没後90年 村山槐多 ガランスの悦楽 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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松濤美術館に行ってまいりました。

今年に入って、松濤美術館を訪れるのは、

“江戸の幟旗”“野島康三―肖像の核心展” に引き続いて、3投目。

今年は、わりと足を運んでいる気がします。


現在、松濤美術館で開催中の美術展は、

“没後90年 村山槐多 ガランスの悦楽”




この美術展の主人公は、もちろん彼。


《紙風船をかぶれる自画像》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-紙風船をかぶれる自画像



村山槐多です。

(ちょっとだけ、杉下右京のようですが、違います)

おそらく多くの方が、村山槐多という名前にピンと来ないことでしょう。

とりあえず、読み方は、 “むらやまかいた” です。


彼は、22歳という短い人生で大正の世を駆け抜けた天才。

槐多は、その短い生涯の中で、

洋画を描いただけでなく、詩も、小説も、戯曲も書いています。

とにかくパッションがハンパでなかったらしく、

絶えることなく、絵画や詩や小説という形で発表していたのだそうです。

そんな彼を、高村光太郎は、 “火だるま槐多” と呼び、

またある人は、 “アンドロメダ的燃焼体” と呼んだのだそうな。

何とも熱そうな男子です。



そんな彼が、絵を描く時に好んで使った色があります。

それが、この美術展のサブタイトルにもなっている…


ガランス



あまり耳馴染みのない色の名前ですが、

エルメスのケリーバッグにも、 “ルージュガランス” という色があるそうです。



アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ルージュガランス



まぁ、ガランスは、こんな感じの色。

ちなみに、日本語にすると、茜色だそうです。


このガランスは、まさに槐多のテーマカラー。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ガランスの悦楽



今回のパンフレットも、

ちゃんとガランスが意識されていました。

なかなか松濤美術館も、シャレています。



彼の作品には、

本当にいたるところにガランスが使われています。


《バラと少女》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-バラと少女



少女の頬も、花もガランス。

夕暮れが迫る空の感じもガランス。



《カンナと少女》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-カンナと少女



この画像だけでは、わかりにくいですが、

やっぱり少女の顔が、ガランスで塗られています。

普通、顔が茜色に染まることなんてないはずですが、

槐多の鬼気迫るようなタッチで描かれると、妙に説得力があるから不思議です。



それから、

こんなものまでガランスに近い色の紙に。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-稲生氏へのラブレター1



これは、槐多が書いたラブレター。

(↑たまたまダジャレになっただけですってあせる

歴史に残るほどの人になると、ラブレターまで人目にさらされてしまうのですね…(笑)


稲生氏への熱い思いが、

実に、2枚に渡って綴ってありました。

が、稲生さんというのは、

実は槐多の一コ下の美少年…つまり男性です。


はい、そこの腐女子の方、興奮しない!


いや、しかし、このラブレターといい、

会場には、槐多の作った同人誌もありましたからね、

腐女子必見の美術展と言えるかもしれません。

(槐多は男女も年齢も関係なく、美しい人が好きだったようです)



僕は、もちろん腐女子ではないですが、

実物を観れて、興奮した作品がありました。

それが、こちら。


《尿 (よばり) する裸僧》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-尿する裸僧



まず先に誤解を解いておきますが、

別に、おしっこをしてるから、この絵に興奮しているわけではありません。

僕は変態ではありません。

以前、 『美の巨人たち』 の村山槐多の回で、

今日の一枚として紹介されていたから、興奮したのです。

その回でも、しきりにガランスの話題が登場していましたが、

やはり本物の絵が放つガランスの色彩パワーは凄まじいものがありました。


この裸僧から放っている赤いオーラは、

まさしくドラゴンボールの世界。

おしっこをしている彼の戦闘能力は、

おそらくスカウターを破壊してしまうことでしょう。


しばし、この絵の前で、圧倒されてしまいました。

《尿 (よばり) する裸僧》 が観られて、入場料300円。

これは、機会があれば、行っておきたい美術展です。

星

一つ星。



ちなみに、今回何度も登場しているガランスという色。

大正当時は、なかなかに高価な絵の具だったそうで。

2円したのだそうです。

鯛焼き1つが1銭の時代ですから、

ガランスを1つ買うと…鯛焼きが200個も買えてしまうんですね!!


では、今回は、“知ってるつもり?!”風に、

最後は、村山槐多の言葉でお別れしましょう。



「世界は、赤だ。青でも黄色でもない。」