JTこと日本たばこ産業が運営するたばこと塩の博物館では現在、
“嗅ぎたばこ入れ 人々を魅了した小さな容器”が開催されています。
日本では、「たばこ=口から吸うもの」というイメージが強いですが、
世界的には、鼻から吸うたばこ、いわゆる嗅ぎたばこもポピュラーなのだそう。
もともとはアメリカ大陸先住民の風習でしたが、
大航海時代以降にヨーロッパへと伝わり、普及しました。
こちらは、18~19世紀に描かれたという《嗅ぎたばこを嗜む男性》の絵。
あまり美味しそうには感じられませんが、
「まず~い、もう一本!」的な感じなのかもしれません。
と、それはともかくとして。
嗅ぎたばこを嗜む上で欠かせなかったのが、
嗅ぎたばこを保管するための容器「嗅ぎたばこ入れ」です。
庶民は木製の簡素のものを使っていたそうですが、
上流階級の人々は、ゴージャスな嗅ぎたばこ入れを使っていました。
本展では、たばこと塩の博物館のコレクションの中から、
フランスを中心に、ヨーロッパの多彩な嗅ぎたばこ入れが紹介されています。
一口に嗅ぎたばこ入れといっても、その素材は実に多種多様。
金属製の嗅ぎたばこ入れもあれば、
ガラス製の嗅ぎたばこ入れもあります。
さらに、珍しいところでは、
貝や動物の角でできた嗅ぎたばこ入れもあります。
数ある嗅ぎたばこ入れの中で、
個人的に一番印象に残っているのが、こちら↓
一瞬、裏返しになったセミかと思いましたが、
ナポレオンをモチーフにした木製の嗅ぎたばこ入れとのこと。
左手に持っているのは、ぶどうでしょうか?
体形はずんぐりむっくり。
顔も肖像画でお馴染みのものとは違います。
リアルに、誰だよ?!
さてさて、嗅ぎたばこの文化はその後、
ヨーロッパからアジアへと伝えられました。
中でももっとも根付いたのが、中国。
ヨーロッパでは箱型の嗅ぎたばこ入れが主流でしたが、
中国では、瓶や壺のようなボトルタイプのものが主流となりました。
それが、鼻煙壺(びえんこ)です。
中国の歴代皇帝が作らせたこともあり、
鼻煙壺は美術工芸品として高く評価されており。
大阪市立東洋陶磁美術館や故宮博物館、V&A博物館といった、
世界の名だたるミュージアムが鼻煙壺コレクションを有しているほど。
本展では、同館が所蔵する鼻煙壺の名品たちが一挙公開されています。
超絶技巧の限りが尽くされた象牙製の鼻煙壺や、
玉や翡翠といったゴージャスな素材で作られた鼻煙壺を筆頭に。
サイズそのものは小さいながらも、
スケールの大きさを感じずにはいられない、
そんな鼻煙壺がこれでもかと展示されています。
それらの中でさらに驚かされるのが、
「内絵」という技法で作られた鼻煙壺です。
パッと見は、普通の鼻煙壺に思えるかもしれません。
しかし、これらの絵は外側ではなく、
穴からL字型の極細の筆を入れ、ガラスの内側に描いているのです。
だから、内絵。
モノクロであれば、まだ頑張ればできそうな気もします。
しかし、内絵の名人クラスともなれば・・・・・
カラフルな絵も自由自在。
文字だって書けてしまいます。
さすがは中国。
恐るべき職人技です。
ちなみに。
紹介されていた内絵の鼻煙壺には、こんなものも。
明らかに、加山又造の猫の絵のパク・・・(自粛)。
他のとは違う意味で、「さすが中国」と思わされました。
自分にはそもそも喫煙の習慣が無く、
ましてや、嗅ぎたばこなんて吸ったことないのですが。
それでも、“ちょっとコレは欲しいかも…”、
と思える嗅ぎたばこ入れが多々ありました。

たばこのことは嫌いでも、嗅ぎたばこ入れのことは嫌いにならないでください。


















