先日の地震の影響で、
『予定していた美術展が中止→急遽、コレクション展→なんだか残念な展示。。。』
という流れが多い中で。
“プーシキン美術館展” という大々的な企画が中止になってしまった横浜美術館だけは、一味違います。
たったの1ヶ月で、何事も無かったかのように、
“生誕120年記念 長谷川潔展” という全く新しい企画展を作り上げてしまいました!
しかも、美術展として、普通に面白い!!
突貫工事感は、ほとんど感じられません。
この素早い対応力は、特筆ものです。
さすが、横浜美術館。
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さてさて、この美術展で一番得をしたのは、何と言っても、長谷川潔その人でしょう。
せっかくの生誕120年だったのに、
本来は回顧展が企画されていなかったわけですから(笑)
続いて、得をしたのは、僕かもしれません。
「版画家で一番好きなのは、長谷川潔!」 と断言できるくらいにハセキヨのファン。
実は、密かに、長谷川潔展が開催されないものかと期待をしていたのです。
さて、美術展の感想の前に。
まずは、ハセキヨを知らないという方のために。
簡単に、ご紹介をいたしましょう。
長谷川潔 (1891―1980)
日本が世界に誇る版画家の一人です。
・・・と言いつつも、そこまで日本では有名ではありません。
彼が活躍したのは、日本ではなく、フランス。
27歳の時よりフランスに移り住み、
その後、一度も日本に帰らず、フランスで創作活動を続けたのです。
彼の美術は、フランスでは非常に高く評価されており、
レジヨン・ドヌ-ル勲章、フランス文化勲章、パリ市金賞牌など、数々の名誉ある賞を授与されているほど。
さらには、フランス王立貨幣賞牌鋳造局が、
葛飾北斎、藤田嗣治に次いで3人目の日本人画家として肖像メダルを発行したほどの人物。
まさに、世界で活躍する日本人です。
長谷川潔のアーティスト人生において、
一番評価されているのは、マニエール・ノワールという版画の技術を復活させたこと。
これは、当時、幻の技法と言われていたそうで、
直訳すれば、 「黒の技法」 となることからもわかるように、黒が美しく映える版画の技法です。
・・・まぁ、言葉で説明するよりも、
実際に、長谷川のマニエール・ノワール作品をご覧頂きましょう。
《飼い馴らされた小鳥》
画像で見る数十倍は、実物の 「黒」 は美しいです。
マニエール・ノワールうんぬんの知識を、まだ知らない時に、
長谷川潔の版画を、たまたま目にして、あまりの美しさに足が止まってしまったのを、今でも覚えています。
さまざまな美術品で、他にも美しい 「黒」 は目にしたことがありますが、長谷川潔の 「黒」 は別格。
透き通るような黒。透明感のある黒。ピュアな黒。
是非、一度皆様にも、目が黒いうちに、観て頂きたいものです。
そして、長谷川潔の作品の中で、
マニエール・ノワールと並んで、もう一つ観て頂きたいテクニックが、こちら。
超絶技巧と評された繊細なレース紋様を浮かび上がらせたもの。
この技は、長らく秘法とされていたほどの長谷川潔の代名詞。
美しい黒に浮かび上がる美しいレース紋様。
ため息ものです。
さてさて。
今回の長谷川潔展は、
ここまでに紹介したようないわゆる長谷川潔らしさ全開の全盛期の作品だけでなく。
《風(イェーツの詩に寄す)》 のような初期の作品から、
晩年の作品まで、幅広く約200点も展示されています。
これまでの長谷川潔のイメージを覆す作品も、
多々展示されていて、飽きさせない内容になっていました。
個人的には、 《夜会服の鳩》 のユーモラスさが、意外でした。
(画像はありません。題通り、夜会服を着た鳩を描いたものです)
また、意外と言えば、
《一樹(ニレの木)》 に添えられたエピソードも、自分的には意外でした。
50歳になった長谷川潔。
ある朝、パリの街を散歩していると、
見慣れたはずの老木が、急に輝きだして、 「ボンジュール!」 と話しかけてきたのだとか。
(↑急に、不思議ちゃんエピソードが登場して、ビックリしました)
それに対して、長谷川潔は、 「ボンジュール!」 と返したのだとか。
(↑えっ、何の疑問も持たずに!?)
長谷川潔は、意外と、こりん星的なキャラだったのでしょうか。
最後に、今回の展示で、純粋に一番グッと来た作品を、ご紹介。
《ダリア(愛の天使の窓掛)》
背景に描かれた愛の天使のレースが、
ファミコンのビット絵みたいで、だいぶ可愛いです♪
その可愛さと、精巧なガラスの表現との対比に、ギャップ萌えしそうでした。





