沼田侑香 現実とエラー | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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調布市文化会館たづくりで不定期に開催されている、

「共生」をテーマにした展示プログラム“調布×架ける×アート”。

その第3弾として現在開催中なのが、“沼田侑香 現実とエラー”

2022年に東京芸術大学大学院絵画科油画を修了し、

「現実とデジタル世界の乖離とその未来」をテーマに制作する、

今注目の若手現代アーティスト沼田侑香さんの最新個展です。

 


 

さて、会場に入るとまず目に飛び込んできたのは、

《Imaginary burger shop》と名付けられたインスタレーション作品。

沼田さんが考案した架空のハンバーガーショップがモチーフとなっています。

 

 

 

一見、どこにでもありそうなハンバーガーショップですが。

空間内のあちこちで、コンピューターのエラーや、

バグのようなものが発生しているのが見て取れます。

 

 

 

さらに見渡してみると、空間内にいる人々も、

奇妙な世界の住人のような不穏さを醸し出していました。

 

 

 

さてさて、実はこれらの食べ物や人々は、

おもちゃのアイロンビーズで作られています。

 

 

 

一応説明しておきますと。

アイロンビーズとは、ビーズを並べて絵柄を作り、

アイロンなどの熱で溶かして接着し、プレート状にするおもちゃです。

沼田さんは、そんなアイロンビーズで作品を制作するアーティスト。

彼女はまずコンピューターの画面上で、

あえてエラーやバグのような表現を取り入れたイメージを作成するのだそう。

そして、そのイメージをもとに、ひたすらアイロンビーズで再現しているそうです。

そんな唯一無二のスタイルで制作された作品を実際に目の当たりにすると、

アイロンビーズというアナログな素材で出来ていることは頭では理解しているにも関わらず、

まるでデジタルの世界が現実に飛び出してきたかのような、不思議な印象を受けます。

今、目の前に広がっている光景は、

アナログなのか?それともデジタルなのか?

観れば観るほど、考えれば考えるほど、混乱すること請け合いです。

 

なお、アイロンビーズに馴染みが無いという方も、ご安心を。

会場の一角に「アイロンビーズLABO」が設けられており、

アイロンビーズの実物を見たり、触れたりすることができます。

 

 

 

さて本展では、《Imaginary burger shop》以外にも、

架空の牧場をテーマにした《IMAGINARY FARM》や、

 

 

 

スーパーマーケットを舞台にしたインスタレーション、

《SUPER 〈Fiction〉MARKET》も展開されていました。

 

 

 

ちなみに。

《SUPER 〈Fiction〉MARKET》には、エラーを起こした野菜やお肉とともに、

 

 

 

お馴染みのお菓子も並んでいました。

 

 

 

カルビーのポテトチップスはなんとなく王道な気はしますが。

世の中に数あるお菓子の中から、

あえてキャベツ太郎をセレクトしたところに、

沼田さんの独創的なセンスを感じました。

 

なお、本展のビジュアルに採用されているのは、

昨年発表された大作《Surfing the Net to the Moon》

インターネット草創期、一昔前のパソコン画面をモチーフにした作品です。

 

 

 

あの当時は、この画面に未来を感じていましたが、

数十年経った今改めて観てみると、もはや懐かしさすら覚えました。

そう言えば、このイルカたちを何度も消そうとしましたっけ。

 

 

 

沼田さんの作品自体は見ごたえもあり、とても興味深く、

これからますます彼女の活動を追っていきたいという気になりましたが。

展覧会としては、新作が無かったのは残念なところ、、、

冒頭で展開されていたハンバーガーショップのたインスタレーション以外は、

空間内にただ雑然と置かれている印象で、そこはかとない物足りなさを感じました。

決して沼田さんが悪いのではなく、

おそらくそこまで予算が無かったのでしょう。

入場料が無料というのは、鑑賞者的にはもちろんありがたいのですが、

多少入場料を取ってでも、もっとドーンとやり切った彼女の個展をやって欲しかったです。

星

 

 

 

 

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