でっちあげの罪を晴らすという奇跡。 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

美術の世界には、奇跡を起こしたヒーローが数多く存在する。
もしも、そんな彼らにヒーローインタビューを行ったなら・・・?

 

 

インタビュアー(以下:イ)「放送席、放送席。
       本日は平安時代を代表する美女、小野小町さんにお越し頂きました」

 

鈴木春信《小野小町》

 

 

小野小町(以下:小)「えー、“平安時代を代表する美女”だなんて!そんなそんな。

         世の中の人が勝手に“世界三大美女の1人”って言ってるだけですから」

 

イ「・・・なんか、さりげなく上方修正しましたよね?

  まぁ、それはそうとしまして。

  でも、それだけ美人だと、モテるんじゃないですか?」

 

小「ぜ~んぜん、モテないですよー」

 

イ「またまた!深草少将とのエピソードも伺ってますよ」

 

小「えー、誰でしたっけ?その人?」

 

イ「ほら、あの、小町さんに熱烈なラブレターを送った方ですよ。

  それに対して、確か小町さんは、

  『100日連続で通ってくれたら、OKしてあげる』って条件を出したんですよね」

 

小「んー。そういえば、なんかそんなことあったような??」

 

イ「それで深草少将さんは毎日、小町さんのもとに通い続けたんですよね。

  天気が悪い時に、牛車で通おうとしたら、

  『牛車で来られては目立ちます』って、やんわり断られて。

  大雨の中、蓑をかぶって歩いて通ったとか」

 

小「あー、思い出した!」

 

イ「で、最終的に100日目が運悪く大雪が降っちゃって。

  それまで蓄積された疲労と寒さで、凍死しちゃったんですよね」

 

小「深草少将だけに、まさに『凍死で草www』よね♪」

 

イ「いやいや、何を上手いことを言ったみたいに!

  ところで、そんな小町さんですが、

  ここ最近、歌合で大変なトラブルに見舞われたとか?」

 

小「そうなんですー。

  私って美人なだけじゃなくて、歌の才能もあるじゃないですかー?

  それでよく嫉妬されちゃうんですよね」

 

イ「・・・あ、そうなんですね」

 

小「それで、この前の歌合の時に、

  私の素晴らしい和歌を紀貫之さんが詠みあげたんですね」

 

イ「はいはい」

 

小「当然のように帝も絶賛してくれたんですけど、

  対戦相手の大伴黒主さんが、いきなりイチャモンをつけてきて」

 

イ「どんなイチャモンですか?」

 

小「それと同じ和歌が『万葉集』にあるからパクリだ!って。

  ヒドくないですか?そんなわけないのに!

  しかも、あの男、丁寧に『万葉集』の草紙を持ってきてて、

  その中に、私が詠んだ歌と同じ歌が書いてあったんです」

 

イ「パクリじゃないとしたら、たまたまかぶっちゃったんですかね?」

 

小「いや、私、すぐにあの男が犯人だと思ったんです。

  名前に“クロ”があるし」

 

イ「それはさすがに偏見のような・・・」

 

小「改めて、あの男の『万葉集』を見たら、

  疑われた歌の部分だけ、墨の色が違ったんですよー。

  それで水を用意してもらって・・・・・

 

尾形光琳《小野小町草紙洗図》

 

 

   その中に草紙ごと、ぶち込んでやったの!」

 

イ「えっ?えっ!いいんですか、そんなことして??」

 

小「そしたら、その歌が消えてしまったんですよー。アハハ」

 

イ「どういうことですか?」

 

小「実は、大伴黒主さんは歌合の前日に、私の家に忍び込んでたみたいで。

  それだけでもチョー最悪なんだけど、

  私が歌合で発表する歌を盗み聴きしたんですって。

  で、それを『万葉集』の草紙に書き込んで、

  もとからその歌があったように細工をしたんです」

 

イ「つまり、後から書かれた和歌だけが、

  水に流れて、消えてしまったということでしょうか?」

 

小「んー、たぶんそんな感じ?」

 

イ「物理的には、にわかに信じられない話ですが、

  まぁ、奇跡的に小町さんの冤罪は晴れたわけですね」

 

小「そうなんですー♪」

 

イ「大伴黒主さんはどうなったんですか?」

 

小「罪を恥じて、自害しようとしてたんだけど、

  さすがに、そんなことで死なれちゃ私も責任感じちゃうしー。

  許してあげましたよ。で、ついでに和解を祝う舞も踊ってあげて」

 

上村松園《草紙洗小町》

 

 

イ「何ですか?そのエンディングは??

  『逃げ恥』の恋ダンスみたいな感じですか?

  まぁ、でも、小町さんは優しいですね。

  もっと懲らしめても良かったのに」

 

小「いいのいいの。歌の才能がありすぎる私も悪いんだし。

  それに、彼の私物の『万葉集』がびしょ濡れになって、いい気味だったし。

  草紙だけに、まさに『草紙で草www』よね♪」

 

イ「さっきから、それ何なんですか?!

  現場からは以上です。放送席にお返しいたします」
 

 

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