抗うつ剤の最小治療量 | kyupinの日記 気が向けば更新

抗うつ剤の最小治療量

時々、ドクターショッピングといった感じでうちの病院に患者さんが流れてくる。そんな風に来院するくらいだから、それまでの治療がうまくいっていない。特にうつ病圏の患者さんは、抗うつ剤の量が少なすぎて失敗していることが多い。これは、統合失調症圏とはかなり趣が異なる。

SSRI出現以前は、3環系抗うつ剤や4環系抗うつ剤の少量で漫然と治療されているというのが多かった。例えば、トリプタノール30mgで4年とか。こんな患者さんは、なぜかわからないけど、そのあと十分な治療してもなかなか良くならない。きっとあの30mg、4年が最悪だったんだろうと思ったものだ。時代は変わり、現在はSSRIに固執して失敗しているというのがわりあい多い。今はSSRIで決着がつくことが多いので、古い薬を使い慣れてないから、うまく使えないんだろうと思う。

何年か前だけど、ルジオミールを40mgくらいの人が来院した。この患者さん、最初は、今時、ルジオミールを処方する医師はそう多くないので、SSRIでうまくいかず行きがかり上そうなったかと思った。ところが、初診でルジオミールが40mg処方され、そのまま数ヶ月も治療の変更が行われなかったのである。これで効いているならまだわかる。効いていないのに、なんでルジオミール40mgなの?と言いたい。

この患者さんは、僕がその後治療して、トリプタノール主体でかなり良くなり、今は会社にも復帰してガンガン仕事をしとるよ。(トリプタノール100mg程度)別に、ルジオミールが悪いと言っているわけではない。ルジオミール40mgで効かないなら、速やかに漸増して150mgまでいかないと。いったん、ルジオミール100mgなり150mgで軽快し、漸減して40mgなら問題ない。だいたい、ルジオミールの10mg錠という剤型は必要ないと思う。うちはルジオミールは25mg、50mg錠のみ用意している。

モーズレイの精神科治療の処方ガイドラインには、抗うつ剤の最小治療用量の記載がある。おそらく、「最低限このくらい使わないとダメですよ」と、このような失敗をしないように丁寧に示しているのだろう。

【抗うつ剤の最小治療用量(1日量)】
アンプリット    140mg
3環系抗うつ剤   125mg
セレクサ       20mg (本邦未発売)
プロザック     20mg (本邦未発売)
デプロメール     100mg (=ルボックス)
パキシル       20mg
ジェイゾロフト    50mg


ミルタザピン    30mg(NSSA/NaSSA、レメロン)
モクロベマイド   300mg(RIMA、オーリックス)
レボキセチン     8mg(NRI/NaRI、エドロナックス)
ベンラファキシン   75mg(SNRI、エフェクソール)
下4つは本邦未発売


上の用量は西洋人のものなので、日本人の場合、もう少し低い用量と思われる。上の表を見ると、アンプリットは他の3環系よりも力価が低いことがわかる。3環系抗うつ剤なら、せめていったんは75~100mgまで増量して効果を見極めたい。少ない量で、しかも長期間放置というのは最悪と思うのである。