大好きな戸隠(とがくし)への道は、わたしが営業職をしていた頃の真夜中、車で山中を何度かさまよった道でもありました。
とある時、漆黒の闇で袋小路にはまって、死に物狂いで方向転換したことがありました。
方向転換の途中、目に入った「斎場→」の看板に生きた心地もしませんでした。
斎場というと、おどろおどろしいイメージしかありませんでしたから。
父の棺を載せて向かったO斎場は、まさにその時の斎場でした。
当時の恐怖を思い返して右折に身を任せていると、そこにはイメージと対極の瀟洒な建物が現れました。
このような建物と知っていれば、パニックを起こす必要はありませんでした。
さらに意表を突かれたのは、帝国ホテルさながらに(帝国ホテルは経験していませんが)
車寄せで4~5人のスタッフの方々が深々と頭を下げて待機され、恭しく迎え入れてくださったことでした。
瀟洒な建物に足を踏み入れると、やはり5つ星ホテルなみの(経験していませんが)待遇が続きました。
どのスタッフの方も気品と厳粛な空気をまとい、人の最後のシーンに最大限の礼を尽くしてくださっているように見えました。
火葬について説明された女性スタッフは、立ち居振る舞いだけでなく、発声もまるで違う・・・
この熟練の方々のおかげで、最期の瞬間、厳粛で納得のいくお別れが出来ました。
棺がいよいよ運ばれて行った時、とても悲しかったですが、みんなで背筋をピンと伸ばし、
「お父さん、ありがとう」「じいじ、ありがとう」と手を振りました。
控室です。
巨大な美しい額縁のような洗練された設えでした。
ロビーや室内には東山魁夷さんの絵画が飾られていました。
スタッフの方に撮影をお願いすると、6枚もシャッターを切ってくださり、そんなところも心がこもっているねとみんなで話しました。
遠路はるばる来られ、家族葬にも出てくださった父のお兄さん夫婦(伯父と伯母)

人間の気持ちの切り替えってすごいです。
父がお骨になってしまうと考えたくないので、控室ではまったくイメージしないように頭から追い払い・・・
そこにあるのはひたすら明るい会話と振る舞いでした。
たった1時間でお骨に変わって対面した時も、わたしたちの脳は心は現実を受け止めていたのだから不思議です。
人間はたくましい。
お骨拾いも全員で出来ました。
(コロナ感染防止策で、人数規制の厳しい地域もあると聞きましたので)
O斎場についてあまりにも感動して気になったので、後日葬儀社の方に聞いたら、市が民間会社に委託しての運営だそうで、
こんなに手厚く丁寧にお別れの儀式をしていただけるなら、市民税も心から納得して支払えると思いました。
(こんな俗っぽい感想ですみません)










