「絵本の翻訳は難しい」
そう教えてもらったことがあります。
確かに、ことばそのものが短いのに加え
それぞれの国の文化の違いから
ピッタリ当てはまる表現が
存在しないこともありますし
絵と一緒になった場面構成に
どのように文字を載せるかも
難しさがあることでしょう。
作品の世界観をつたえ、
場合によってはさらに魅力的にする
「翻訳」という仕事は
本当に素晴らしいなあ、と
しみじみ思います。
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今回ご紹介する絵本は、こちら。
『挫折しそうなときは、左折しよう』
文 マーク・コラジョバンニ
絵 ピーター・レイノルズ
訳 成田悠輔
なんの理由もないのに
なにもうまくいかない日がある
挫折しそうだったから
決めた
左折してみようって…
生きていれば、誰だって
うまくいかないことがあり
モヤモヤ
オロオロ
ビクビク
イライラ
そんな感情がわき上がることがあります。
この本の素敵なところは
それらを「ダメなもの」としたり
「無くそう」とするのではなく
”道に置いてくる”という方法を
とっていること。
左折した先で行動したあと
少したって戻ってみると
モヤモヤはイライラは
そこにあるけれども
ちょっと様子が変わっているのです。
「挫折」の意味は
”仕事や計画などが、中途で失敗し
だめになること。
また、そのために意欲・気力をなくすこと”
(デジタル大辞泉より)
この本の原題は
『When things aren't going right, go left』
直訳すると
「物事がうまくいかないときは、左に行け」
です。
「right」の意味には
”正しい、望ましい、適切な”のほかに
”右の、右側の”があります。
つまり、
right(正しい)とright(右)をかけているのが
原題なのですが
日本語訳では
「左に行く=左折」という
ことばの方をいかして
「うまくいかないこと=挫折」とかけた
タイトルが作られています。
right(右)とleft(左)の場合は
反対の意味を
もつことになりますので
本文中の「挫折」と「左折」では
ちょっとかみ合わない部分が
あるように感じるのも
”反対”という要素を感じにくいから
かもしれません。
それでも、この作品では
ダブルミーニングの面白さを
日本語訳でも感じられるように
考えられているのがよく分かります。
原題や原文を調べたり
その国の文化を知ったりしながら
なぜこのことばが使われているのかを
考えてみると
翻訳されている本の楽しさは
さらに増していくかもしれませんね。
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