吾輩は、お札である。
価値は、1000円以下でも以上でもない。
そろそろ入学シーズンであるので、
親戚の子どもの元に、吾輩を送ることなどもあるだろう。
しかし、昨今の子どもたちは、
吾輩の子供時分に比べて、贅沢である。
おそらく、吾輩一人では、喜んではくれまい。
「DSのゲームが買えないじゃないか!」 と、唾棄される恐れすらある。
あぁ、恐ろしいことである。
だからと言って、子どもたちに、
同じ文学仲間である樋口女史を送るほどではなく、
いわんや福沢先生においてをや、である。
吾輩一人で、何とかことを済ませたい。
そう思っている貴君に朗報である。
アートテラーなる職業に付いている我が持ち主が、
上野の森美術館のミュージアムショップで、素晴らしきミュージアムグッズと邂逅したのだ。
こちらである。
何でも、仮装ポチ袋 (525円) というのだそうだ。
察しの良い貴君ならば、もう全てを理解したことであろうが、
今しばし、吾輩の話に付きあってもらいたい。
吾輩は、2つ折になって、このポチ袋に入り込む。
刮目せよ!
吾輩の人生の中で、初めてとなるコスプレである。
このような吾輩の姿を目にすれば、
子どもたちが楽しむこと、請け合いである。
難点は、うっすらとしか吾輩の顔が見えないことだが、これもまた一興というものだ。
吾輩の仮装に感化されたのか、
樋口女史も、コスプレをしてみたのだそうだ。
吾輩としては、いつもの地味な樋口女史よりも、
こちらの仮装姿の方が、好みである。
吾輩が銅色、樋口女史が銀色、
となれば、福沢先生は金色と予想し得たであろう。
そして、貴君は、その姿を見たいはずだ。
しかし、その画像はない。
なぜか?
それは、吾輩が一番わかっている。
吾輩の持ち主の懐には、
仮装ポチ袋を3種類も買う財力が無かったのである。




