ケモノ大事件 |      生きる稽古 死ぬ稽古

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ー毎日が おけいこ日和ー
        

猫は夜中に何度もトイレに起きるようで…。

毎回それにつきあっている夫はかなり疲弊しています。

なにぶん高齢猫ですし、

病院に連れて行く、ということには抵抗があるのです。

でも、どこが悪いのか?

今、状態がどうなっているのか?

それは診てもらった方がよかろうと、

病院に連れて行くことにしました。

ケージに入れるだけでも怖がると思いまして…。

猫をお腹の中に入れて、そのまま単車の2ケツ。



ホテルのロビーみたいですね。




そのロビーではこんな感じ。

お腹の中でじっとしています。

いっさい鳴きません。

そのまま診察室に入って、先生にお腹をさわられても、

嫌がらないし、鳴きません。

「本当におとなしいネコちゃんですね~」

と、先生も看護士さんもおっしゃってます。

触診の結果、

尿も便も溜まったり詰まったりはしてないそうです。

「尿をとって、検査をしてみます」

といわれて、私たちは診察室を出て、ロビーで待機。

そこまではよかったのです。

しばらくすると、

赤ちゃんが大絶叫しているような声がきこえてきました。

今まできいたこともないような声です。

「ちたま(うちの猫の名前)じゃないよねぇ?」

「いや、ちたまなんじゃない?」

叫んだ声でも、哀しそうな声でも、

自分ちの猫の声はわかると思っていました。

が、この大絶叫は私が聞いたことのない声でした。

(入院中の他の猫かも…。)

と、無理矢理思い込もうとしていた時、

先生がやってきました。

尿をとろうとしたら、大暴れになってしまって、

尿はとれなかったこと。

そのため、エリザベスカラーをつけようとしたら、

またもや大暴れになって、その時に

歯が二本、とれてしまったこと。

頻尿の原因には3つくらい考えられるが、

その中のひとつである「雑菌によるもの」の治療として、

抗生物質を注射したいのですがいいですか?ということ。

この先生、ものすごく丁寧に問診してくれて、

触診もきちんとしてくれて、実に好印象の先生です。

が、私は“歯が二本とれた”といわれた時点で、

(なんてことしてくれるんだぁクソーーー!)

と、内心腹を立てておりました。

年寄り猫には文字通り“歯が命”です。

うちの猫が長生きしていられるのも、

まだ歯が残っているからなんです。

その大事な歯を二本も!!ひどいじゃないの!

今回、病院に連れて来ようと提案したのは私です。

私は猫にも夫にも、本当に申し訳なくなりました。

ですが、抜けてしまった歯のこともあるし、

抗生物質は入れておいた方がいいだろうとお願いして、

猫を戻してもらうためのゲージもお預けしたのです。

もう一度、

ちたまの声とは思えないような大絶叫がきこえてきました。




ほどなくして、ケージを下げた先生があらわれました。

……中には一匹のケモノが入っていました。

ケモノ、荒れ狂っておりました。

もう、私の顔も夫の顔もわかりません。

うなり声をあげ、歯をむき出し、

ケージをあけようと手をかざすと、

思いっきり引っ掻こうとします。

ここに来た時とは、まるで別の生き物です。

ケージのまま連れて帰ることを余儀なくされ、

そのまま帰路につきました。

帰り道でも、家に着いてからでも、

そのケモノはずっとうなり声をあげつづけています。

目が合うだけでフーーッと威嚇し、牙をむきます。

「落ち着くまで、そっとしといてやろう」

夫にうながされて、

ケージにいれたままのケモノを寝室に置くと、

隣りの部屋で、テレビをつけました。

うなり声をきいているのがつらくてつけただけのテレビは、

ただむなしく、流れていました。

「こんだけ叫べるんだから、

それだけ元気があるってことだよ」

私を慰めるために、夫はあえて笑います。

2時間、3時間、4時間…

隣りのケモノはずっとうなり声をあげています。

「もう、おばあさんになっていて、

“まだらボケ”かもしれないよね~」

というような年齢です。

私はあまりの恐怖に、精神が耐えられなくなって、

このままずっとケモノになったまま、

その世界の住人、いや住猫になってしまったらどうしよう叫び

そんな人生、いや猫生の終焉をむかえることになったらどうしようドクロ

と、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。



やがて…

少しずつケモノのうなり声は、間隔が開くようになり、

きこえなくなりました。


そのままもう少し、そっとしておいてから、

ケージに近づいて、そっとさわってみました。

やっと、ケモノはうちの猫になりました。

猫を抱いて、布団に入れて、

そのままワアワアと鳴きました、いや泣きましたあせる

猫はうちの猫です。

ケモノのままで死なすわけにはいきません。

かえってきてくれて、本当によかったドキドキ

はい、うちの猫になってお布団に入っています。



ですが実を言えば、まだ腰が抜けててちゃんと立てないんです。

猫を病院に連れて行くこと、

それには本当に大きなリスクが伴うのだと、

あらためて思い知らされた次第。

新年早々、我が家の大事件でありました。