あなたの目の前にいらっしゃるのです。
さて、Yさんのメガネはどこにあったのでしょう?
気になる昨日の問題の答えは・・・。
「あっ、お母さん。おかえりなさい。」
廊下に設置された手すりを伝われながら、お母さんが御手洗から戻って来られました。
夜ということもあってか、いつもよりゆっくり歩かれています。
「お母さん、見えにくいのなら、台所の電気もつけましょうか?」
「いえいえ、大丈夫です。」
「そうですか。」
「ただ、最近、目が悪くなったのか、見えにくくて・・・。」
まあ、お母さんもお元気と言えど、96歳ですからね。
うん!?
待てよ。
もしかして・・・。
「あのー、Yさん。」
「はい?」
「その探していらっしゃるメガネですけどね。」
「ええ。」
「フレームが薄いピンクで、柄がえんじ色で。」
「そうですよ。」
やはり。
「形はこんなかんじで。」
空中を指でなぞります。
「はいはい、そんなかんじですね。」
これで、状況証拠が固まりました。
「もしかして、これじゃないですか?」
私が示した先を目で追うYさん。
「えっ?これって・・・。」
「ええ、今、お母さんがかけていらっしゃるメガネなんですが。」
「えっ・・・ハッ!」
息を呑むYさん。
「お母さん、ちょっとこっちに来てっ!」
「はあ、なんですか、騒々しい・・・。」
「いいから、早く・・・嗚呼、なんてことかしらぁ。」
そう、かけていらっしゃったんです。
お母さんが。
2日間。
そりゃ、見えにくかったでしょ。
ご自分のじゃないんですから。
確かに、お母さんのメガネと似てるといえば、似てますかね。
でも、度が違うんだから・・・。
Yさんも全くノーマークでした。
神隠しの「神」とは、お母さんのことだったのです。
「あらら、そうだったんね、ハハハ。」
まさしく神々しい笑顔をたたえられるお母さん。
私は確信しました。
今後も神隠しは続くに違いないと・・・。
-完-
(2010/6/13)