「えっ、そんなつもりはないんだけど…」
「そういう風にとらえるのか…」

あなたも、
自分が言ったことや
やっていることに対する
ほかの人の反応を見て
そう感じたことがあるのではないでしょうか。

ましてや
作品が広くいきわたる
作家の方々は

ご自身が意図していたのとは
全く違う反応や感想をもらうことが
日常なのでしょうね。

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今回ご紹介する絵本は、こちら。

ノコギリザメのなみだ
長新太
フレーベル館


海の底で
ノコギリザメのおじいさんが
「まいった、まいった」
と言っている。

おじいさんは
「ノコギリがボロボロなのよ」
と言って、涙を流した。

涙は、静かに流れていった… 


「ナンセンスの神様」の異名をとる作家、
長新太(ちょうしんた)さん。

1999年が初版の作品が、
2023年に新装版として再販されました。

涙を流している
ノコギリザメのおじいさんの前に現れたのは、
海のオバケ。

「わしがなおしてやるよ」
「わしにまかせておけ」

オバケはそう言うと
どこかへ行ってしまい、
しばらくしてから袋をさげて
帰ってきました。

そしてなんと、
ノコギリザメのノコギリをつかみ
ポイっと取ってしまったのです。

オバケは、ノコギリの代わりに
いろいろなものを
おじいさんにくっつけます。

この、くっつけるものの
種類と量が半端じゃない!

長新太さんが好きな方なら
「あー、そうそう、長さんの世界だねえ(笑)」
と、思わずうなずいてしまう展開。

もちろん私も
その中の一人なのですが

さすがに、このラストは
思いつきませんでした。


そして今回
おもしろいなあ、と思ったのは

私自身が、このお話の中に
深い哲学を感じていること。

オバケが次々に持ってくる
ノコギリの代わりとなるものは
どれもおじいさんには合わないのです。

その様子にちょっと笑いながらも

自分ではない何者かに
なろうとして、結局なれなかった

そんな虚しさを感じると同時に

自分が納得する姿とは
一体どんなものだろう、と思ったり。


でもねえ
長新太さんは、そんなこと
さっぱり考えていらっしゃらないかも
しれないんですよねえ。

作品が世に出たら
その価値は受け取り手が決める、
とも言われます。

どう解釈するかも同じ。

げらげら笑って
楽しむ人もいれば

深読みして「ムムム」と
考え込む人もいる。


長新太さんだったら、おそらく
「なんだっていいよ」と
微笑まれるかもしれませんね。
 
 

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