学生のときOBの先輩に言われたことがある。
「頭からつま先まで、すべてを意識すると良い演技ができる」
と。
そんなことできるわけないと思った。
それでもそうできるようになりたかった。
日舞の先生に言われたことがある。
「足にかかる重心を変えるだけで、手の表情が全然変わってくる」
と。
全く違いが理解できなかった。
それでもその変化を生み出せるようになりたかった。
大学を中退してプロになろうとしたとき、100人中99人に
「なれるわけない」
と言われた。
それでもやりたいこと我慢してくすぶり続けて生きるよりは、好きなことやってのたれ死んだ方がマシだと思った。
別に特別な努力をしたとは思わないし、スピリチュアルでよくやるようにビビッドにイメージしたこともない。
ただそうなりたいと、憧れの気持ちを抱いていた。
現状がどうあれ、それでもそうなりたいと思っていた。
そうしたら、いつの間にか出来るようになったし、わかるようになったし、のうのうとプロとして暮らしている。
そんなものなのだろう。
そうなりたいと思う憧れと「それでも」という気持ち。
それが俺の原点。
そしてその気持ちを持つに至った、いわば原点の原点は、萩原規子さんの「勾玉シリーズ」だったのだと思う。
