■モナ・リザのニスを剥ぐ
作者:ポール・サン・ブリス
出版社:新潮社
発売日:2024/12/18
ページ数:320ページ
ルーヴルの至宝を500年前の素顔に戻せ!
古きを愛する学芸員オレリアンは、
実利優先のヤリ手新館長ダフネに無茶ぶりされた修復プロジェクトの旅に出る。
国家をも巻き込む大騒動の末、姿を現したモナ・リザの本来の顔とは?
視覚情報に溢れたSNS時代に、
美とは何か、本物とは何かを問いかける絶品アート小説。
(新潮社公式HPより)
「2023年にフランスで発売され、話題になったという本書。
帯には『驚異の21冠受賞。フランスの大型新人、衝撃のデビュー作。』とありました。
21冠って!DHCの化粧品ばりに、たくさんの賞を受賞してますね。
てか、そんなにフランスには本にまつわる賞があるんですね。
何はともあれ、期待を込めて読み始めました。
さて、本書は《モナ・リザ》にまつわるお話です。
コロナの影響もあって、年間あたり、
入場者数が100万人減となってしまったルーヴル美術館(←これは事実です)。
それを懸念したやり手の、しかし、美術には素人の女性新館長が、
《モナ・リザ》を修復することで、入場者数がアップを目指そうと考えます。
プロジェクトを担当することになったのは、主人公のベテラン学芸員。
修復には反対派だったものの、いろいろあって引き受けることになります。
しかし、一部のメディアや世間からのバッシングや、
あまりの大仕事に修復師がオファーを受けたがらない、など問題は山積み。
果たして、プロジェクトは成功するのか?!
設定だけ聞くと、三谷幸喜脚本っぽい感じですが。
実際は、そこまでコメディに振り切っておらず、
抽象的な表現も多用され、文学的な小説です。
良くも悪くも、フランスっぽいまどろっこしさはありました。
美術館業界の裏を描いてるので、
その点に関しては個人的に楽しめました。
本書で取り上げられていた現状は、
日本のミュージアムでも耳にするものも多く。
それらを解決するためにはやはり、
本書のダフネ館長みたいな人材を登用する必要はあるのかも。
また、一方で修復に関しては、
自分もほとんど未知の分野なので、
その歴史や方法などが知れて、大変勉強になりました。
本書には魅力的なキャラの修復師も登場するので、
本書を機に、修復について関心が一気に高まりました。
ちなみに。
ネタバレしないように、内容はぼやかしますが。
小説のラストでは、意外な展開が待っています。
フィクションならではのラストです。
そういえば、今年の1月、ルーヴル美術館は大規模な改修計画を発表しました。
その目玉として、《モナ・リザ》の専用展示空間が設置されるそうです。
本書が発売されたのは、2023年。
もしや、本書のラストのような展開を避けるために、
ルーヴル美術館は急遽、あのような改修計画を立てたのでは?
つい、そう勘ぐってしまいました。
全体的には面白かったのですが、
ときどき挟まれる官能シーンは必要なかったような。
それも、官能小説のような描写のわりとしっかりとした官能シーン。
Netflixで映像化されるのを前提に書かれた小説なのでしょうか。
それも勘ぐってしまいました。
(星3)」
~小説に登場する絵画~
アンドレア・デル・サルト《慈愛》

