「チェルビ」第十三話 恋愛連載小説 | 「おっちゃん王国」NTG(大人になりきれないおっちゃん)のブログ

「チェルビ」第十三話 恋愛連載小説

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※「チェルビ」は、わたしが作った”語感”が気に入ってるだけの言葉です。

 意味は、今後の展開の中でわかるかもしれません。

※感想をコメントしづらい方。「読んだよ」の一言だけでもいただけると、嬉しいし励みになります♪




「ここの人たちって、みんなカッコいいね」


下のフロアを、楽しそうに眺める白い横顔。


ガラス窓からの優しい光が、ユイを包み込んでいる。


赤い髪の先端がとても綺麗だ。


柔らかさを知っている唇の形に視線が集中してしまう。


不意に、ユイが僕に向き直った。


「なに?」


「さっきの女の人のこと、綺麗だと思った?」


「えっ?」


予想外の質問に、一瞬対応できなかった。


「浮気は、絶対ダメ。わかった?」


唐突なこの一言は、今もずっと耳に残っている。


「わかりました。そっちこそ、他に良い男作ったらあかんで」


「大丈夫。わたしは、絶対浮気しない」


「おれも、絶対しない」


ユイは、真剣な顔を崩さない。


浮気をしたら、変な言い方だが、無条件で絶対に別れるという。


「大丈夫。浮気するほど根性ないよ」


「でも、ナンパする勇気はある」


同時にこぼれた笑い声が、目に映るものの明るさを取り戻しはじめた。


二人の新しい約束が誕生したお祝いに、ご馳走が運ばれてきた。




浮気はしない。タバコは吸わない。この時点での、二人の約束。


それに僕自身の約束、「絶対にユイを大切にする」。




目の前のパスタは、予想以上の見た目だった。


白パンとバターロールが乗った白い皿と、取り皿が横に並んだ。


テーブルの上は、まだ少し余裕がある。


「めっちゃ、美味しそう」


ユイがキノコと鶏肉のパスタを、大き目のスプーンとフォークを使って、取り皿にちょうどいい分量に分けてくれた。


「いただきます」


一口目を口に入れた瞬間、お互いの目が合った。


「すごいな、これ」


「めっちゃ、おいしい」


パスタの味が完璧すぎて、僕たちの会話は料理の味に集中してしまった。


パンの味も、もう一つのパスタも完璧だった。


まだ正午には、なっていない。


店内の席は八割ほど埋まってきた。


賑やかになってきたフロアを、スタッフが流れるように動いている。


僕たちは、食後に運ばれてきたホットコーヒーを飲みながら、下のフロアを眺めて、ゆっくりと流れる時間を過ごした。


「ごちそうさま」


支払いを済ませて、店を出ようとすると、入る時にいた男性がにこやかに挨拶をしてくれた。


ほどよい満腹感が、僕の気持ちを穏やかにしてくれる。


店を出て、どちらからともなくすぐに手を繋いだ。


もう、僕たちにとってはとても自然で当たり前の行為になっていた。


ユイの肩が左腕に優しく触れたとき、僕の心も心地よく満たされていくのを感じた。



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