小村雪岱とその時代 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

うらわ美術館 を観賞した後は…


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-謎オブジェ?



この謎のおばあちゃんの像の前を通り過ぎて、

半年以上ぶりに、埼玉県立近代美術館へ。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-埼玉県立近代美術館



前回訪れた時は、

全く建築に興味がなかったので、何とも思いませんでしたが。


“あれ?この建物って、もしかして…?”


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-埼玉県立近代美術館



“やっぱり!”


入口付近のうねうね感を観て、確信しました。

黒川紀章の設計だったのですね。




それは、さておき。今回ご紹介したいのは、

埼玉県立近代美術館で、2月14日まで開催されている

“小村雪岱とその時代 粋でモダンで繊細で” という美術展。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-小村雪岱とその時代



小村雪岱…。 

例の例によって、 「はて、どちら様でしょう??」 というようなお方です。

そこで、まずは、簡単なプロフィールの説明から。


小村雪岱 (こむら・せったい 1887-1940)

小村雪岱は、竹久夢二と同時代に挿絵や装幀などで活躍した日本画家です。

その作風から、 『昭和の春信』 と謳われました。

えっ、春信って誰…?

そこは、もうややこしくなるので、すいません。

「浮世絵師 鈴木春信」 で検索して下さい<m(__)m>



今回の展示では、一部展示替えを行いながら、

小村雪岱が手掛けた様々なWorksや、関連する画家の作品が約340点ほど紹介されています。

おそらく、ここまで小村雪岱がフィーチャーされるのは、初めてのことではないでしょうか。

(同時代の竹久夢二は、よくフィーチャーされてますけども)




正直なところ、


“遠出してまで観に来て、これで大したことなかったら、

 一生埼玉県を恨んで生きるんだろうなぁ…”


とまで考えていましたが (笑)

今回、初めて小村雪岱の作品をまとめて観てみて、


「これは、来て正解だった…!」


と、静かな感動を得ました。

それくらい素敵な日本画家でした。

小村雪岱の作品の魅力を一言で言い表すならば…


『粋でモダンで繊細で』


今回のコピーのまんまです。

いやぁ、埼玉県立近代美術館は、ぴったりのコピーを付けたものです。



“粋だなぁ” と思ったのは、本の装丁。

自身の雅号も、泉鏡花に付けてもらったほど、

泉鏡花との関係が深い雪岱。

二人が初めてコンビを組んだのは、


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-日本橋


こちらの 《日本橋》 という小説。

蝶々や立ち並ぶ蔵が、何とも小粋なデザインです。



“モダンだなぁ” と思ったのは、新聞小説の挿絵。

白と黒だけの世界で、

完全にオリジナリティを発揮しておりました。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-おせん



こちらは、 《おせん》 という小説のための挿絵。

耳を澄ませば、おのずと雨の音が聞こえてきそうな、そんな一枚です。

シンプルでありながらも存在感のある感じが、

どことなく、 “フレーミー” とか “にほんごであそぼ” とか、

現代の教育テレビの番組に通じるモダンさがあるような気がします。



そして、 “繊細だなぁ” と思ったのが、彼の絵。

繊細な日本画を描く人は、多いですが、

雪岱の日本画は、とにかく線がとっても繊細。

息を吹きかけたら、飛んでしまうのではないかと思えるほどの繊細さ。

このニュアンスばかりは、実物でないと、伝わらないと思います。


《春告鳥》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《春告鳥》.


女性も繊細ですが、

この枝ぶりが、また何とも言えずに繊細です。

「壊れそうなものばかり描いてしまうよ。」

それが、小村雪岱という男です。



そして、今回の展示で一番気に入ったのが、

こちらの 《雪の朝》 という絹の上に描かれた一枚。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-雪の朝



しんしんと降る雪。

家を覆いかぶさらんとばかりに積もった雪。

障子窓から漏れる光。

何なのでしょう。

日本人のDNAを、これでもかとくすぐる、この抒情さは。

思わずポストカードを買ってしまったほどの一枚です。




さて、装丁に挿絵に日本画に、と、

いろんなジャンルで、その才能を発揮した雪岱ですが、

彼の才能は、それだけにとどまりませんでした!

雪岱は、こちらの世界でも、

その世界を遺憾なく発揮したのです。


《葵の巻 (舞台装置原画) 》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《葵の巻(舞台装置原画)》


そう、舞台美術です。


“雪岱が登場してから、

 江戸から続いた 「かぶきの舞台」 の感じから少し離れて、日本画を見るような感じになった”


と言われるほど、

雪岱の名は、舞台美術界において、燦然と輝いているのです。

会場には、雪岱が手掛けた舞台装置の原画が、多数展示されています。

単なる原画と侮るなかれ。

そのどれもが、日本画として完成度が高いもばかり。

構図的に横長なので、

横長の掛け軸を観ているような感じで、新鮮でした。




というわけで、そろそろまとめを。

今回の美術展は…

星星星

今年初の三ツ星美術展です!

小村雪岱の作品もさることながら、

それにあぐらをかかなかった埼玉県立近代美術館の展示の仕方が素晴らしかったです!

小村雪岱の世界観を会場に投影するため、

窓に障子を渡したり、黒い布を垂らしたり、足元にランプを置いたりと、とにかくムード満点。

さらに、装丁本のショーケースを、ただ整然と並べるのでなく、

独特に配置したことで、会場の洒落た雰囲気作りに一役買っていました。



埼玉県がこれだけ頑張っているのです。

千葉県の美術館も頑張ってくださいませ!





千葉県出身の僕もランキングに奮闘中。

応援よろしくお願いします<m(__)m>

にほんブログ村 美術ブログへ Blogランキングへ