磯崎新:群島としての建築 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、水戸芸術館現代美術ギャラリーでは、

“磯崎新:群島としての建築”が開催されています。

 

 

 

「建築界のノーベル賞」ことプリツカー賞を、

2019年に受賞した国際的な建築家・磯崎新さん。

その没後初にして、史上最大規模となる回顧展です。

 

タイトルにある“群島としての建築”なる聞き慣れない言葉は、

磯崎さんの著書『建築における「日本的なもの」』に登場するのだそう。

 

「グローバリゼーション状態のなかに沈殿物が発生し、

 これが〈しま〉をつくり、世界は無数の凝固の集合体としての、

 群島(アーキペラゴ)となるだろう。

 そのひとつの〈しま〉のつくりだされかたは、

 (中略)もっと多様に開発されねばなるまい」

 

とのことです。

・・・・・ちょっと何言ってるかわからないですが、

ざっくり言えば、性格の異なるいくつかの建築群が、

俯瞰的に見ると、群島のようになんとなく調和する様を指すようで。

なお、磯崎さんは秋吉台国際芸術村において、

その群島的なプロジェクトを実現させています。

 

 

 

本展は、そんな群島という概念にちなんで、

建築や都市計画に限らず、著作や展覧会のキュレーションといった、

多岐に渡る磯崎さんの活動の数々を群島に見立てて紹介するものです。

現代美術ギャラリー全体を使って、

彼が生涯で手掛けた膨大な数の建築やプロジェクトが紹介されていました。

 

 

 

それらの中には、初期の代表作として知られる、

「群馬県立近代美術館」や「北九州市立美術館」をはじめ、

 

 

 

80年代の代表作「つくばセンタービル」や、

「ロサンゼルス現代美術館」はもちろんのこと、

 

 

 

伝説のコンペとされる「新都庁舎コンペ案」や、

晩年に手掛けた「カタール国立コンベンションセンター」も。

 

 

 

さらに、当然ではありますが、

水戸芸術館そのものも取り上げられています。

 

 

 

水戸芸術館に関しては、模型やパネルで紹介するだけでなく、

建築史家の五十嵐太郎さん監修・執筆による「水戸芸術館建築マップ」を作成。

マップを片手に、磯崎さんの代表作の一つといえる、

水戸芸術館の建物全体を散策できるようになっています。

ソフト面、ハード面ともに大充実!

まさに、磯崎新の建築展の決定版といえるでしょう。

星星

 

 

また、本展では、磯崎さんと美術の関係も余すことなく紹介。

自身でディレクションしたシルクスクリーンや、

雑誌の挿絵のために自ら描いた水彩画が展示されていました。

 

 

 

実は、もともと画家になりたかったという磯崎さん。

その腕前はお世辞抜きで、玄人レベル!

天は磯崎さんに建築以外の才能も与えていたのですね。

 

 

 

そんな磯崎さんは、キュレーターとしての才能も超一流。

1978年にパリの装飾美術館での開催を皮切りに世界を巡回した、

磯崎さんキュレーションの展覧会“MA Space-Time in Japan”(通称:「間」展」)は、

倉俣史朗や三宅一生、土方巽らも参加したことでも知られています。

本展では、そんな伝説の「間」展の一部を再現!

磯崎さんと高松次郎が当時コラボした作品も再現されていました。

 

 

 

展覧会を観れば観るほどに、

磯崎さんのマルチな才能に驚かされましたが、

個人的にもっとも驚かされたのは、ユーモアの才能。

文章は難しいものが多かったので、

本人自身も難解な人物なのかと思いきや。

彼の手掛けた建築作品には、ちらほらとユーモアの要素が見て取れました。

例えば、フロリダにあるウォルト・ディズニーの本社ビル。

 

 

 

よくよく観てみると、入り口に隠れミッキーが忍ばせてありました。

 

 

 

また例えば、大分県にある「富士見カントリークラブ クラブハウス」。

 

 

 

上から見ると、なぜか「?」マークのようになっています。

 

 

 

元から意識したわけではなく、設計の変更により、

たまたま「?」マークのようになってしまっただけのようですが。

ある時、その理由を聞かれた磯崎さんは、ジョークでこう答えたとか。

「なぜ日本人が熱心にゴルフをするのかという疑問を示した」と。

 

 

ちなみに。

ジョークといえば、こんなものも。

 

 

 

複雑な曲線の背もたれが特徴的なこのチェアは、モンローチェア。

磯崎さんがデザインを手掛けた、天童木工を代表する椅子です。

アイコンともいえるその複雑な曲線は、モンロー・カーブと名付けられています。

磯崎さんはマリリン・モンローの写真から、

ボディラインをトレースし、カーブ定規を作成したそう。

 

 

 

モンローチェアには、そのカーブが応用されているのです。

なお、モンローチェア以外にも、

磯崎さんの建築には、モンロー・カーブが使われているそう。

実は、水戸芸術館の建築にもモンロー・カーブが応用されていました。

それは、こちらの外階段。

 

 

 

今まで意識したことがなかったですが、

確かに、この階段は複雑な曲線をしています。

まさか、ここにモンローのボディラインが応用されていただなんて!

僕もビックリしましたが、モンロー自身はもっとビックリしていることでしょう。

 

 

 

 

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