モダンなときめき―智積院襖絵の魅力― | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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金閣寺から龍安寺を経て、仁和寺まで続く約2.5㎞の道路“きぬかけの路”。

そんな雅な愛称が付けられた路を歩いていると、

思わず「ナニコレ!」と叫びたくなる建物が目に飛び込んできました。

 

堂本印象美術館のモダンな外観

 

 

え?ガウディ?!

 

堂本印象美術館のユニークな外観
堂本印象美術館のユニークな外観

 

 

豪華な邸宅のようにも見えますし、

怪しげな新興宗教の建物のようにも見えますし。

そもそも、一体、この建築は何様式なのか?

良くも悪くも、今いる場所が京都であることを、

一気に吹き飛ばしてしまうほどのインパクトがあります。

 

実はその正体は、美術館。

 

京都府立堂本印象美術館の看板

 

 

それも、洋画家や彫刻家、前衛アーティストなどの美術館ではなく、

京都で生まれ育ち、京都画壇で活躍した日本画家・堂本印象の美術館です。

日本画の美術館とはまったく想像できないビジュアルであるため、

さぞかし堂本印象は不服に思っているだろうなァ・・・と思いきや!

この美術館を設計したのは、堂本印象本人。

61歳で初めて渡欧した際に、現地で目にした宮殿や、

個人美術館を参考にしながら自身の美術館の構想を練ったそうです。

なお、開館したのは1966年。

今年でちょうど60周年を迎えます。

実は昨年、この美術館の建物は、国の登録有形文化財に登録されたばかり。

今、京都でもっとも熱いスポットの一つと言えましょう。

 

ちなみに。

開館時は堂本美術館という名称でしたが、

平成3年に建物と印象の作品が京都府へ寄贈されたため、

翌年に京都府立堂本印象美術館としてリニューアルし、今に至ります。

実は意外にも、京都府立の美術館は、この京都府立堂本印象美術館だけ。

(京都市立の美術館や国立の近代美術館はありますが)

京都というと伝統的・保守的なイメージがありますが、
美術に関して言えば、一番アヴァンギャルドな都道府県かもしれません。
 
そんな美術館は外観だけでなく、
内装も負けず劣らずアヴァンギャルド!
エントランスはもちろんのこと。
 
堂本印象美術館の豪華なエントランス

 

 

案内板や手すり、椅子に至るまで、

何から何までが常軌を逸していました(←褒め言葉です!)。

 

堂本印象美術館への案内標識とオブジェ

堂本印象美術館のステンドグラスと椅子

 

 

この美術館に見慣れてしまったら最後、

普通の美術館が味気なく感じてしまうという、

そんな弊害に訪問日以来、苦しめられています。

 

 

さて、現在、こちらの美術館で開催されているのは、

 

智積院襖絵「婦女喫茶図」特別企画展のポスター

 

 

京都国立博物館や三十三間堂のほど近くにある智積院。

成田山新勝寺や川崎大師、高尾山薬王院などが属する、

弘法大師を始祖とする真言宗智山派の総本山として知られています。

昭和33年、その境内に宸殿が再建された際、印象に襖絵の依頼がありました。

「宗教活動は時勢と無縁であってはならない」という、

智積院の理念に共鳴した印象は、そのオファーに対し、

「百年ぐらいは悪口を言われるだろう」という覚悟のもと、

和装と洋装の女性が野点をするという斬新すぎる襖絵を描き上げました。

それが、《婦女喫茶図》です。

通常は非公開の作品ですが、本展では特別公開されています。

 

堂本印象《婦女喫茶図》襖絵(智積院)

 

 
さらに本展では、同じく非公開の 《松桜柳図》も出展されていました。
 
堂本印象《婦女喫茶図》《松桜柳図》
 
 
こちらは、智積院が収蔵する国宝、
長谷川等伯・久蔵親子の 《楓図桜図》に、
対抗して描かれたものと考えられているそう。
《婦女喫茶図》が発表された当時、案の定、
伝統のあるお寺の襖絵にしてはモダンだと批判もありました。
そういった意見に対して、印象はこうボヤいていたそう。
《楓図桜図》だって、発表当時は斬新だったろうに、、、”。
長谷川等伯親子に対しては、決してライバル心ではなく、
時代を超えた同志のような気持ちを抱いていたのでしょうね。
星 星
 
 
なお、本展では他にも、タイトルにちなみ、“モダンなときめき”をキーワードに、
美術館の職員さんたちがセレクトしたコレクション作品の数々も紹介されています。
 

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中でももっとも印象に残っているのは・・・・・

(↑堂本印象という名前なのでややこしいですが)

 

堂本印象《聖歌》抽象画

 

 

《聖歌》という一枚です。

カンディンスキーの抽象画のようでもあり、

ピカソやブラックによるキュビスムのようでもあり、

パウル・クレーを彷彿とさせる詩情性もあり。

そんな絵を京都画壇の重鎮(当時78歳!)が、

描いていたという事実にただただ驚かされました。

 

それからもう一つ印象に残っているのは・・・・・

(↑たびたびややこしい言い回しで恐縮ですが)

 

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《友達》と名付けられたペン画です。

こちらもなんと、78歳の作とか。

《聖歌》のファンシーなタッチとは打って変わって、

実にスタイリッシュで、どこかダークさも感じられます。

パッと見、伊藤潤二さんのホラー漫画かと思いました。

 

 

最後に、余談ですが。

美術館の敷地内には、内部は観られないものの、

印象が実際に使用していた「山のアトリエ」があります。

そちらもやはり、昨年、国の登録有形文化財に登録されているそう。

せっかくなので、美術館を観終えた後に行ってみることにしました。

美術館もモダン。作品もモダン。

きっとアトリエもモダンなはずです!

そう、期待に胸を膨らませていたのですが、

実際に「山のアトリエ」として目に飛び込んできたのが、こちら↓

 

堂本印象山のアトリエ(外観)
 
 
いや、アトリエは普通なんかい!
 
なんなら、地味なんかい。
印象にはそんなつもりはなかったでしょうが、
ちょっとだけ裏切られた気持ちになりました。
 
 
 
 

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