新興宗教と統合失調症の話
新興宗教でも特に悪名高いような団体は、基本的に収益を求める「企業」なので、信者は最も利益が上げられるお得意様、あるいは単に労働力のようなものなのかもしれない。僕の患者さんで新興宗教に入信し、マインドコントロールを受けているうちに統合失調症を発病。その後、自宅のある町まで連れて来られ、ポイッと捨てられた人がいる。
新興宗教からみると、精神病を発病した人は自分達にとって役に立たないので捨てたと思うが、道義的なことを言えば、宗教であれば、このような人にこそ施しをしなければならない。
彼女の生来の性格を考慮すると、統合失調症に親和性があるとはいえなかった。むしろ、なるとすれば躁うつ病か非定型精神病だったと思う。そういう風に言えば、だいたいの病前性格がわかるだろう。(参考)
統合失調症は内因性疾患とは言え、単一な疾患ではないし、双子研究でも環境要因が関与していることが知られている(参考)。だから、そういう素因がほとんどなくても過酷な条件で発病するケースもありうる(参考)。僕はある女性が目の前で自分の双子がトレーラーに轢き殺され、統合失調症が発病した患者さんを知っている。その事件以後もう10年以上経っていたが、彼女は疎通性がほとんどなかった。話すら通じないのである。
最初に出てきた新興宗教の人は、最初1日だけうちの病院に受診した事があった。紹介状を持参しておりそれを読んだ後、待合室に座っている彼女と少しだけ話をした。
ところが、そのまま彼女はいなくなったのである。
だからこの日は初診にならない。ただ紹介状のみ残されただけだ。最初話した範囲では彼女の診断は統合失調症で間違いなかった。
それから2年後にひょっこり再診したのである。正確には初診であるが。その日はもう猶予できないほど悪化した状態であり、紹介状には医療保護入院でもいいのでぜひ入院治療させてほしいと書かれてあった。
リスパダール 6mg
ニューレプチル 10mg
テグレトール 100mg
不安時リスパダール液2cc(=2㎎)
などの抗精神病薬が主体に処方されていたが効果が乏しく、幻覚妄想が活発であった。実は2年前の紹介状の時もできれば入院させてほしいと書かれていたので、その2年間はあまり良くない状態がずっと続いていたことになる。統合失調症は悪いと言ってもピンからキリまであり、一段階、更に悪化したためどうしても入院せざるを得ないと言えた。
彼女は新興宗教から捨てられた後、実家の近くの病院に入退院を繰り返していたが、長期的にはあまり芳しくはなかった。なぜなら幻聴が消失することがなかったからだ。最長の入院期間でも1年は超えていない。しかし頻回に入退院を繰り返していたし、まともに働けてはいなかった。そのうち障害年金も受けるようになった。
僕が彼女に初めて会ったのは、発病後既に20年くらい経っていた。当時、外来治療の状態だったので、入院していないだけマシとは言えたが、実情は悲惨だった。幻聴や被害妄想から隣家とトラブルの連続だったからである。
最も謎なことがある。
彼女はある時、わざわざ遠方まで心理療法家を訪ねて行き、治療を受けているのである。僕は心理療法士がプレコックス感などを診ることは無理だし、まあ初対面で一瞬で統合失調症と診断するのは難しいかもしれないとは思う。
しかし必ず病歴を聴くはずだし、幻聴や被害妄想があるのは自明だし、統合失調症のために障害年金まで貰っているのに、カウンセリング治療を引き受けたことが非常に謎なのである。彼女はその治療に旅費込みで60万円を遣ったらしい。1回のカウンセリング料は○万円だったという。
まさにカウンセリング詐欺だ・・
いくらなんでも、こういう人からお金を取らなくていいでしょう。
僕がその話を聞いた時、感じた事が2つ。1つは、やはり新興宗教にはまるような人は心に救いを求めているので、心理療法家に万能感を感じ、すがってしまうのかもしれない(参考)。その意味では彼女は2度、騙されている。
もう1つは、いったい、その心理療法家は何がやりたかったのだろうか?
