オランダ×千葉 撮る、物語る | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

佐倉市に巨大な風車とチューリップ畑があったり、

東京2020オリンピックでは、オランダのホストタウンになったり、

千葉県民にはお馴染みの老舗洋菓子チェーン店・オランダ家があったり。

意外と深い関係があるオランダと千葉県。

2023年度からは、実際に国際交流事業も開始されています。

 

その一環として現在、千葉県立美術館で開催されているのが、

開館以来初となる写真の展覧会、“オランダ×千葉 撮る、物語る”

オランダと千葉、それぞれで生まれた2人(組)の写真家による展覧会です。

 

オランダ×千葉 写真展ポスター

 

 

まず前半で紹介されていたのは、写真家で小説家の清水裕貴さんが、

本展のために1からリサーチという新作インスタレーション、《眺めの継承》

 

オランダ×千葉 写真展「撮る、物語る」バナー

 

 

千葉県に生まれ、千葉県を拠点に活動する彼女はこれまで、

館山や稲毛といった千葉県内を舞台とした作品や小説を発表してきました。

今回の新作の舞台となるのは、千葉県松戸市。

ここにはかつて、徳川昭武が住んでいました。

徳川昭武は、江戸幕府最後の将軍・慶喜の弟で、

14歳の頃には、慶喜の代理としてパリ万博に参加しています。

帰国後は、水戸藩の藩主を務めるも、

版籍奉還により水戸藩知事となり、その数年後に陸軍少尉に任官。

29歳で隠居すると、松戸の「戸定邸」に移り住み、趣味や狩猟を楽しみました。

ちなみに、徳川昭武は日本で初めてココアを飲んだ人物としても知られているそう。

ココアといえば、バンホーテン。

オランダ繫がりかと思いきや、留学中のパリで飲んだのだそうです。

 

と、それはさておきまして。

昭武には数々の趣味があったそうですが、

その中でも特に力を入れていたのが、写真撮影です。

人呼んで、「カメラの殿様」。

インスタレーションの空間内では、

そんな昭武が撮影した写真の数々が展示されています。

 

清水裕貴「眺めの継承」インスタレーション

千葉県立美術館 オランダ×千葉 写真展
 
 
 

昭武はよく戸定邸のある松戸の近辺を撮影したそうで、

清水さんはそれらの写真を参考に、自身も松戸を巡って撮影したそう。

会場では、時代を超えたそれぞれの松戸の写真が併せて展示されています。

 

千葉県立美術館写真展、オランダ×千葉の風景

オランダ×千葉展覧会 写真展示

 

 

また、インスタレーション内には写真とは別に、

いくつもの巨大なバナーが天井から吊るされていました。

 

オランダ 写真術 千葉 徳川昭武
オランダ×千葉写真展の展示風景

 

 

本作を制作するにあたり、清水さんは戸定邸に隣接する戸定歴史館を訪れたとのこと。
歴史館には、昭武が残した膨大な写真や日誌、記録資料が残されていたそうです。
バナーでは、清水さん本人らしき「S」と、
歴史館の学芸員をモデルにしたと思われる「K」が、
昭武の生涯や人となり、記録魔ぶりについて対話しています。
千葉出身で千葉に長いこと住んでいましたが、
松戸の戸定邸も昭武のことも、2人の対話を通じて初めて知りました。

この作品を観たら、戸定邸のある松戸に行きたくなること必至。

松戸市は、清水さんを観光大使に任命すべきです。

 

 
続いて紹介されていたのは、オランダ生まれの写真家、
サラ・ファン・ライとダヴィット・ファン・デル・レーウのお二人。
それぞれ個人としても活動しているそうですが、
2人はパートナーでもあり、ユニットとしても活動しています。

 

写真展会場の展示風景

 

 
日本で彼らが紹介されるのは、今回が初めて。
すべての作品が初来日、日本初公開となります。

まず紹介されていたのは、「Still Life(静物)」シリーズ。

コロナ禍のロックダウン中に室内で撮影したというシリーズです。

 

オランダ×千葉写真展の作品群
オランダ×千葉写真展、青い顔と花
 
 
その作品はどれも、シュルレアリスムを彷彿とさせるものがあります。

 

メインとして紹介されているのは、「Metropolitan Melancholia」シリーズ。

コロナ禍のNYを舞台に撮影されたもので、

2023年には2人の初の写真集として発売もされています。

 

オランダ×千葉 写真展の作品

千葉県立美術館写真展:オランダ×千葉の作品

 

 

こちらのシリーズの作品の中にもやはり、

シュルレアリスムを彷彿とさせるものもありましたが、

ロシアアヴァンギャルドを彷彿とさせるものもありました。

NYが舞台なので、ソール・ライターを彷彿とさせるものもあります。

 

抽象的な黒い線と平行線のある写真

オランダ×千葉写真展の作品3点

 

 

お二人の作品はいい意味で、今っぽくないと言いましょうか。

あえて一昔前、二昔前のオシャレを狙っているような印象を受けました。

日本では今、“エモい”レトロブームが来ていますが、

オランダを含むヨーロッパでも同時多発的に発生しているのかも。

 

サラ・ファン・ライとダヴィット・ファン・デル・レーウの2人が、

千葉を舞台に撮影したら、どんなエモい写真が生まれるのか。

できることならば、それも観てみたかったです。

星

 

 

 

 

1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