■画家ボナール ピエールとマルト
監督:マルタン・プロボ
出演:セシル・ドゥ・フランス、バンサン・マケーニュ、ステイシー・マーティン
2023年製作/123分/フランス
1888年に結成された「ナビ派」を代表する画家で、
印象派とポスト印象派との間を結ぶ架け橋とみなされるピエール・ボナール。
彼は生涯の伴侶となる女性マルトに出会ったとき、
彼女が自分の人生と仕事になくてはならない存在になるとは思いもしなかった。
「幸福の画家」であるボナールにとって、
マルトは単なるミューズをはるかに超えた存在となる。
2人は当時の常識からかけ離れた破天荒な愛の形を営みながら、
その生涯をかけて充実した芸術的成果を生み出していく。
(映画.comより)
「前回、『エッフェル塔 創造者の愛』(Film:80)を観た際に、
“芸術家映画には、ベッドシーンがありがち”というあるあるを導き出しましたが。
今回の映画もその例に漏れず、ベッドシーンが何度も登場しました。
それも、開始3分30秒で!!
おそらく、芸術家映画におけるベッドシーン登場までの最速記録です。
と、まぁそれはさておきまして。
本作の主人公は、ナビ派を代表する画家ピエール・ボナール。
室内など生活に身近な題材を数多く描いたことから、
『親密派(アンティミスト)の画家』とも呼ばれています。
その生涯で残した作品のうち実に約1/3が、妻マルトの入浴姿を描いたものです。
それだけに、ほのぼのとした性格で、
愛妻家の代名詞のような人物だと思っていたのですが、
この映画全編を通じて、そのイメージは粉々に破壊されました。
例えば、妻マルトと結婚したのは、出会ってから、なんと32年後とのこと。
2人の間には子供もおらず、
長年、マルトは不安な日々を過ごしていたようです。
そのうえ、ボナールは50歳の頃に、美術学校の生徒だった、
一回り年下の金髪の女性、ルネ ・モンシャティと恋に落ちます。
ボナールと疎遠になったマルトは、自分を慰めるのもあって絵を描くように。
劇中では、家に尋ねに来たモネに絵のアドバイスももらっていました。
実際、マルトは個展も開催していたようです。
なるほど、だから映画のタイトルが、『画家ボナール ピエールとマルト』だったのですね!
ボナールという名の2人の画家を描いた映画というわけです。
ちなみに。
ボナールとマルト、ルネの三角関係ですが、
悩みに悩んだ末に、ボナールはマルトの元に戻りました。
『アーモンドの白い花が咲くとき 心よりきみを慕う』は、
そのすったもんだを踏まえた上でのキャッチコピーなのですね。
純愛かと思いきや、ドロッドロの中年の恋愛でした。
なお、ボナールに捨てられたルネは、32歳で自殺。
それも、浴槽で手首を切っての自殺です。
マルトの入浴場面が、幸せの象徴であるのに対し、
ルネの唯一の入浴場面は、壮絶で悲しいものでした。
描かれた雰囲気から、マルトに対して、
大人しい女性の印象を抱いていましたが。
この映画を通じて、感情剥き出しの野性味ある女性に印象が変わりました。
ボナールのイメージは、もちろん急降下。
彼にとってマイナスプロモーションにしかならない映画でした。
そういえば、ボナールのナビ派でのあだ名は、『日本かぶれのナビ』。
ボナールのせいで、日本のイメージが共倒れになることだけは勘弁です。
(星2つ)」
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