「チェルビ」第十五話 恋愛連載小説
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※「チェルビ」は、わたしが作った”語感”が気に入ってるだけの言葉です。
意味は、今後の展開の中でわかるかもしれません。
※感想をコメントしづらい方。「読んだよ」の一言だけでもいただけると、嬉しいし励みになります♪
出入口から見える外は、あいかわらずの人だかりだった。
ユイはチョコミントのアイスクリームを手に持って、ガラスショーケースに並ぶ腕時計を見ている。
少し離れた場所に、ステンレス製の太い曲げパイプが、ベンチ代わりに壁ぎわに配置されている。
僕はそこに腰掛け、キャラメルとイチゴの味がするアイスクリームを食べていた。
ほかの客に混じって、ユイが見え隠れする。
ずっと、赤い髪を目で追った。
チョコミントを舐めながら、ユイがこちらに向かって歩いてくる。
何かのワンシーンのように、その姿は周りの景色を色褪せたものにしてしまった。
カメラを持っていたら、絶好のシャッターチャンスだろう。
ほんの少し口の端にチョコを付けたまま、僕の左隣に腰掛けた。
「ちょっと、ちょーだい」
僕は手に持っていたアイスクリームをユイの口の前に持っていった。
白い首を少し傾けて小さくかじる。
ユイは、赤い髪がアイスクリームにかかりそうになるのを右手で制している。
「こっちも、おいしいね」
お返しにチョコミントを目の前に出されたが、丁重に断った。
チョコレートとミントの組み合わせは、僕には理解できなかった。
「はい」
二人とも同時に食べおわり、駅でもらった消費者金融の宣伝が書いてあるポケットティッシュを手渡した。
「ありがと」
この後の予定を決めていなかった僕たちは、街を歩いてまわることにした。
外の人だかりを避けるために、地下一階から地下街へと抜けた。
すぐに見つけた地上へ出る階段は、薄暗くて狭かった。
僕が先頭になって昇る。
「あのさー」
半分以上昇ったところで、ユイが僕の背中に話しかけてきた。
「なに?」
振り返ると、二段下のユイが遠くを見るような目で僕を見上げている。
「わたしらって、付き合ってるの?」
「えっ」
無防備な状態のところに打ち込まれた質問が、僕の体の自由を制限した。
視界だけが、異常に正常だった。
ユイの周りのホコリが、地上からの陽の光を反射している。
キラキラと、無音で静かに浮いている小さな光たちの中。
赤い髪を掻き上げる白い少女が、怖いくらい綺麗だ。
強すぎる視線から、目をそらすことができない。
「ずっと・・・。ずっと一緒にいてくれる?」
強制されなくても、答えは決まっている。
「ずっと一緒にいる。絶対大切にするよ」
ユイの表情は変わらない。
「わたしの後ろ、誰かいる?」
「誰もいない」
言うと同時に、光の浮遊物が舞い散り、二人の距離がなくなった。
僕の右足とユイの右足が、同じ段で横並びに行き違う。
荷物を持たない左手で、顔の横にかかる赤い髪を払おうとして、白い頬に触れた。
その手のひらに、冷たい唇が柔らかく押し付けられる。
左手の中にある小さな顔を少しだけ引き寄せた。
ユイの後ろには、重なった二人の影しかいない。
僕たちは、二回目のキスをした。
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コメディはヤメ。
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