田中龍作ジャーナルより
http://tanakaryusaku.jp/2011/08/0002800
≪福島の子供が疎開求め政府と交渉―マイク押し付け合い回答避ける官僚たちのお粗末≫
(友達40人のメッセージを官僚に渡す福島の子供たち。)
「皆と疎開させて下さい」「将来ガンになると困っちゃう」……被曝した福島の子供たちが17日、国会内で政府の役人と交渉し現状の改善を求めた。(主催:子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク)
原発事故の一番の犠牲者である子供たちの声をじかに役人に聞いてもらうのが、この日の交渉の狙いだ。
福島の子供たち4人(小学校3年生~中学校2年生)が、政府の役人10人(内閣府、経産省原子力安全保安院、文科省)と渡り合った。
会場の衆院議員会館には首都圏などから500人が詰めかけ熱心に耳を傾けた。
子供たちは自宅で書いてきた手紙を読み上げながら、次のように切り込んだ――
「私たちは原発事故以来、外遊びをしていません。友達は家を追われました。責任を取って下さい」。(小林茉莉子さん・小5)
「大人が勝手に作った原発でなぜ福島の子供たちが被曝しなければならないのですか? 私は6月に転校してとても悲しい思いをしました。私の前にも後にも友達が転校して行きました。皆バラバラになって行くのは耐え難く悲しいことです…(中略)…私たちが学校の友達と安全に避難できるように考えて下さい」。(橋本伽耶さん・中2)
役人たちは次のように答えた――
「除染して早く帰れるよう努めてまいりたい」(内閣府)。
「安全の確保に努めている所です」(原子力安全保安院)。
「関係各省庁と連携を取ってやってゆきたいと思います」(文科省)。
筆者は耳を疑った。政治家を相手に話しているつもりだろうか。官僚答弁に場内から失笑が漏れた。
「集団疎開をどうして実現して頂けるのか、子供たちは質問しているのですが」。
余りにも的はずれな回答に、司会者が軌道修正を求めた。
すると役人たちはマイクを回し合って、答えるのを避けようとした。
一巡したところで観念したのか、文科省のイシダ氏が“答弁”した――
「友達と一緒に学校に行きたいと受け止めました。原子力発電所が安定し、学校がきれいになれば、みんな安心して学校に行けます」。
『子供だまし』という言葉があるが、こんな回答には子供も騙されない。
中学2年生の橋本伽耶さんが切り返した――
「学校がきれいになっても町がきれいになっても安心できないから、こうやって手紙を書いてきたんです。よく考えてお話しして頂きたいです」。
役人たちは、当たり障りのないように切り抜けることだけを考えていたようだ。
そのうえで政府の考えを植え付ければ御の字と思っていたのだろうか。
ひどいのは内閣府のキンジョー氏の回答だった―
「地元と話しあって避難区域の解除に努めてまいりたい」。
場内から激しいブーイングが起きた。子供たちの要望とは逆の答えである。
小学校5年生の小林茉莉子さんが「集団疎開のことを聞いているんですけど、まだ答えて頂けていません」。
役人たちは沈黙するしかなかった。
40分余りにわたる子供たちと役人の交渉はこんな調子に終始した。
感想を子供たちに聞いた―
「将来ガンにならないために疎開しないといけないんだけど、あのオジサンたちは真剣に聞いてない感じがした」(小林茉莉子さん・小5)
「大人なのになんで子供の質問を聞いていないのか?」(宗像留椰君・小5)
「集団疎開が決まっていないなら『決まっていない』と答えてくれればいいのに。質問をはぐらかされてガックリ」(橋本伽耶さん・中2)
「きれいな空気が吸いたい」「友達と離れるのがイヤです」……
友達40人のメッセージを携えて張り切っていた子供たちの期待は完全に裏切られた。
被曝し、クラスメートとも離れ離れになり心身ともに傷ついている子供たちを、政府の役人がさらに傷つけた。
(「死にたくない」「きれいな空気が吸いたい」・・・役人たちは手渡された子供たちのメッセージを読んだのだろうか?)
<転載終わり>
子供達は後で「震災以前は福島第一原発についてはほとんど知らなかった。震災後は私たち子どもが癌になる放射能を出す原発を作った東京電力を憎みます。
また、原発事故のせいで多くの人が失業して苦しんでいるのに、5億円の退職金をもらって責任を逃れた東電社長を許せない」
「私たち原発事故で苦しむ福島の子どもたちの思いを学んでほしい。北海道にも子どもたちはいます。また福島から疎開した酪農家もいます。
今度は北海道の人たちが被曝してしまいます。北海道の泊原発を再稼動することは絶対にしないでほしい」とも話していました。
子供達から、まっすぐな意見が向けられる中、横一列に並んだ政府の若手10名の"大人"たちは、うつむくばかりだったのが実に情けないです。
見ていられなくなった俳優の山本太郎さんが「補償はどうするつもりなんですか?除染したって、毎日毒が出続けているんだから住めるわけないでしょう。場当たり的なことはやめてください」と叫ぶ気持ちもわかります。
10名もいるというのに、子供達からの質問にまともに答えられず、次々にマイクを回していくとは。若いとはいえ、政府の代表として来ていたはずです。
子供達の方がよっぽどしっかりしています。
最後に山本太郎さんがこのやり取りの感想を求められました。
「感想は残念の一言に尽きます。でもしょうがないと思うのは、ここにいらっしゃる皆さんは、おそらく決定権がない皆さんでしょうね。
だからおっしゃることは"持って帰って"ばかりです。持って帰った先はどんなとこなんですかね。そこから多分答えは出て来ないと思います。
でも今日の子どもたちの話を聞いたことで、個人レベルでは、変えて行きたいと思ったはずです。それが普通の人間だと思うんです。
皆さんかつて志があった頃は、こんなときに人々を救いたいという熱い思いでいまの仕事につかれたと思うんです。
だから、皆さんにお願いしたいのは、皆さんにも戦って欲しい。除染とかやっているふりはいりません。
この子どもたちは、これから先の日本を支えていく子たちです。しがらみとかあって大変とは思いますが、子どもたちのために勇気を出して一緒に戦っていきませんか。
今、変わらないとホントに日本は終わってしまうかも知れません。子供達の未来を守って下さい。」
今回の企画は、子供達をかなり失望させてしまったようです。
普通の人間ならば、原発事故の一番の被害者である子供達の訴えは、心に突き刺さるはずです。
この方々は、どういう思いを持ち帰ったでしょうか。
今回の事故を子供達がどのように受け止めているかを知る事が、今の大人たちに一番必要な事だと感じました。

