第一章 あの日の選択~発熱~
母は二十四年間、人工透析を続けていた。
週に三回、近くの総合病院へ通い続ける生活。
それだけでも十分大変だったのに、医科大学付属病院ではペースメーカーを入れる手術も受けていた。
母の身体は、長い年月をかけていくつもの治療とともにあった。
それでも母は、いつだって強かった。
だから私は、どこかで勝手に思っていたのだと思う。
母はきっと大丈夫だ、と。
二〇十三年十二月二十八日。
母は三十九度の熱を出した。
インフルエンザの検査は陰性。
原因はわからないまま、体調だけが悪そうだった。
けれど、年末のため総合病院は休診に入った。
私は十二月二十九日から三十日にかけて、予定通り子どもたちと旅行へ出かけた。
主人と別居して一年が経っていた頃だった。
私と子どもたちだけで行く、初めての四人旅。
少しだけ緊張して、少しだけ自由だったあの旅を、今でも覚えている。
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