「チェルビ」第九話 恋愛連載小説 | 「おっちゃん王国」NTG(大人になりきれないおっちゃん)のブログ

「チェルビ」第九話 恋愛連載小説

「チェルビ」第一話 (テーマ:チェルビ)はこちらから(クリック)

※「チェルビ」は、わたしが作った”語感”が気に入ってるだけの言葉です。

 意味は、今後の展開の中でわかるかもしれません。

※感想をコメントしづらい方。「読んだよ」の一言だけでもいただけると、嬉しいし励みになります♪




店内には、あらゆる物が整然と並べられていた。


服やカバン、帽子、靴、ベルト、アクセサリー類、インテリア用品。


雑貨屋やセレクトショップの類いの店だと思われるが、僕が知っているどの店とも似付かない。


目にするものは全て洒落ていて、下品な感じの物は見当たらない。


「こんなとこ、初めて。めっちゃ、いい感じの店やね」


素直にそう思えた。


「そうやろ。このお店、すっごく気に入ってるねん」


ユイは、本当に嬉しそうな笑顔を見せてくる。


きっと、この「世界」が、彼女の居場所なんだと理解した。


ユイは、いくつかの服を手に取り、鏡の前で自分に似合うか確認していた。


時々、僕に「どう?」と訊ねてきたが、僕の意見はあまり参考にしていないのか、すぐに別の物を探しては鏡の前にいた。


「ちょっと、店の中見てきていい?」


「どうぞ」


店内を一人で歩いた。


この空間が、意外にとても居心地がいい。


ハンガーで吊された長袖のシャツを物色してみた。


色やデザインがキレイで、見ているだけで、ワクワクしてくる。


濃いめの渋いベージュに、袖がダークブルーのラグランシャツが気になった。


ハンガーパイプに掛かっていた服を、取り出して広げてみた。


かすれ気味のえんじ色で、レトロタッチのセクシーな女の人がいい感じのバランスでプリントされている。


首元のヨレ具合が、全体のデザインイメージを決めていた。


「それ。めっちゃ、かわいい」


僕の両肩に柔らかく手をかけて、斜め後ろからユイが声を掛けてきた。


ドキドキしだしたのは、振り向いた視線の先に、思いがけない近さで赤い髪がさらさら揺れていたからだ。


「サイズは?」


「スモールって書いてる」


「じゃあ、わたしのサイズやん」


僕の手から服を取り上げて、さっさと鏡の前で合わせている。


「コレにする」


ユイは、小走りで店内奥へ向かった。


薄いグレーの半袖からタトゥーを覗かせた長髪の男性店員に、服を渡して支払いをしていた。


僕は待っている間、ネックレスやバングルのアクセサリーが置いてある棚を何気に見ていた。


全て手作り製なのか、同じ物は一つもない。


色々なデザインの小物たちが、無造作に並んでいる。


その内の一つが、僕の視線を集中させた。


気が付くと、全体的にシルバーが光る指輪を手に取っていた。




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