でも、今回の浮世絵展。
普通の浮世絵展とは、ちょっと切り口が違うのです。
浮世絵師をフィーチャーした浮世絵展でも、
浮世絵の画題にテーマを持たせた浮世絵展でもなく、
『浮世絵のデザイン』 にスポットを当てた浮世絵展。
その名も、
“浮世絵にみる意匠 -江戸の出版デザイン-”
です。
2月20日まで。
浮世絵とデザイン。
何となく、イメージできるようでイメージできない2つの関係。
“本当に、浮世絵にデザイン性なんてあるの??”
と、疑問を持たれる方もいらっしゃることでしょう。
しかししかし、江戸の当時、
浮世絵は、売れてナンボ、人目を引いてナンボのもの。
絵師や版元は、売上アップを目指して、
浮世絵に斬新なレイアウトや装飾を取り入れるのは、当然の成り行きというもの。
必然的に、デザイン性が重要になってくるわけです。
今回の浮世絵展では、
そんなデザイン性に優れた浮世絵が、多数紹介されています。
ということは、この浮世絵展には、‘売れる浮世絵’ 作りのヒントがいっぱい。
明日のスター浮世絵師、人気版元を目指している方にとっては、
絶対に見逃せない浮世絵展と言えましょう!
(もちろん、目指してない方も観て下さいw)


では、まずは、“売れるために その1” から。
売れる浮世絵のポイント。
それは、何より、人目を引くことにあります。
では、どうすれば人目を引くのか?
その答えは、レイアウトにありそうです。
例えば、二代喜多川歌麿の 《花魁図》

ただ花魁を描いただけではなく、
花魁の周りを、様々な印章 (ロゴ?) でレイアウトした、一風変わった美人画。
こんなにもロゴが描かれていると、ちょっとビックカメラの紙袋を連想してしまいます。
当時のスター・歌舞伎役者を数人描くときは、
カッコよく映えるように、レイアウトには最新の注意を払ったと見えます。
三代歌川豊国 《景清・風車売・花鳥風月之内としま》

お次は、3人の浮世絵師による絵を、
大胆に1枚にレイアウトしてしまった珍しい浮世絵。
《八犬伝・仙人・河豚と根深》

この浮世絵で、まさかのコラボを果たしているのは、
歌川広重、歌川国貞、歌川国芳という3人の大御所浮世絵師。
他には類を見ない超レアな豪華共演ながら、
広重が描いたのは、あんまりパッとしないフグの絵。
もっと真剣に取り組んで欲しかったものです (笑)
レイアウトするのは、浮世絵の構図だけに非ず。
目を引くためなら、浮世絵を刷る紙の形もレイアウトしてしまいます。
例えば、こちらの鳥居清長の 《母の裾を引く子》

“長細っ!!”
人目は引きますが、収納には不便そうです (笑)
続いて、“売れるために その2”
浮世絵本編だけでなく、おまけ (?) のコマ絵にもこだわりましょう。
例えば、歌川国貞の 《当世相姓懐中鏡 おはん長右衛門》

全体写真を撮る時に休んでしまった生徒のように、
画面右上に描かれているのは、 『お半長右衛門』 というお話に登場する長右衛門。
普通のコマに描かれているようですが、
よく見ると、懐中鏡の中に描かれています。
本編を食ってしまったコマ絵は、他にも。
歌川国周 《見立昼夜廿四時之内 午前三時》

こちらは、遊女の24時間を、1時間ごとに描いた24枚連作のシリーズ。
いわば、遊女版24-TWENTY FOUR-。
その午前3時は、子供をあやしている場面が描かれています。
で、コマ絵に注目。
描かれているのは、なぜか、一つ目小僧。
横には、こんな言葉が書かれています。
「なくとおばけが三時升」
三時升=参じます。
ねづっちか (笑)
ラストは、“売れるために その3”
フレームにこだわることも、売れる浮世絵の秘訣です。
鳥居清満 《梅やしき》

梅の木がフレームになっているという斬新な一枚。
プリクラにも使えそうなフレームです (笑)
こんな変化球的なフレームも。
菊川英山 《青楼美人春手枕 鶴屋内橘 うこんさこん》

遊女たちの休憩時間を描いた一枚です。
画面の上に描かれているのは、一番右で寝ている遊女の夢。
『夢』 の表現方法は、
浮世絵の時代から、今の漫画に至るまで、そんなに進化しなかったのですね (笑)
さて、最後に。
今回の美術展に出展されている浮世絵の中で・・・いや、僕が今まで見てきた浮世絵の中で、
「こんなにカッコいいデザインの浮世絵が、江戸時代にあったの?!」
と、衝撃を受けた作品をご紹介いたしましょう。
三代歌川豊国 《御あつらへ三色弁慶》

江戸時代にも、チェック模様があったということに驚き!
(弁慶縞と呼ばれていたそうです)
何だか、この三人が、
“三色弁慶” という名のユニットのように思えてきました (笑)
ランキングに協力してくれとは言わないが…