五百羅漢-増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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江戸東京博物館で開催されている話題の美術展…


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-五百羅漢展



“五百羅漢-増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信” に行ってきました。

チラシでは、5月29日までとなっていますが、

東日本大震災の影響で、会期に変更があったので、7月3日まで開催されています。

あと1ヶ月もありますので、まだ行かれていない方は、ご安心を。


こちらは、狩野一信の大作 《五百羅漢図》 を、

一挙にすべて公開するという、日本美術史上に残るであろう前代未聞の美術展です。

とにかく、スゴイ美術展。

・・・と言っても、何がスゴイのか??

そもそも、狩野一信とは誰なのか??

で、 《五百羅漢図》 が、何なのか??


たくさんの “?” マークが、皆様の頭に浮かんでいることでしょうから、

それらを片付けていくところから、今回の記事を始めることにしましょう。



まずは、狩野一信について。

狩野一信 (1816~63) は、幕末の江戸に生きた知る人ぞ知る絵師。

名前から、なんとなく想像が付いたかもしれませんが、

永徳やら芳崖やら山楽やらでお馴染みの狩野派に属する一人です。

伝統的な狩野派の技法を用いながらも、

当時、日本に伝わったばかりの西洋画的な陰影や遠近法も取り入れ、

まさに、一信ワールドとしか言い表せない独自の世界観を確立しています。



そんな一信が、晩年の約10年もの歳月を、

その制作にのみ費やしたと言われるのが 《五百羅漢図》

釈迦の弟子である羅漢を、

1幅の掛け軸に5人ずつ×100幅=計500人も描いたという壮大なスケールの作品です。

ちなみに、一信は、96幅まで完成させたところで、残念ながら他界。

そこで、残りの4幅は、妻や弟子によって補われ、完成に至ったのだとか。


この日本美術史上においても、

他に類を見ない 《五百羅漢図》 は、一信の死後、芝の増上寺に奉納され、

廃仏毀釈、関東大震災、戦火など、様々なピンチを奇跡的に乗り切ってきました。



そして、2011年―。

その奇跡の 《五百羅漢図》 全100幅が、

江戸東京博物館にて、一挙大公開されているのです!

こんな奇跡のような美術展が開催されたという事実だけで、

星星星

3ツ星でしょう。

これを行かずして、日本美術は語れません。



さてさて、作品を観た上でも、

やっぱり評価は変わらず3ツ星でした。

しかし、この上なく、疲れました。

何せ、1幅1幅のパワーが、ハンパではありません。


「神様、仏様、羅漢様、一信様。ちょっとは気を休ませてくだせぇ (>_<) 」


と、何度懇願したことでしょう (笑)



どれくらい1幅1幅にパワーがあるのか、

実際に、 《五百羅漢図》 の一幅をご覧頂きましょう。


《第22幅 六道・地獄》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《五百羅漢図》



こちらは、火炎地獄で苦しむ人々を羅漢が救うの図。

雲の上に、何にも乗っていますが、

頭にワッカのようなものがあるのが、羅漢。

そうでないのは、ただの人 (?) です。

この羅漢の見分け方は、全100福に共通するので覚えておきましょう。


まぁ、よくぞ、ここまで描き込んだというくらいに、執拗な描き込みがなされています。

色は、配置や調和を無視したようにエキセントリック。

羅漢の顔は、ヒーローとは思えず、もはや悪役かゴルゴ松本のような顔です。

この独特の世界観が、一信ワールド。

1幅観賞するだけで、いかに疲れそうか、おわかり頂けたでしょうか?



こんな感じの作品が、他にもズラリ。

全部を紹介できないので、気になったものをいくつか。


《第51幅 神通》



アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-五百羅漢



羅漢の神通力、つまり、ミュータントパワーを描いた一枚。

一番左の羅漢に注目です。

頭から何か出てます (笑)

水の無いところに、水を出現させる。

なんて、素晴らしい能力なのでしょう?!

・・・が、頭から出す必要性はありません。

一信の想像力 (妄想力) の非凡さが伺える作品です。


もう一幅、一信の妄想力爆発な作品を。


《第55幅 神通 (一部) 》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-五百羅漢



「フッフッフ…羅漢と思ったか。実は、菩薩だ」


というジェームス・ボンドもビックリなシーン。

こんな表現を幕末に思い付いていたことが驚愕です。

しかし、羅漢と思わせて、実は、菩薩。

こんなのが一体紛れていたということは・・・五百羅漢図ではなく、正確には、四百九十九羅漢図です。



《第61幅 禽獣》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-五百羅漢



こちらは、一角獣を手なづける羅漢の図。

一角獣の耳を掃除しています。

ちょっとイヤそうな一角獣の姿が、ユーモラスです。



当時の最先端だった西洋風の陰影表現を、

独学で学んで自分の絵に取り込んだ狩野一信。

そんな作品の中で、一枚だけ、


「これは、明らかに、やっちゃったなァ」


という作品を発見!


《第23幅 十二頭陀・節食之分》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-十二頭陀・節食之分



画面左下の男の子を照らすライト・・・ん?

光ではなく、影が放射されています。

どういう仕組みの機械なのでしょう (笑) ???




これ以外にも、イイ意味で、驚愕や苦笑に満ちた作品のオンパレード。

全100幅と対峙するのは、なかなかハードなので、

体力を万全にしてから、是非行かれてみてくださいませ。


最後に。

他にも、気になったことを箇条書きで。


 ・ドヤ顔している羅漢が多い

 ・三遊亭幸楽に似た顔の羅漢が5人はいた!

 ・スリッポンのようなもの (ナイキ製) を履いている羅漢が多い

 ・晩年に近づくに連れクオリティが低下→美術展の会場も適当になっていく





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