今まで。
あなたが“そこ”に居てくれたから、
私はあたたかい場所の中で生きていけた。
どんなときも。
たとえ外の雨風がどれだけ厳しいときにだって、
いつもその大きな背中で、いつも私たちを静かに守ってくれて
いたんだよね。
“台風”は、きっかけ。
あなたが倒れて、はじめて気づけることだっていっぱいある。
家の中に、とがった破片が入ってきそうな日には、
その手を一番に大きくひろげ。
じりじりと、焦げつくような痛い視線が注がれそうな日には、
さらにその背を高くのばし、両手をひらき影をつくり
私たちを守ってくれた。
今まで、気づかなくてごめんね。
その背に、今まで一体どれほどの暴風を受けてきたのだろう。
表面は、少しひんやりとしているけれど。
倒れてなお、脈々と内に流れるいのちを感じるよ。
もっと早く、気づけたらよかったね。
あなたは、“そこ”で幸せでしたか?
泣いたり笑ったりの、たくさんの家族の姿をそこで感じて、
あなたも一緒に微笑んでくれていたときはありましたか・・?
私は、あなたがいてくれてとても幸せでした。
今まで、本当にありがとう。
ずっと忘れないから、これからはあなたも永遠の安らかな地へ
旅立ってくださいね。
あなたがいなくなることで、
これからは私もいろんな風を直接受けていくけれど。
きっと“そこ”が空洞になることで、
その先の見通しはぐんとよくなるから・・
今まで、本当にありがとう。
まだあと少しだけ、その背にぬくもりを感じさせてくださいね。

