愛されるベストセラーにはなっていなかったはず。
ダミーブックの時点で気づくことができて、ダミーブックさまさまです。
なお、これまでエリック・カール展は日本で何度も開催されていますが、
『みみずの~』を含め、本展では過去最多となる12点のダミーブックが展示されています。
さてさて、実は『はらぺこあおむし』からはじまり、
『くもさん おへんじ どうしたの』や『さびしがりやのほたる』など、
エリック・カールはその後、虫を主人公にした絵本を計4冊出版しています。
『はらぺこあおむし(The Very Hungry Caterpillar)』に続き、
『くもさん おへんじ どうしたの(The Very Busy Spider)』、
『さびしがりやのほたる(The Very Lonely Firefly)』と英語のタイトルが、
すべて「The Very」からはじまっており、「Very」シリーズと呼ばれているそう。
本展ではその「Very」シリーズすべての原画が展示されています。
© 1995 Penguin Random House LLC.
さらに、本展では、ただエリック・カールの原画を展示するだけでなく。
エリック・カールその人にも、スポットが当てられていました。
彼が生まれたのも生涯の大半を過ごしたのも、アメリカですが、
実は6歳の時に、両親の故郷であるドイツに移住しています。
明るく自由なアメリカから、戦時に向けて厳しさが増すドイツへ。
環境の劇的な変化は、エリック・カールの少年時代に暗い影を落としたそうです。
そんな経験があったからこそ、彼は世界中のこどもに寄り添った絵本を描き続けたのでした。
なお、幼少期の移住は、彼にとってよほど印象深かったらしく、
友人との別れという悲しい体験を題材に絵本『いちばんのなかよしさん』を書いています。
© 2013 Penguin Random House LLC.
本展にはその原画も展示されていますが、
なんと日本で公開されるのは今回が初めてとのことです。
ちなみに。
本展では他にも、日本初公開を含む数多くの絵本の原画が紹介されています。
それらの中には、彼のもう一つの代表作『パパ、お月さま取って!』の原画も。
「エリック・カール展」展示風景、東京都現代美術館、2026年
絵本の原画ももちろん印象的でしたが、
なんともいえない表情をした月のラフスケッチが印象的でした。
ちょっとだけ、ラランドのニシダに似ているような気もします。
さてさて、本展のラストでは、エリック・カールのアトリエの様子が再現されていました。
エリック・カールの制作道具と手彩色の薄紙
抽象表現主義の画家の作品のようにも思えてきました。
アーティストとしての彼の側面が垣間見える展覧会。
東京都現代美術館ならではのエリック・カール展でした。


ちなみに。
オリジナルグッズも多数取り揃えられていました。
散財必至。
しばらくの節約生活のはじまりです。
┃会期:2026年4月25日(土)~7月26日(日)
┃会場:東京都現代美術館
Eric Carle: Art, Books, and the Caterpillar is organized
by The Eric Carle Museum of Picture Book Art, Amherst, Massachusetts, United States.











