Comic:13『インク色の欲を吐く』 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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インク色の欲を吐く 1巻 表紙

 

 

■インク色の欲を吐く(全3巻)
 漫画:梅ノ木びの
 出版社:KADOKAWA

 発売日:2022/8/12(1巻)

 ページ数:198ページ(1巻)

 

19世紀末のイギリス。

21歳の青年ビアズリーは小説家オスカー・ワイルドのもとを訪ねてこう言った。

 「是非ボクの絵を『サロメ』に使って欲しいのです」

ワイルドは突然の申し出に驚いたが、

彼の大胆不敵な態度、妖しい魅力、

そしてたぐいまれなる才能に溺れていく。

同性愛疑惑、実姉との近親相姦などスキャンダラスな噂が飛び交う一方で、

肺病に苦しみながらも、ただひたすらに作品を描き、芸術にすべてを捧げた。

地位も名誉も手に入れたビアズリーが、死の直前に求めたものとは――。

(カドコミより)

 

 

「実在の芸術家を主人公をいくつも読んできましたが、

 この『インク色の欲を吐く』は、頭一つ抜けて面白かったです!

 まず何と言っても、第1話からガシッと掴まれました。

 オスカー・ワイルドとの出逢いから、

 ワイルドが同性愛の罪で逮捕されるまでが描かれているのですが、

 そのストーリーテリングが実に鮮やか。

 フィクションがかなり混じっているのですが、

 というか、ほぼほぼフィクションなのでしょうが、その塩梅が絶妙で。

 “いやいや、そんなわけだろ!”ではなく、

 “むしろ史実がそうだったら面白い!”と思わせるものでした。

 ネタバレしたくないので、グッと堪えますが、

 第1話のラストに待つ意外な展開に、ぜひ皆様も驚いてください。

 

 漫画では他にも、『イエロー・ブック』の編集主任からの追放や、

 ビアズリーが好色小説 『ヴィーナスとタンホイザー』を執筆した顛末、

 ホイッスラーとのいざこざと、のちに彼と和解するまでのエピソードが、

 フィクションを絶妙に交えながら、描かれています。

 ちょうどこの春に、三菱一号館美術館で観た、

 ビアズリーの展覧会を思い出しながら読み進めました。

 もしもタイムマシンがあるなら、ビアズリー展の開催前に戻って、

 『インク色の欲を吐く』を読んだうえで展覧会を楽しみたいものです。

 

 なお、ストーリーももちろん素晴らしいのですが、

 それに輪をかけて素晴らしいのが、絵のクオリティ!

 ビアズリーと比べても遜色ないくらいに、精緻で妖艶で耽美で。

 純粋に、絵として美しいと感じるページが多々ありました。

 

 この企画であまり絶賛した記憶がないのですが、

 『インク色の欲を吐く』に関しては、たただた絶賛。
 何も言うことはありません。

 いや、強いて言うなら、全3巻でなく、もっと読みたかった!
 展覧会でもそんな気持ちになりませんでしたが、

 ビアズリーが25歳という若さで亡くなったことを、初めて惜しいと思いました。
 せめて彼があと数年は長生きしてくれたら。
 漫画の続きが読めたものを。

 スター スター スター スター スター(星5つ)」

 

 

~漫画に登場する絵画~

『髪盗み』挿絵

 

ビアズリーの『髪盗み』挿絵、妖艶な人物たち

 

 

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