「チェルビ」第九話 恋愛連載小説
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※「チェルビ」は、わたしが作った”語感”が気に入ってるだけの言葉です。
意味は、今後の展開の中でわかるかもしれません。
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店内には、あらゆる物が整然と並べられていた。
服やカバン、帽子、靴、ベルト、アクセサリー類、インテリア用品。
雑貨屋やセレクトショップの類いの店だと思われるが、僕が知っているどの店とも似付かない。
目にするものは全て洒落ていて、下品な感じの物は見当たらない。
「こんなとこ、初めて。めっちゃ、いい感じの店やね」
素直にそう思えた。
「そうやろ。このお店、すっごく気に入ってるねん」
ユイは、本当に嬉しそうな笑顔を見せてくる。
きっと、この「世界」が、彼女の居場所なんだと理解した。
ユイは、いくつかの服を手に取り、鏡の前で自分に似合うか確認していた。
時々、僕に「どう?」と訊ねてきたが、僕の意見はあまり参考にしていないのか、すぐに別の物を探しては鏡の前にいた。
「ちょっと、店の中見てきていい?」
「どうぞ」
店内を一人で歩いた。
この空間が、意外にとても居心地がいい。
ハンガーで吊された長袖のシャツを物色してみた。
色やデザインがキレイで、見ているだけで、ワクワクしてくる。
濃いめの渋いベージュに、袖がダークブルーのラグランシャツが気になった。
ハンガーパイプに掛かっていた服を、取り出して広げてみた。
かすれ気味のえんじ色で、レトロタッチのセクシーな女の人がいい感じのバランスでプリントされている。
首元のヨレ具合が、全体のデザインイメージを決めていた。
「それ。めっちゃ、かわいい」
僕の両肩に柔らかく手をかけて、斜め後ろからユイが声を掛けてきた。
ドキドキしだしたのは、振り向いた視線の先に、思いがけない近さで赤い髪がさらさら揺れていたからだ。
「サイズは?」
「スモールって書いてる」
「じゃあ、わたしのサイズやん」
僕の手から服を取り上げて、さっさと鏡の前で合わせている。
「コレにする」
ユイは、小走りで店内奥へ向かった。
薄いグレーの半袖からタトゥーを覗かせた長髪の男性店員に、服を渡して支払いをしていた。
僕は待っている間、ネックレスやバングルのアクセサリーが置いてある棚を何気に見ていた。
全て手作り製なのか、同じ物は一つもない。
色々なデザインの小物たちが、無造作に並んでいる。
その内の一つが、僕の視線を集中させた。
気が付くと、全体的にシルバーが光る指輪を手に取っていた。
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