何らかの薬を投与、失敗しその後寛解するパターン | kyupinの日記 気が向けば更新

何らかの薬を投与、失敗しその後寛解するパターン

このタイトルは少しわかりにくいかもしれない。

治療経過中、好ましくない薬剤を投与し全般の病状が悪化する。その後、その治療(たまには打つ手がない場合もある)をしているうちに、悪化以前より遥かに改善するケースである。

その極端な例が「悪性症候群」と思われる。

過去ログから、

悪性症候群をなんとか脱すると、ほとんどの人は精神症状が以前より改善する。これは統合失調症の人に限らず、あらゆるタイプの疾患でそうだ。改善する理由はいろいろな考え方があるのだが、結局は緊張病的な病状悪化の色彩が強いからと思う。その意味ではこのカタストロフィはアポトーシス的だ。
(中略)
しかしこの局面こそ、極めて特殊な状況であり、精神病のダークサイドを抜けるチャンスなのであろう。過去ログから、


次の例も同じようなケースといえる。

僕はリーマスを中止した後、奇跡のような数ヶ月間の寛解状態の経験が多くある。リーマスは、止めるようなタイミングではなにがしか状態が悪化しており、どうやら、リーマスが一枚、関与しているように思えるのである。これはたぶんリーマスによる人工的ないわば非定型病像であって、あの奇跡的寛解状態こそ、悪性症候群の治癒後に精神病像が改善するメカニズムを人為的に生じさせたものであろう。こう考えると、経過について最も矛盾が少ない。

ある時、メランコリータイプの若者の治療をしていた時、奇妙な現象に遭遇した。その人は亜昏迷状態で初診し、すぐに入院させないことには自殺でもしかねないほどの病状であった。

入院当初、何度も会社を辞めると言い聞かなかったが、なんとか押し留めた。病状の悪い時に大きな決断をすべきではない。

このご時世に、何が悲しゅうて、この程度のうつ状態で退職しないとならないのよ。

といったところである。彼は東証1部上場の企業に勤めており、年収も良かったからである。

入院後、抗うつ剤の内服やアナフラニールの点滴を実施していたところ、思っていたよりずっと短い期間に亜昏迷は脱出した。

そして、はっきりしてくると、本人がどうしても退院したいと言い始めた。一般にうつ状態の回復期は自殺の危険性がまだあると言えるが、その人に限れば亜昏迷も脱出しており、厭世観や希死念慮などはないので危険性は極めて低いと思われた。治療的にはまだ早いとは思ったが、退院させ外来で治療することにしたのである。

しばらく自宅療養していたが、何かの拍子にブプロピオンを使うことにした。なぜ使おうと思ったのか、よく憶えていない。

ところが、ブプロピオンは好ましくなかったのである。

ブプロピオンはうつ状態には影響がなかったが、たぶんブプロピオンのためと思われる「こむら返り様の筋肉の収縮」のようなものが出現するのである。この際に意識は清明であった。実はこのような事例は他にも1名経験している。

ブプロピオン中止後も、その収縮はすぐには改善せず、実にゆっくりしたスピードで改善していった。完全にその症状が消失するまでに1ヶ月以上を要した。

その後、彼は完全に治癒したのである。(服薬も通院も必要ないと言う意味。もちろんうつ状態もない)

この臨床経過は精神疾患の治癒・寛解の本質において、実に示唆に富むものであると思う。

この話には壮大な?続きがある。

参考
悪性症候群の謎
リーマス中止による奇跡的病状安定についての考察
患者さんに離婚を勧めてはならない