原美術館で、3月29日まで開催されている 「ジム・ランビー:アンノウン・プレジャーズ」展です。
美術展タイトルの 「アンノウン・プレジャーズ(未知の快楽)」 とは、
イギリスで絶大な人気を誇った70年代のロックバンドジョイ・ディヴィジョンの1stアルバムのタイトル。
そのことからもわかるように、かなりロックなテイストの美術展です。
“どちらかと言えば、音楽はポップのが好きでして・・・”
な僕の趣味には、あまり合わない美術展でした。
というわけで、一つ星。

・・・と、これだけで片づけてしまうのもなんなので。
今回は、この美術展の様子を、あの番組風にご紹介いたしましょう。
東京都品川区。
閑静な住宅が立ち並ぶ街の一角に、特に問題を抱えているわけではない一軒の美術館がありました。

元々は、実業家・原邦造の邸宅として作られ、
築71年になるこの美術館の抱える問題(←強いて挙げるなら)とは。
物件01
趣がありすぎる美術館
大使館や御殿山ヒルズに近いということもあり、清潔感に溢れ、品な空気が漂う原美術館。
そのため、庶民がフラッと立ち寄るには、少々勇気が必要となります。
そんな原美術館の趣を、ガラッと変えるべく一人の男が立ち上がりました。
アートの匠 ジム・ランビー(44) 一流アーティスト

本国イギリスでの活躍はもちろん、
去年開館した十和田市現代美術館にその作品が常設され、日本でも注目を集めるアーティストです。
オプアート(視覚芸術)のアーティストとしての活動の傍ら、
バンドやDJ活動も行うという2つの顔を併せ持つジム・ランビー。
そんな彼を、人は、
オプアートのロックシンガー
と呼ぶのです (たぶん)。
それでは、「オプアートのロックシンガー」 による、
破天荒なリフォームの全貌をご覧頂きましょう。

清潔感溢れる白い壁と、板張りの茶色い床。
このシンプルな2色のコントラストが趣を感じさせていた展示室が、
床一面に白と黒のビニールテープを張ることで大変身。

まぁ、なんということでしょう。
今まであんなに癒しを感じていた空間が、一転して、落ち着かない空間に。
床がまるで動いているかのような錯覚に陥るのは、オプアートの匠ならでは。
また、 「日本の枯山水を思わせる」 という匠の狙い通り、
建物の中にいるのに、まるで外にいるかのような感覚に包まれます。
外していたマフラーを、思わずもう一度巻きたくなるほど。

匠の手によりリフォームされたのは、展示室だけではありません。

展示室と展示室を結ぶ床も、この通り全面リフォーム。
これで、美術館内のどこにいても、趣を感じることはなくなりました。

外壁や列柱にモダニズムを感じることが出来た2階へ続く階段も、匠の手により生まれ変わりました。

まぁ、なんということでしょう。
階段の全ての段に、やはり同じようなビニールテープの模様が。
これにより、これまで感じていたモダニズムは、見事に消し去られました。
また視覚に錯覚を起こさせる匠ならではの技で、
モダニズムだけでなく、階段にとって何よりも重要な “登りやすさ”という機能までも消し去られました。
これからこの階段は、上り下りするおばあちゃんを苦しめることでしょう。
さらい、階段の外壁には、匠らしい遊び心溢れる作品が。
《I Didn’t Know I Loved You Til’ I Saw You Rock ‘n’ Roll》

まぁ、なんということでしょう。
匠の奇抜なアイデアによって、壁に掛けられたベッドは、
「ベッドは床にあるはず」 という既成概念を壊すことで、観る人に戸惑いを与えるものへと大変身。
さらに、そのベッドに赤いペンキを塗ることで、
ベッドに対して人々が連想する “安らぎ” や “癒し” といったプラスのイメージが消し去られました。
匠の手により、何気ないベッドが、言いようのない不安を呼び起こすものへと、生まれ変わったのです。
これで、完全に原美術館から、かつての趣を感じることが出来なくなりました。
まぁ、なんということをしてくれたのでしょう・・・。