ということ。
(続く)
参考
①新興宗教と統合失調症の話
②リスパダール8㎎でも悪いということ
③大事件
④統合失調症とバッチフラワーレメディ
新興宗教からみると、精神病を発病した人は自分達にとって役に立たないので捨てたと思うが、道義的なことを言えば、宗教であれば、このような人にこそ施しをしなければならない。
彼女の生来の性格を考慮すると、統合失調症に親和性があるとはいえなかった。むしろ、なるとすれば躁うつ病か非定型精神病だったと思う。そういう風に言えば、だいたいの病前性格がわかるだろう。(参考)
統合失調症は内因性疾患とは言え、単一な疾患ではないし、双子研究でも環境要因が関与していることが知られている(参考)。だから、そういう素因がほとんどなくても過酷な条件で発病するケースもありうる(参考)。僕はある女性が目の前で自分の双子がトレーラーに轢き殺され、統合失調症が発病した患者さんを知っている。その事件以後もう10年以上経っていたが、彼女は疎通性がほとんどなかった。話すら通じないのである。
最初に出てきた新興宗教の人は、最初1日だけうちの病院に受診した事があった。紹介状を持参しておりそれを読んだ後、待合室に座っている彼女と少しだけ話をした。
ところが、そのまま彼女はいなくなったのである。
だからこの日は初診にならない。ただ紹介状のみ残されただけだ。最初話した範囲では彼女の診断は統合失調症で間違いなかった。
それから2年後にひょっこり再診したのである。正確には初診であるが。その日はもう猶予できないほど悪化した状態であり、紹介状には医療保護入院でもいいのでぜひ入院治療させてほしいと書かれてあった。
リスパダール 6mg
ニューレプチル 10mg
テグレトール 100mg
不安時リスパダール液2cc(=2㎎)
などの抗精神病薬が主体に処方されていたが効果が乏しく、幻覚妄想が活発であった。実は2年前の紹介状の時もできれば入院させてほしいと書かれていたので、その2年間はあまり良くない状態がずっと続いていたことになる。統合失調症は悪いと言ってもピンからキリまであり、一段階、更に悪化したためどうしても入院せざるを得ないと言えた。
彼女は新興宗教から捨てられた後、実家の近くの病院に入退院を繰り返していたが、長期的にはあまり芳しくはなかった。なぜなら幻聴が消失することがなかったからだ。最長の入院期間でも1年は超えていない。しかし頻回に入退院を繰り返していたし、まともに働けてはいなかった。そのうち障害年金も受けるようになった。
僕が彼女に初めて会ったのは、発病後既に20年くらい経っていた。当時、外来治療の状態だったので、入院していないだけマシとは言えたが、実情は悲惨だった。幻聴や被害妄想から隣家とトラブルの連続だったからである。
最も謎なことがある。
彼女はある時、わざわざ遠方まで心理療法家を訪ねて行き、治療を受けているのである。僕は心理療法士がプレコックス感などを診ることは無理だし、まあ初対面で一瞬で統合失調症と診断するのは難しいかもしれないとは思う。
しかし必ず病歴を聴くはずだし、幻聴や被害妄想があるのは自明だし、統合失調症のために障害年金まで貰っているのに、カウンセリング治療を引き受けたことが非常に謎なのである。彼女はその治療に旅費込みで60万円を遣ったらしい。1回のカウンセリング料は○万円だったという。
まさにカウンセリング詐欺だ・・
いくらなんでも、こういう人からお金を取らなくていいでしょう。
僕がその話を聞いた時、感じた事が2つ。1つは、やはり新興宗教にはまるような人は心に救いを求めているので、心理療法家に万能感を感じ、すがってしまうのかもしれない(参考)。その意味では彼女は2度、騙されている。
もう1つは、いったい、その心理療法家は何がやりたかったのだろうか?
ということ。
(続く)
参考
①新興宗教と統合失調症の話
②リスパダール8㎎でも悪いということ
③大事件
④統合失調症とバッチフラワーレメディ