現在、国立科学博物館地球館の特別展示室では、
科博史上初となる鳥類をテーマにした展覧会が開催されていますが。
日本館の1階では、貝類をテーマにした展覧会、
“貝類展:人はなぜ貝に魅せられるのか”が開催されていました。
正直なところ、鳥類展が目当てで科博に訪れたので、
“ふーん。貝類展もやってるんだ。まぁ、一応観とくか。一応”、
といったくらいのテンションで、日本館に足を運んだのですが―
会場に足を一歩踏み入れた瞬間、思わぬ光景に目を見張ってしまいました!
な、何ぞ?!!
ネオ・ルネサンス様式の建築の日本館に巻き付くダイオウイカ。
意味がわからなすぎて、一瞬脳がバグったのかと思ってしまったほどでした(笑)。
実は、イカやタコは貝類の仲間、同じ軟体動物門に分類されています。
本展の冒頭では、そんな貝類の基本を紹介。
それらのトピックの中で巨大な貝も紹介されていました。
こちらは現生の巻貝の中で最大の種とされるアラフラオオニシ。
その殻の長さは、最大75センチメートルに達するそうです。
なお、現生していないものも含めると、
最大とされる貝は、オオジャコなのだそう。
最大1.35メートル。
その重さは、230キログラムもあるそうです。
この貝なら、ヴィーナスも乗れそうな気がします。
反対に、世界最小とされるのは、ミジンワダチガイ属の貝とのこと。
そのサイズは、ごま粒よりも小さかったです。
小ささに驚いた以上に、これほどまでに小さな貝を、
どうやって海の中から発見したのか、そっちのほうが気になりました。
さて、そんなたくさんの驚きから始まった貝類展ですが。
しかし、会場では他にもまだまだ多くの驚きが待ち受けていました。
本展でまず紹介されていたのは、貝類の多様さ。
貝類に対して、地味な印象を抱いていましたが、
想像の斜め上を行くカラフルなタイプのものもありました。
中には、キャンディみたいな貝も。
その名も、イチゴナツモモ。
ビジュアルだけでなくネーミングも、貝らしくありません。
そんなポップな愛らしい貝とは真逆で、
ロックでパンキッシュな貝も存在しています。
トゲトゲしているのは、外敵から守るだけでなく、
波の荒い海で流されないようにするためなのだとか。
いうなれば、スパイクの役割をしているのですね。
ところで、本展のサブタイトルは、“人はなぜ貝に魅せられるのか”。
そう、本展は生物学の観点だけでなく、
人物と貝類の関わりも、大きなテーマとなっています。
それゆえ、貝塚から発見された出土品なども紹介されていました。
それらの中には、貝刃や貝包丁といったものも。
その昔、貝は刃物としても使われていたのですね。
あっ、だから、カミソリのあのブランドは、貝印なんだ!
そう思ってすぐにググってみたところ、やはり社名は、
貝が古代には刃物として使われていたことが由来のようでした。
(もう一つの理由は英語の「シェル」と2代目社長の本名「繁」の発音とどことなく似ているから)
また、食材としての貝や、工芸品の素材としての貝も紹介。
改めて考えてみると、我々の生活と貝は密接に関わっているのですね。
さらに、本展では貝に魅せられた、
貝コレクターたちのコレクションも紹介されています。
例えば、こちらは河村良介なる方の貝コレクション(のごく一部)。
河村さんは、なんとJCBの初代社長だそうで、
1万種以上10万点を超える超A級コレクションを作り上げ、
生前にそれを国立科学博物館に寄贈したそうです。
ちなみに。
貝コレクターの世界には、「ダンスの50貝」なるものがあるのだそう。
大英博物館に勤務していたイギリスの貝学者、
ピーター・ダンスが1969年に発行した『Rare Shell』。
この本の中で取り上げられている、
当時珍しくかつ人気のあった50の貝が「ダンスの50貝」です。
本展では海外の博物館の協力を得て、そんな「ダンスの50貝」をコンプリート。
実は、日本で50種全て揃う機会は、今回が初めてなのだとか!
全然ニュースになっていませんが、
貝マニアにとっては、とんでもない事態が起こっていたのですね。
なお、「ダンスの50貝」の中でもとりわけ稀少なのは、ウミノサカエイモとのこと。
コレクターの間では、世界一高価な貝とされており、
世界中に何個あって、誰が保有しているかわかっていたそうです。
まったくノーマークの展覧会だったものの、
貝類の紹介の仕方も非常に興味深かったですし、
生物学だけでなく、人類学の視点を交えたのも良かったですし、
何より「ダンスの50貝」が観れましたし、それだけでも大満足なのですが。
貝塚をイメージした展示パネルなどの造作物、
さらに、深い意味はよくわかりませんでしたが(笑)、
貝にまつわる偉人たちの言葉を独特なスタイルで紹介するなど、
貝類展をより楽しいものにしようという、創意工夫が随所に見て取れました。
鳥類展に比べて、あまり発信されていない気がしますが(貝だけに?)。
もっと注目されるべき展覧会です!



























