「陶器製手榴弾とニジギンポ」
東京湾の千葉県側でダイビングをしていたら、海底で珍しいものを見つけた。
一輪挿しのようにも見えるそれは、終戦間際に日本軍が作った「陶器製手榴弾」の外殻だった。
戦後70年もの間、海底でこれは眠り ニジギンポの住み家となっていた。
中身はすでになくなり、ザクロほどの大きさで、ずっしりと重い。
本来なら鉄でつくられる手榴弾だが、敗戦の色が濃くなり重大な金属不足に陥ったため、
こんな小さなものまで陶器で制作し代用したのだ。
千葉県でこれが見つかったという例はまだ一件も聞いていない。
このような鉄の代用で陶器やガラスが使われたものは、人々の暮らしにもたくさん登場した。
この陶器製手榴弾は実際に使われることなく、戦後大量に破棄されたもののひとつだろう。
どのような因果があったか計り知れないが、手にして観察してみるとかなり作りがよかった。
側面は均一なヘラの跡があり、うっすらと掛けられた釉薬が光沢を放っている。
地方の有名な窯元も戦争になったら、花瓶ではなく兵器を作らなくてはいけなかったのか。
そう思うと平和のありがたさを感じた。
「名も知らない陶芸家の無念を晴らす」というほどのものではないが、
私はこれを我が家の床の間に飾り、ほおずきを活けて眺めてみた。
※ニジギンポ…イソギンポ科の魚で、捨てられた空き缶などに好んで住み着く。
住み着いた缶からニジギンポを出そうとすると、高い確率で噛まれる。
小さな魚なのだが、犬歯が発達しておりとても痛い。
まー どう見ても花瓶だよねー。

