琳派芸術 第2部 <転生する美の世界> | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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出光美術館で開催中の “琳派芸術―光悦・宗達から江戸琳派”

第1部の “煌めく金の世界” に引き続き、

第2部の “転生する美の世界” にも行ってまいりました。


煌びやかな京都の琳派の世界を展覧した第1部に対し、

第2部は、今年生誕250年を迎えた酒井抱一を中心に、粋な江戸琳派の世界を紹介。

個人的には、第1部よりも、今回の第2部の方が、断然良かったです。

ですから、 「第1部、行ってないんだよね~・・・」 という皆様、どうぞご安心のほどを。

その代わり、今回の第2部は、会期を逃さないようにして下さいませ!

星星



さて、今回の美術展は、展示の一発目からガツンと来ます。

鈴木其一の 《三十六歌仙図》

(画像はありません。あしからず)


三十六歌仙 (=和歌の名人36人) 全員が、

狭い画面内に、ひしめきあうように描かれている掛軸です。

しかし、数えてみると、35人。


“・・・あれれ?数え間違い??”


どうやら、絵にその姿を確認できなかったのは、三十六歌仙のうちの一人・斎宮女御。

このお方は、三十六歌仙の中で唯一のやんごとなき人物。

それゆえ、姿は見えねど、画面右上の御簾の後ろにいらっしゃるという設定なのだそうです。

遊び心ある演出です。



さて、この作品。

絵そのものよりも、表装の方が印象的です。

江戸時代の絵とは思えないほど、色鮮やか。

かつ、モダンすぎるデザイン。

さらに、細かすぎて伝わらないですが、

軸部分にも螺鈿の装飾が施されているという凝りよう。

是非とも、ご覧頂きたい逸品です。



もちろん、鈴木其一の師匠であり、

今回の展示の主人公でもある酒井抱一の作品は、文句なしに素晴らしかったです。


まず紹介したいのが、 《燕子花図屏風》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-燕子花図屏風



この大胆に配された余白が、ニクいです。

一匹のおはぐろトンボが、画面の中央に止まっているのもニクいですし、

群青色の燕子花の中に、白い燕子花が交じっているのも、またニクい。

酒井抱一の洒脱なセンスに、感服せざるをえない一枚。



続いて、今回のポスターにも使われている 《紅白梅図屏風 (右隻) 》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-紅白梅図屏風



酒井抱一は、尾形光琳をリスペクトしつつも、

100%模倣するわけではなく、独自の美の世界も追及していきました。

「尾形光琳=金屏風」 に対し、

酒井抱一は、あえて銀地の屏風に挑んだのです。

確かに、金屏風に比べたら、圧倒的に派手さは無いですが。

風流な趣きは、銀屏風の方に感じました。

まさに、いぶし銀という感じ。


銀屏風の世界に可能性を見出した酒井抱一の


「銀 (=二位) じゃ、ダメなんでしょうか?」


という声が聞こえてくるようです。



それから、もう1点。

今回の美術展で、一番感心した作品をご紹介。

《八ツ橋図屏風 (右隻) 》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-八ツ橋図屏風



こちらの屏風の元ネタは、

メトロポリタン美術館が所蔵する尾形光琳の 《八ツ橋図屏風 (右隻) 》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《八ツ橋図屏風 (右隻) 》



美術展では、酒井抱一がリスペクトする尾形光琳の作品を模倣したと紹介されていましたが。

しばらく眺めていて、衝撃的なことに気が付きました!

単なる模倣ではなく、光琳の 《八ツ橋図屏風》 を、進化させていたのです!


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-八ツ橋図屏風  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《八ツ橋図屏風 (右隻) 》



比べてみても、構図や色合いなどに、そこまで差は見られないのですが。

注目すべきは、橋げたの表現。

光琳の橋げたは、すべて画面に対して正面の状態で描かれているのに対し、

抱一の橋げたは、いろんな方向に向けられて描かれています。


一体、それにどんな意味があるのでしょうか?


その答えは、屏風を折り曲げてみることでわかります。

ということで、ちょっと工作タイム。

2つの絵を印刷して、切って、屏風状に折ってみました。

はてはて、ふむ~♪


光琳の 《八ツ橋図屏風》 は、このような状態。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-八ツ橋図屏風



それに対し、抱一の 《八ツ橋図屏風》 は、このように。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《八ツ橋図屏風》



どうでしょう?

橋げたに角度がついている分、

抱一の 《八ツ橋図屏風》 に描かれている方が、よりリアルな奥行き感が生まれています。

抱一が、屏風の折り方まで計算していた描いたのは、疑いようもありません。


光琳の 《八ツ橋図屏風》 が、普通のニンテンドーDSなら、

抱一の 《八ツ橋図屏風》 は、ニンテンドー3DSのようなもの。

江戸の人々は、この3D体験に、驚かされたことでしょう。



4月16日より根津美術館で始まる “KORIN展” で、

光琳作の 《八ツ橋図屏風》 を観るのを、密かに楽しみにしていましたが。

抱一の創意工夫が秀逸な 《八ツ橋図屏風》 を観てしまった今、そこまで楽しみではなくなってしまいました (笑)





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