「チェルビ」第二十八話 恋愛連載小説
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十一月。
新しい職場は、働きやすかった。
倉庫管理と出版物の配達が、主な仕事だ。
忙しさの波が一日に何度かやってくるが、それを乗り越えた時は、清々しい充実感を得ることができた。
人間関係も、今のところ良好だ。
ユイは、アルバイト先にチェルビを連れていき、世話をしている。
カフェレストの店長に許しをもらえたらしい。
パソコンスクールに行っている間は、僕が面倒をみることになった。
ユイはスクールを休むと言っていたが、僕が世話を買ってでた。
ミルクのあげ方や、トイレの世話も完璧になってしまった。
チェルビは、僕たちによくなついた。
僕が住むマンションは、ペットを飼うことが認められている。
僕とユイとチェルビの共同生活が始まって、一週間が経った。
ユイがチェルビを動物病院で診てもらったところ、健康状態に異常はなかった。
そして、チェルビはユイと同じ女の子だった。
当分、夜中にもチェルビのミルクとトイレの世話をしなければならない。
僕たちは日替わりで、寝不足になっていた。
ユイは、自分のパソコンとプリンターとスキャナーを僕の部屋に持ち込んだ。
鮮やかなブルーの本体一体型ディスプレイは、初めて目にした時、洒落たテレビだと思っていた。
ユイは、インスタントカメラでチェルビを写して、スキャナーを使い写真の画像をパソコンに取り込んだ。
特殊なソフトを使い、画像処理を施したり、レイアウトなどをデザインする。
プリントアウトした紙面にクリヤーラッカーを吹き付ける。
ポストカードが出来上がった。
片目だけ開いて、大きなあくびをするチェルビ。
可愛さや愛くるしさより、カッコいい印象を受ける。
目の青色以外を、モノクロにしたせいかもしれない。
同じものを三枚作り、次の日に、ユイは自分のアルバイト先のカフェレストに持っていった。
ポストカードは、すぐに売れた。
毎日コーヒーを注文する常連の女性客が一枚買って帰り、それを目にした知人たち四人が後で買いに来た。
他のポストカードや、シャツも売れた。
店に置いていたポストカードは、ほとんどなくなってしまったらしい。
ユイは、その内の一人からもらったチラシを読んでいる。
再来週の日曜日に、コンサートイベントも行われる大型ホールで、大規模なフリーマーケットが開催される案内が書いてある。
チラシをくれた女性は古着屋のオーナーで、かなりの広さの出品スペースを確保してある。
その半分のスペースをプライベーターに提供して、オリジナルのデザインをPRする企画を打ち出す。
今回のイベントの見所の一つだ。
まだスペースはあるので、よかったら出品しないかと誘いを受け、ユイは即答で承諾した。
当然、僕は手伝うつもりでいる。
「ユイ。チェルビ、どうするの?」
「連れていく。チェルビ見せたら、こんだけちっちゃかったら構わないって」
チェルビは、段ボール箱の破れてしまった角部に、体が挟まって抜けなくなっている。
前後の足をバタつかせて、時々鳴いていた。
僕たちは、その姿を少し離れた場所から眺めていた。
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