ふれあうやきもの | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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東京におけるアール・ブリュットの拠点として、

2020年にグランドオープンした東京都渋谷公園通りギャラリー。

こちらでは現在、開館以来初となる陶芸の展覧会が開催されています。

その名も、“ふれあうやきもの”です。

 

渋谷公園通りギャラリー「ふれあうやきもの」展

 

 

出展作家は、全部で7名。

まず1人目は、滋賀県の創作ヴィレッジこるり村に所属する大井康弘さんです。

彼は、粘土でつくったパーツを積み重ね、

インドの神様ガネーシャやイノシシなどを制作しています。

こちらの青い作品もこう見えて、ガネーシャがモチーフです。

 

大井康弘作、青いガネーシャモチーフの陶芸品

 
 
大井さんはもともと、蛇や龍といった複雑な形態をしたものが好きだったそう。
そこで担当職員さんが“ガネーシャも好きなのでは?”と思い、
ガネーシャの絵を見せたところ、継続的に制作するようになったようです。
しかし、2014年頃から、 しばらく制作を行わない時期が続きます。
そして、2023年頃に大井さんは突然「ガネーシャ」と呟き、再び 制作するようになったとか。
なんかよくわからないですけれども、復活おめでとうございます。
ちなみに、ガネーシャはそこまでガネーシャっぽくなかったですが、
《ゴジラ》とタイトルが付けられたこちらの2点は、ちゃんとゴジラでした。

 

緑の陶芸作品 2点

 

 

2人目は、滋賀県のやまびこ作業所で、

闘病を続けながら陶芸作品を制作した八耳慶哲さん。

全盲だった八耳さんは、手のひらの感覚だけを頼りに、

紐状に伸ばした粘土を積み重ねる「手捻り」で作品を制作しました。

 

大井康弘氏の青いガネーシャ風陶芸作品

 

 

形に関しては、お世辞にも整ってはいませんが。

そんなことがどうでもよく感じられるくらいに、

モノとしての圧倒的な力強さ、存在感がありました。

じーっとその表面を見ていたら、雄大な自然の光景のようにも思えてきました。

 

障害者支援施設ひばりに所属する吉成洋平さんも、

ひも状に成型した粘土を積み上げて制作するスタイル。

しかし、その完成形は八耳さんとは全く異なります。

 

東京の陶芸展:個性的な焼き物6選

 

 

なんというかイソギンチャクのような。

 

吉成洋平 陶芸作品「ん~ん~ん~」

 

 

その見た目もだいぶ個性的ですが、
《りーりーりードーン!》《ん~ん~ん~》など、作品のタイトルも実に個性的です。
いくつかの作品には、 《おいち》というタイトルが付けられていました。
なんでも「おいち」とは、嬉しい時や気持ちが高ぶった時に吉成さんから出る言葉とのこと。
《マンモスおいち》という作品もありましたが、
それはきっと“マンモスうれピー”的なニュアンスなのでしょう。
 
 

4人目は、本展の出展作家の中で、

もっとも独特な制作スタイルだった西村妙子さん。

彼女は粘土の塊を受け取ると、その表面を指で彫り、
揉んだり、捏ねたりして、最終的には床に落としたそう。
そうした行為を繰り返して生まれたのが、こちらの作品です。
 

image

 


いや、正確に言えば、作品ではないような。
このやきものが作品というよりも、
行為自体が作品であるような印象を受けました。
     
5人目は、神奈川県にある福祉施設、
「8-18 (はちいちはち)」に所属する土橋美穂さん。
絵画やぬいぐるみの制作と併せて、動物をモチーフにした陶芸も行っているそうです。
 

陶芸作品:動物モチーフのユニークな作品群

 

 

彼女曰く、「実際の動物に似ているかどうかよりも、

自分らしい形をつくりたいと思っている」とのこと。

そうして作られた動物たちは、まさに土橋ワールド全開でした。

個人的には《ライオン》が一番お気に入り。

 

陶芸作品:顔を模した茶色い焼き物

陶芸作品「ライオン」土橋美穂作
 

 

自分の中では、土橋さんのことを、

「神奈川のリサ・ラーソン」と呼ぼうと思います。

 

 

さて、本展には、福祉施設で創作を行う作家だけでなく、

彼らの創作活動をサポートする2名の陶芸家も参加しています。

その1人目は、「8-18」に通う人たちとともに絵画や陶芸を行っている植田佳奈さん。

 

渋谷公園通りギャラリーの陶芸作品:水玉模様の青い壺

丸い陶器、青と黒のドット模様

 

 

彼女は、手に取った際の独自の質感を生むために、
表面にひたすら線を彫ったり、点を打ったりしているそうです。
想像するだけで気の遠くなるような作業で、狂気すら覚えました。
ただ、不思議と出来上がった作品には、狂気じみたところが一切なく。
むしろ自然物のような悠然とした感がありました。
 
陶芸家の2人目は、生前の西村妙子さんの制作もサポートしていた七理摩弓さん。

彼女は現在、古陶磁や青銅器などに着想を得た器を中心に制作しているようです。

 

古陶磁風のひび割れた陶器、七理摩弓作

アール・ブリュット展:個性豊かな陶芸作品3選

 

 

泉屋博古館で開催された青銅器サミットの、

MCを務めた自分としては、非常に興味を惹かれました。

古陶磁や青銅器のエッセンスを取り入れつつ、

現代的なニュアンスも、ちゃんと感じられます。

七里さんの他の作品も是非観てみたくなりました。

星

 

 

 

 

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