1日の服薬の仕方について | kyupinの日記 気が向けば更新

1日の服薬の仕方について

このブログでは、向精神薬の処方を表記する時、このように書いている。


リスパダール  2mg
エビリファイ  6mg  
デパケンR  600mg
ロヒプノール  2mg


こんな風に書いた場合、普通は1日に服用する量を示す。これだけだと朝、昼、夕、寝る前などにどのくらい飲んでいるのか読者の人にはあまりわからないと思う。この書き方は医師の習慣であるが、その人が1日にどのように分けて服用しているとか、あまり興味がないことも相当にある。僕は特にそうである。

だから質問をする時に、朝、昼、夕を分けて表記することは不要だ。特別なケース以外は。分けられると、計算しなくてはいけないのでかえってわかりにくい。

僕は、朝昼夕に3分服している人に、「朝に飲み忘れた時どうしたら良いですか?」と聞かれた時、「適当に他の服用時に一緒に飲んで下さい」と答えるか、「その日は忘れた分はもう飲まなくて良い」と答えることが多い。

もちろん、糖尿病やワーファリンなどの内科薬が入っていたりする時は別である。精神科の薬はいつ服用してもかまわないものが多いし、半減期が長いものが比較的多いために、1回くらい忘れたとしてもそう急激に変化が生じることは稀だからだ。

これは人間がそこまで精密機械にできていないということと、特に外来の患者さんのコンプライアンスは、医師が考えている以上に良くないことも考慮している。例えば、ナースや精神保健福祉士が訪問看護などに行った時、大量の飲み忘れの薬が発見されることは稀ではない。

厳密に考えていたのが、バカバカしくなる感じなのである。

実際、病棟でも長く入院している統合失調症の患者さんが、その日だけ拒薬するということがある。そんな日は、「今日は薬をお休みにしましょうか?」というO型的感覚。ずっと薬を飲んでいる人が、その日だけ飲まないからといって急激に変わるものでもない。ただ眠剤だけは急に飲まなくなると不眠になるケースも稀ではないのでこれだけは勧める。僕は治療者としてはそういうタイプなのである。

精神科の入院病棟は、1日1回であれ、3回であれ、毎回、間違いなく服薬しているというきわめて非日常的空間であることも考慮している。

セロクエルは半減期が短いため、なるべく分けた方が良いとされているが、これはもちろん量にもよるが、怪しいものだと思っている。

セロクエルは、D2受容体に結合してもすぐに離れてしまうところが特徴で、1日3回服用したとしてもたいして仕事なんてしていない。セロクエルは日本では統合失調症の人への投与量は平均300mgくらいらしい。この300mgについてアステラスは不満で、もう少し多めの量を処方してほしいと思っているようであるが、これは近年、アメリカでセロクエルの1日服用量が伸びていることがある(参考)。セロクエルは特に統合失調症の場合、多めに服用しないとインパクトが乏しいように見えることも無関係ではない。

セロクエルを少量しか処方しない場合、1回投与が良いか、あるいは3回にやはり分けた方が良いか非常に微妙である。なぜなら、少ない量を更に分服してしまうと、ある程度の高めのD2占有率まで1日に1回も到達しないことが想像できるからだ。(普通、70~80%のD2占有率が必要とされる)

それなら、1日に夜1回まとめて投与して、1日に1回だけダンクシュートを決める方が気が利いている。なぜなら、もともとセロクエルはたいして仕事をしないタイプの抗精神病薬だから。1日の中でも瞬間的でも高い濃度の時期を作った方が、ヒトの体に対しては存在感があるかもしれない。

本来、臨床的にはあのD2占有率の考え方自体、なんだろな?と言う世界ではある。処方する立場から見ると、あのD2占有率まで到達しないと効果がないという風には見えないからだ。この理論では、ルーラン1mgや2mgで素晴らしい寛解をしている人たちの説明がつかない。この話は過去ログでも出てくる。

そういうこともあり、分服する意味を考えるに、効果と言うより分散することで副作用を軽減するという面が大きい。それは催奇形性についてもそうである(参考)。だから、状況的に副作用に支障がないなら、1日1回まとめて服用でもかまわないと思っているのである。ここで、最初の文章に戻るのであった。

1日にどのように分けて服用しているとか、あまり興味がないことも相当にある。僕は特にそうである。