「チェルビ」第四話 恋愛連載小説
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「おじゃまします」
玄関で靴を脱ぎ、さっきまで少女が履いていた赤いスニーカーの横に並べた。
左端にはシューズボックスに入りきらないのか、ゴツめの黒い皮ブーツが小さな玄関の番人みたいに居座っていた。
ユニットバスのドアと洗濯機の間を通り抜けると、薄暗い空間が現れた。
狭いキッチンスペースは、生活感をあまり感じさせない。
小さな白い冷蔵庫と、赤いヤカンを火にかけているガスコンロがあった。
「そこら辺に座ってて。インスタントのコーヒーでいい?」
「ありがと」
キッチンを抜けた先が、彼女の部屋だった。
全体的なモノトーンのイメージは、彼女の好みなのかもしれない。
カーテンとベッドシーツと大きめの枕の落ち着いた赤色が、センスの良さを物語っている。
濃いめのグレーと黒色の、大きなチェック柄のカーペットに座り込んだ。
ベッドを背もたれにすると、目の前に小さなテレビとオーディオが金属パイプ製のラックの上に置かれていた。
その上の壁に、一メートル角ほどの赤いビニール製のポストカードフォルダーが掛けてあり、たくさんのポストカードが挿してある。
描いてあるモノは全部バラバラだったが、どれも洒落ていてハズレはなかった。
「どうぞ」
お揃いの真っ白なマグカップ。
スティック砂糖とミルクが二つずつ乗っかった白いカップソーサーに、シンプルなスプーンが一つ。
正方形のガラステーブルの上が、それらに占領されてしまった。
「いただきます」
この頃、僕はコーヒーをブラックで飲めないでいた。
砂糖とミルクを一つずつ入れた。
僕の左側に、少し間を空けて彼女が座った。
シャツの上に、薄いグレーのフルジップパーカーを全開にして羽織っていた。
抱えこんだ両膝の上に形のキレイな顎を乗せて、なにも映していないテレビを正視している。
「コーヒー、飲まないの?」
僕の問い掛けには答えない彼女の声が、僕の耳と胸の奥に入り込んできた。
「ごめん。少し、一緒にいて」
その一言で作り出された沈黙は、苦痛ではなかった。
止まっていた時間を揺らす彼女の小さなため息が、部屋の空気に混ざって消えた。
「ここの管理人って、住んでる人たちにメッチャ嫌われてるねん」
「そうなん?」
「うん。普段からちょくちょく揉めてるみたい・・・。この階の人が廊下でメッチャ大声で怒鳴ってるときもあったし・・・」
「・・・」
「今朝、一階の掲示板に”管理人殺す”って書いた紙が貼ってあって、メッチャ怖かった・・・」
飲みかけていたコーヒーは、これ以上喉を通っていきそうになかった。
中身が半分ほどになったマグカップと、一口も飲んでもらえないもう一つのマグカップ。
静かに並んだ二つは、僕と彼女のように、少し間が空いていた。
やっぱり、「チェルビ」でした。(めっちゃ書きたくて、たまりません)
おっちゃんの話がめっちゃ中途半端のままで止まってるのはわかってるんですけど・・・。
この作品が、ほんの一部の方に少しだけ好評なのが救いです・・・。
もう少し先までは「チェルビ」をやろうと思います。
できれば、感想なんかをよろしキュン。(←がんばって使ってみた)
※「チェルビ」は、わたしが作った、語感が気に入ってる言葉です。意味は、今後の展開の中でわかるかも?