現在、富山県美術館で開催されているのは、
“没後20年 東野芳明と戦後美術”という展覧会です。
富山県美術館の前身となる県立近代美術館の運営委員などを務め、
戦後日本『美術評論の御三家』の一人に数えられる美術評論家、東野芳明。
その没後20年を記念して開催される展覧会です。
美術評論家の展覧会と聞いて、
“なんか地味そう・・・”と思った方もいらっしゃることでしょう。
しかし、東野芳明自身が制作した作品も出展されていますが、
出展作の大半は、彼が日本に紹介した海外の作家や見出した日本人作家のもの。
そのラインナップは、実に豪華です!
ただ、実際に展覧会を観てみないことには、それが伝わらないので、
美術館のエントランスには、スルーされないよう(?)、こんなポップが貼られていました。
なお、ポップに名前が掲載された作家の他にも、
東京都美術館で大規模回顧展が絶賛開催中のミロや、
2020年の東京都現代美術館での大規模な回顧展を機に、
国内外から再注目されたデザイナー・アートディレクター・石岡瑛子、
(ちなみに、富山県美術館のこの次の展覧会は、石岡瑛子展だそうです)
さらには、ダリやエルンスト、ホックニー、
横尾忠則さん、大竹伸朗さんらの作品もあります。
国内外の戦後の美術界のスターが勢ぞろい!
東野芳明がいかに多くの芸術家と関わりがあったのか。
その事実をこれでもかと痛感させられました。
なお、『実感』ではなく、『痛感』と表記したのは、
この展覧会が想像以上にボリューミーだったから(笑)。
なんとなく、4、5章立てだと思っていたのですが、
6章が終わっても、7章が終わっても、展覧会が終わる気配がなく。。。
最終的に、9章でようやく幕を閉じました。
ジョジョに匹敵するくらい壮大な展覧会です。
ちなみに。
東野は数多くの芸術家と親交がありましたが、
特に深い親交を結んだのが、同い年のジャスパー・ジョーンズだったそう。
それゆえ、章のはじめにはそれぞれ、
ジョーンズの「黒の数字」シリーズが展示されていました。
そうそう、東野と芸術家との交流と言えば。
キャンバスをナイフで切り裂く「空間概念」シリーズでお馴染み、
イタリアの芸術家ルーチョ・フォンタナとも交流があったようです。
それに関してキャプションには、こんな一文が書いてありました。
「東野はフォンタナに幾度も会い、
会うとすぐに作品をくれると述べている。」
フォンタナって、所ジョージさんくらいに、
気軽に私物をプレゼントしちゃう人だったのですね(笑)!
さてさて、作品の量も約250点とボリューム満点なのですが、
それに加えて、美術評論家の展覧会だけに、テキストが多いのも特徴です。
会場の随所に、東野の著書が置かれているだけでなく、
(これらの著書は実際に手に取って読むことができます)
作品に寄せた東野の批評も多く紹介されています。
その生涯で膨大な量のテキストを書いた東野。
現在確認できる最も古い彼のテキストは
意外なことに、同人誌に寄稿した詩なのだとか。
そんなバックボーンがあるからでしょうか、
紹介されていた彼の批評の中には、まるで詩のようなものもありました。
美術批評家は、あくまで美術を批評する側の人間で、
アーティストではない、と勝手に思い込んでいましたが。
一流の美術評論家もまた、アーティストである。
そんなことを学んだ展覧会でした。

















