“パウル・クレー おわらないアトリエ” をご紹介いたします。
これまでにも日本にて、クレーの 「色彩」 感覚にフォーカスを当てた、
まさに色々なパウル・クレー展が開催されてきたそうですが。
今回の東京国立近代美術館でのクレー展は、
「クレーの作品は物理的にどのように作られたのか」
という点にフォーカスが当てられた、
今までにはないニュータイプのクレー展。
これまでのクレー展が、画集のような印象ならば、
今回のクレー展は、いわばクレーのメイキング映像集のようなもの。
クレー監督が、作品をどう作ったのか、
そのこだわりや技法が余すことなく紹介されています。
それゆえ、
“あ、またクレー展やるんだ”
とスルーしそうだった皆様、くれぐれも素通りしませぬように。
(かくいう、僕もスルーしそうな一人だったのでf^^;)
「おわらないアトリエ」 とありますが、
美術展は7月31日に終わってしまいますので、お早めに。


ともあれ。
今回のクレー展を通じて、だいぶクレーに対する印象が変わりました。
自身の全作品 (約9600点!) をリストにして、こと細かくチェックしていたことや、
“特別クラス” と自ら分類した作品を模範作として手元に置き、生涯にわたって研究していたこと・・・などなど。
「クレーは、意外と自分が好きなんだなぁ (笑)」
という一面を知ることが出来ました。
いやはや、自分に自信があることは良いことです。
そんなクレーのナルシストな一面はさておき、
今回のクレー展では、クレーの名アレンジャーぶりな一面に魅了されました。
例えば、こちらの作品。

1924年に制作された 《花ひらく木》 という一枚です。
この約10年後、クレーは、 《花ひらく木》 を90度回転させ、2倍に拡大した・・・
ヴィンタートゥーア美術館 Dr. Emil and Clara Friedrich-Jezler 寄贈、1973 © Schweizerisches Institut für Kunstwissenschaft, Zürich, Lutz Hartmann
《花ひらいて》 というセルフプロデュース作品を発表。
より、明るくポップに生まれ変わっていたのが、印象的でした。
と、このように、自らの作品を、
いろいろなテクニックで、リバイバルするパウル・クレー。
会場では、他にも、こんなテクニックが紹介されていました。
まずは、こちらの素描画 《綱渡り師》 をご覧くださいませ。
Abteilung für Medientechnologie, Universität Bern / Archiv Zentrum Paul Klee, Bern名アレンジャー・クレーは、この作品を、カーボン紙の要領で、他の紙に転写し、
彩色することで、新たな 《綱渡り師》 に仕上げました。
Abteilung für Medientechnologie, Universität Bern / Archiv Zentrum Paul Klee, Bernまた、今回のクレー展のチラシにも、
クレーのアレンジャーの仕事がわかる仕掛けが。

こちらは、一枚の絵のような気がしますが、開きますると・・・

2枚の絵に!
《マネキン》 と 《なおしている》 という2点の作品は、もともと1つの作品だったのです。
クレーの大胆なカットにより、1つの絵が、2枚の独立した作品へ。
これまた、クレーならではの名アレンジャーぶりです。
ちなみに。
いつぞやのクレー展で出会った妙に可愛いヤツにも再会。

この 《別れを告げて》 という作品も、
おおもとの絵から切り離された一枚であったことが、今回の美術展で発覚。
コイツは、ソロデビューを果たしていたのですね (笑)
さてさて、今回のクレー展。
クレーの名アレンジャーぶりもさることながら、
美術展のいたるところに、こだわりが感じられて、
東京国立近代美術館の学芸員さんのアレンジャーぶりも光っております。
キャプションを、4色の可愛いカラーピンで止めてみたり、
美術館の会場全体をアトリエのイメージで統一してみたり。
何よりも、メイン会場が斬新なレイアウトに!

このレイアウトもまた、
クレーの作品であるかのような錯覚を覚えてしまったほどです。
最後に。
クレーの “特別クラス” 作品の中から、
一番気にいった一枚を紹介いたしましょう。
《嘆き悲しんで》

悲しいはずなのに、とってもポップ。
緻密に計算された色合いに、いつまでも眺めていたくなった作品です。
・・・で、この作品の隣にいたのが、 《ぼろきれお化け》

泣かせたのは、たぶんコイツ (笑)
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