先日11月3日、千葉市美術館は開館30周年を迎えました。
さらに今年は、千葉のまちが開かれて900年の節目の年。
それらを記念して現在、千葉市美術館では、
千葉という「場」を切り口にした展覧会“千葉美術散歩”が開催されています。
しかし、海水浴場や別荘風旅館「海気館」があったことから、
明治中期から昭和初期にかけては、多くの文人が訪れた人気の保養地でした。
そんな稲毛にビゴーは、数年ほど実際に住んでいたそうです。
さてさて、タイトルに“散歩”とあるだけに、稲毛を起点に、
千葉の人気エリアを散歩するように巡る展覧会なのかと思いきや。
田中一村や東山魁夷といった、
人気の高い作家の作品も一部ありましたが。
菅谷元三郎、濱田清治、和田清、遠藤健郎、鈴木月潭、田岡春径・・・etc
出展作家のほとんどが初めて知る作家ばかりでした(汗)。
あまりにも知らない人だらけすぎて、
初めて展覧会場で人見知りが発動しました(笑)。
開館30周年記念展ということで、
千葉にまつわる芸術家が大集結した、
『オールスター感謝祭』のようなものを想像していましたが。
実際は、千葉の美術界における功労者が集まった記念式典のような展覧会でした。
明治時代頃から千葉市美術館が開館する頃まで、
千葉におけるアートシーンの歴史を深掘りした本展。
率直な疑問として、一体どこに需要があるのかと思いますが、
これほどまでに徹底していたことには、むしろ清々しさすら感じました。
この展覧会ができるのは、日本広しと言えど間違いなくここだけ。
千葉市美術館の意地と覚悟が垣間見れる展覧会でした。

ところで、知らない画家が多かったとは言いましたが、
「知らない画家=つまらない画家」では決してありません。
旧制千葉中学校の教員で和田英作や岡田三郎助も指導した過去もある堀江正章や、
マルケを彷彿とさせる房総生まれ房総育ちの洋画家・高橋規矩治郎をはじめ、
気になる画家が多々いました。
千葉にはこんなにも個性的な画家がいたのですね。
本展を機に、誰か一人くらいはブレイクするかもしれません。
出展作品の大多数が水彩でしたが、
水彩とは思えぬ力強さ、荒々しさがあり、
セザンヌやヴラマンクの油彩画のような印象を受けました。
こちらの作品も水彩で描かれたもの↓
一瞬、ゴッホによるオーヴェル教会かと思ってしまいましたが、
旧制千葉中学校にかつてあった時計台を描いたものだそうです。
なお、無縁寺心澄は、昭和12年から15年頃にかけて、
千葉市役所に嘱託で図案指導員として採用されていたそうで。
その時代に制作した現存する唯一のポスターも展示されていました。
千葉県民なら人生で一度くらいは経験したことがあるのではないでしょうか。
このポスターを見て、心が躍ったら間違いなく千葉県民。
千葉県民の千葉県民による千葉県民のためのポスターです。
そうそう、千葉県民らしいといえば。
無縁寺の《県庁 図書館 夕景》に添えられたキャプションに、こんな一文がありました。
「県庁周辺は彼の活動の場であり、後述する図書館のほかに、
千葉美術協会の総会などが開催されたカフェー・東京亭は県庁前にあった。」
東京ディズニーランド、新東京国際空港、ららぽーとTOKYO-BAY、東京ドイツ村。
千葉県民はやたらと「東京」と名乗りたがりますが、
この頃からすでに、その歴史は始まっていたようです。















