お金持ちだけが死ぬ世界

『億万長者の不都合な終末』を鑑賞。タイトルからするとセレブの豪華な暮らしを眺める作品かと思いきや、むしろその逆。お金持ちであることが命取りになる世界を描いたブラックコメディです。

(あらすじ)
ストリーミング企業の重役として成功をつかみかけていたローラ。ところが突然、富裕層ばかりが命を落とす奇病「リッチフルエンザ」が発生します。資産や成功がステータスではなく危険因子へと変わり、社会は大混乱。ローラも生き残るために亡命し、さらなる選択を迫られていきます。

ぜんぜん羨ましくならない主人公

本作には、いわゆるセレブ映画のようなゴージャスな見どころはほとんどありません。主人公ローラも生まれながらのお嬢様ではなく、成功をつかむために突き進んできたタイプ。そのため贅沢な暮らしをしていても優雅さより必死さが先に立ちます。

「金持ち喧嘩せず」という言葉がありますが、この人たちはむしろ常にキリキリ、イライラ。成功しているはずなのに全然幸せそうに見えないのです。

リッチフルエンザが怖くない

個人的に一番気になったのは、タイトルにもなっているリッチフルエンザの描写。設定自体は面白いのですが、その恐ろしさや社会への影響があまり深く描かれないため、緊張感が今ひとつ伝わってきません。途中からは「日本版を作るなら誰だろう?」と余計なことを考え始めてしまい、なぜか東幹久しか思い浮かばなくなりました(笑)。

ブラックジョークが刺さらなかった

後半はヨーロッパとアフリカの関係性にも話が広がっていきます。ただ、私には少々遠い世界の出来事に感じられてしまい、なかなか感情移入できず。

ジャンルとしてはブラックコメディなのでしょうが、ハリウッド映画ほど派手に盛り上げるわけでもなく、イギリス映画ほど皮肉の切れ味が鋭いわけでもない。笑いは文化や価値観の共有が前提ですから、単純に私のツボと合わなかっただけかもしれません。とはいえ、終始どこか居心地の悪い2時間でした。

そもそも日本人に「階級逆転」や「資本主義の崩壊」と言われても、「まあ、そうですかねぇ……」くらいの距離感になってしまうんですよね(笑)。

世界観に入り込めなかった理由

音楽は盛り上げるタイプでも聴かせるタイプでもなく印象は薄め。さらにカメラワークが終始手持ち撮影風で揺れるため、途中から目が疲れてしまいました。不安をあおりたいんでしょうが、近眼の私には怒りをあおっただけでした。

テーマも演出もかなりクセのある作品。非エンタメ系で社会風刺が好きな人には刺さるのかもしれませんが、私には相性が良くなかったようです。

 

 

2024年製作/107分/G/スペイン・チリ・アメリカ合作
原題または英題:Rich Flu
配給:シンカ
劇場公開日:2026年6月19日

 

【スタッフ】

監督:ガルデル・ガステル=ウルティア
製作:アドリアン・ゲラ ガルデル・ガステル=ウルティア パブロ・ラライン フアン・デ・ディオス・ラライン カルロス・フアレス ヌリア・バルス
脚本:ペドロ・リベロ アルベルト・ソレル・クィヤス ガルデル・ガステル=ウルティア サム・スタイナー ダビド・デソーラ
撮影:ジョン・D・ドミンゲス
美術:ライヤ・コレット
衣装:アセヒニェ・ウリゴイティア
編集:アリッツ・ズビリャガ
音楽:アランサス・カジェハ

 

【キャスト】
ローラ:メアリー・エリザベス・ウィンステッド
トニー:レイフ・スパル
マーサ:ロレイン・ブラッコ
アンナ:ディクシー・エガリクス
セバスチャンスネイルシニア:ティモシー・スパル
セバスチャンスネイルジュニア:ジョナ・ハウアー=キング
クリスチャン:セザール・ドンボワ
ヨリーン:ダヤナ・エセベ
フォンヴィレブランド:リチャード・サメル
プロデューサー1:フィリップ・シュラー
オリバーオブライエン:エイドリアン・ランドル

 

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