慶應義塾初の芸術専門研究所にして唯一の登録博物館。
それが、慶應義塾大学アート・センター(通称:KUAC)。
1993年に開設されて以来、慶應義塾所蔵の美術作品の紹介や展示を行ってきました。
その慶應義塾大学アート・センターとは別に、
2021年に同じ三田キャンパス内に開館したのが・・・・・
慶應義塾ミュージアム・コモンズ。
慶應義塾が長い歴史のなかで蓄積してきた文化財や学術資料に加え、
センチュリー文化財団からの寄贈品などを収蔵・公開するミュージアムです。
通称は、KeMCo(ケムコ)。
そんなKeMCoで現在開催されているのが、
“モノたちの眼―メラネシア造形物と密やかなバイオグラフィ”です。
太平洋の島々は、ポリネシア、ミクロネシア、
そして、メラネシアと大きく3つの地域に分けられます。
パプアニューギニアやフィジーといった国々や、
フランス領のニューカレドニアがメラネシアです。
そんなメラネシアで20世紀初頭に活躍したのが、小嶺磯吉なる貿易商。
彼が生涯をかけて蒐集したメラネシアの造形物は数千点にも及びます、
そのまとまったコレクションは死後、別の人物に渡り、
戦後まもなく、縁があって慶應義塾に引き継がれたのでした。
さてさて、本展の冒頭を飾るのは、
小嶺磯吉旧蔵のウリやマランガンと呼ばれる像。
ビスマルク群島ニューアイルランド島に由来する一木造の祖霊像です。
東京国立近代美術館では開館の翌々年、1954年より
“現代の眼”と銘打たれた特別展シリーズが開催されていました。
記念すべき初回を飾る「日本美術史から」では、
茶器や屏風とともに縄文土器や埴輪が並べられ、大きな話題となったそうです。
第3回(1960年)は「原始美術から」と題して、
オセアニアやアフリカ、中南米の民族資料が展示されました。
そのメイン会場を飾ったのが、何を隠そうこの慶應義塾のウリとマランガンだったのです。
なお、メラネシアのウリたちをフォーカスした展覧会はその後も続いたようで、
1962年には上野松坂屋で、1975年にはサントリー美術館でそれぞれ開催されています。
ちなみに。
本展には、サントリー美術館での展覧会で、
図録の表紙を飾ったウリも展示されていました。
さらに、そのサントリー美術館での展覧会に、
同じく出展されていたというのが、こちらの《石灰瓢壺》。
石灰を入れるための瓢箪製の容器とのことです。
容器から石灰を掬うための棒の先端には・・・・・
歯を見せて笑う謎の人型が掘り出されています。
どことなく、現代美術家の加藤泉さんの立体作品を彷彿とさせるものがありました。
さて、本展ではメラネシアの造形物を起点に、
他地域の民族資料や考古資料も併せて紹介されています。
それらの中には、スリランカやジャワの仮面、
ペルーの壺、
古代中国の俑、
フランス・パリのガーゴイル像などもありました。
古今東西、さまざまなタイプの造形物が取り揃えられています。
インパクト強めの造形物が多かったですが、
とりわけ印象に残っているのは、ニューギニアの“コルワル”なる祖霊像。
“コルワル”とは「死者の魂」を意味する言葉だそうで、
有力者の死に際して、専門の彫刻師によって作られたそうです。
何よりも気になるのが、その姿勢。
皆一様に体育座りをしていました。
ニューギニアの死生観では、いかに有力者といえど、
死んだら、豪華な椅子ではなく地べたに座らされるのですね。
それからもう一つ印象に残っているのが、こちらのミクロネシア地域の仮面。
寝起きみたいな顔をしていました(笑)。
たぶん、彼はいい人です。
また、本展には土偶や仏像など、
日本で生み出された造形物も紹介されています。
なお、最初の展示室の中央では、
ハニワとニューギニアの木偶があわせて展示されていました。

最後に、どうしても気になってしまったことを一つだけ。
収蔵品にはそれぞれ所管番号があり、
それをもとに収蔵庫で管理されています。
こちらは、パラオ諸島由来のトコベイ人形。
その収蔵番号が・・・・・
























