
日本語の「心」に当たる英語には、いろんな言葉があります。
mind(理性、考え), heart(感覚、感情), soul(魂、本質的な精神), spirit(活動的な精神)など・・・。
今日の内容は、 mind(理性、考え)と heart(感覚、感情)がキーワードとなります。
私たちは、一日中、無意識に考えていますよね。
頭の中を観察していると、さっきまで、ここでこう考えていると思ったら、気づくと、思考があっちこっちに飛んでいます。
本当に落ち着きがありません。
まるで「思考」は「猿」のように動き回るということで、英語ではこれを「モンキーマインド」と呼んでいます。
例えば、あなたが、外出するために部屋を出て玄関に行き、家の外に出てから車に乗って車道に出るまでのことを思い出してください。
「あれ、テレビ消したかしら?」「玄関の鍵は閉めたかな?」と、心配になったことは何度かあるでしょう。
部屋を出て車ででかけるまで、「テレビを消す」「鍵を閉める」といった動作を頭でしっかり確認していないのですね。
それじゃ、頭は何をしていたのでしょう?
別のことを考えていた訳です。
部屋を出るときは、「彼、今日のファッション気に入ってくれるかな・・・?」、
玄関を閉めるときは、「今日のデートはどこに連れてってくれるんだろう?」
などということが頭を占めていて、目の前の動作には集中していないのですね。
いつもやっている決まりきった動作をするときなどは、頭が別のことを考えていても、さほど問題ないことが多いです。
自分が「思考」している内容すら「自覚」できていなかったりするときもあります。
「思考」だけなら何の害もありません。
問題なのは、私たちがこの無意識の「モンキーマインド」によって、様々な「感情」や「気分」を感じているということです。
そのモンキーマインドの中には、自分自身を励まし、勇気づけ、心地よさを感じさせるものもあれば、自分自身を批判し、攻撃し、ストレスや不快感を感じさせ、パワーを奪うものもあります。
先のデートの例などは、心地良さを感じさせるものでしょうが、これが、彼から別れ話の電話があった後の外出だったら、モンキーマインドは嵐のような激しさを増すことでしょう。
思考や感情は繰り返すごとに癖になり、無意識のパターンになります。
ネガティブな感情やストレスを引き寄せやすくなります。
すると心と身体のバランスを崩し、だんだん自信も、元気も無くなってきます。
ところが、モンキーマインドをよく観察していると、「猿のようなマインド」によって生じる「感情」や「気分」は、マインドの渦の中にまぎれこんでしまい、あまり感じられていないことが分かります。
言い換えると、モンキーマインド(あちこち飛び回る考え)が、「感情」や「気分」に気づかせないように働いているとも言えるのです。
彼から別れ話の電話があった後、あなたの頭は、「冗談じゃない!」と言って混乱し始めます。
そして、部屋を出るときは、「とにかく彼と会って話をしなくては・・・」と考え始めます。
玄関を出るときは、「いや、会って喧嘩になってもまずいし、少し時間を置いた方がいいかな・・・?」と迷います。
車に乗り込んだとき、「ああ、もう嫌だ!このままどこかに行って憂さ晴らししようか!?」などと投げやりなことを考えたりします。
思考は一貫しません。
「彼と会って、その次どうする・・・」と順番に考えるたりする余裕はないのですね。
この間、モンキーマインドは、「悲しい」「不安」といった感情や気分を、頭をざわつかせることで隠してしまっているのです。
この「悲しい」とか「不安」、あるいは「嬉しい」とか「安心」といった感情を感じ取る心が「ハート(heart)」です。
モンキーマインドはこのハートを弱らせてしまうのですね。
それでは、このような状態のとき、どうすれば良いのでしょうか?
それは、できるだけ純粋にハートを感じることができる「心」を持つことです。
私たちは、「感情や気分が自分を混乱させてしまう」と考えがちですが、モンキーマインドが感情や気分を隠してしまうことが混乱の原因なのです。
感覚的なもの、感情的なもの、気分的なものを、あるがままに感じ取るハートを養うことができたら、それらが示しているものが何かを知ることができます。
彼から別れ話の電話があって生じた「悲しい」感情は、「別れることになっても構わないから、彼に会ってその悲しさを分かって欲しい、癒して欲しい」ということを示しているのかも知れません。
どうしようもなくやってくる「不安」は、「このまま彼のいない人生をきちんと過ごしていくことができるのか?」という自分への問い掛けなのかも知れません。
そういうことを、自分が自分の言葉ではっきりとつかみ取るのと、悲しい感情は「悲しい」まま、不安な感情は「不安」のまま、霧のように漂っているのでは、感情への向き合い方が違ってきます。
感情が示すものをきちんと意識し始めると、モンキーマインドをコントロールすることができるのです。
「私の“悲しい”感情は、“彼に会ってその悲しさを分かって欲しい”と言っている」と感じれば、思考も行動も定まりますよね。
このように、「いま、ここで」感じている感覚や感情を優先して、思考や行動をつくり出すことはとても重要なことです。
そのためには、モンキーマインドをうまく処理しなくてはいけない訳です。
人間の脳の機能からいって、モンキーマインドをなくすことはできませんが、それとうまくつき合う方法は、「アウェアネス(気づく力)」を高めるということになるでしょう。
モンキーマインドが頭を占めている状態では、「あ、今、思考がアチコチ騒がしい」などと気がつかないものです。
ましてや、「どんなことを考えているか」などと、客観的に自分の思考を見つめることはできません。
それができるようになれば、モンキーマインドをコントロールすることができるようになります。
あなたは「マインドフルネス」という言葉をご存知でしょうか?
マインドフルネスとは、「自分の身体や気持ちの状態に気づくための心のエクササイズ」です。
そのマインドフルネスの方法の1つに、「マインドフルネス瞑想」というのがあります。
以前、このブログでもご紹介したことがあります。
こちらのブログ記事です。
http://ameblo.mom/ymskmrsk1502/entry-12120301175.html
マインドフルネス瞑想をしていると、自分の「思考の癖」に気がつく瞬間に出会うと言います。
その「癖」とは、過去の失敗経験や、友人や親に言われた一言など、わざわざ頭の中で「過去のネガティブな記憶」を繰り返し再生させている思考の癖です。
さらに、自分や他人や社会を、まるで厳しい裁判官のように「良い」、「悪い」と裁き続ける心の在り方にも気づくようになります。
瞑想で、そんな「思考」の癖に気づいてからは、心がみるみる楽になっていくようです。
なぜなら、自分が嫌な感情を感じていることに気づいたら、「思考」を選び直すように練習していくからです。
瞑想中に湧いてきた思考に気づいたら、「あ、こんなことをまた考えている、私はこれが気になっているんだね・・・気づいたよ」と心で言って、その「思考」に気づいたら、手放していくようにします。
「気づいたら手放す」を繰り返す訳です。
不要な思考や感情を握りしめていることに気がついたら、その瞬間にゴミ箱に捨てる。
頭の中で自動再生されるネガティブ思考に気づいたら、それをすぐに手放し、その連鎖を止める。
自分を苦しめる執着に気づいたら手放す。
これをひたすら繰り返していくことが、マインドフルネス瞑想でやることです。
言ってみれば、「思考の断捨離」ですね。
瞑想によって、「アウェアネス(気づく力)」が高まり、「無意識」の思考パターンを「意識化」していくことで、ストレスやネガティブな感情の元になる自動的に湧いてくる「自動思考」が激減し、心がみるみる楽になっていくわけです。
一時期「断捨離」という言葉が流行りました(今も流行っているかも知れませんが・・・)。
不要なモノなどの数を減らし、生活や人生に調和をもたらそうとする生活術や処世術のことで、「やましたひでこ」という著作家が本で用いた造語です。
もともとは、ヨガの行法、「断行(だんぎょう)」、「捨行(しゃぎょう)」、「離行(りぎょう)」という言葉からつくられたもののようです。
ヨガの考え方を応用して、人生や日常生活に不要なモノを断つ、また捨てることで、モノへの執着から解放され、身軽で快適な人生を手に入れようとすることが「断捨離」です。
マインドフルネス瞑想は、このヨガの考え方と呼吸法と瞑想を取り入れています。
こういった呼吸法をともなった瞑想術を取り入れることは、モンキーマインドに翻弄させられる心から、ハートを取り戻す良い手法だと思います。
1990年代、アメリカのハリウッドのセレブ達の間でヨガや瞑想のブームが起きたり、現代でも、欧米人がヨガやマインドフルネス瞑想に高い関心を持ったりするのは、マインド(理性や思考)でガンジガラメになる現代文明から少しでもハートを取り戻したいという現れなのでしょう。
私は、文明によって肥大化していくマインドと、失われていくハートの話しを、時々戦争に喩えます。
ずっと昔、第一次世界大戦前までの戦争はどうだったでしょう。
鉄砲や大砲を用いたとしても、「人を殺す」という行為がどんなものか、おぞましい肌感覚で(ハートで)感じられていたと思います。
ところが、第一次世界大戦以降、飛行機や軍艦などの大型兵器や、殺戮現場を見ずに大量殺人を行う軍事技術が発達するにつれ、高度なマインド力が要請される一方で、ハートで「死への恐怖」を理解していくことが少なくなってしまいました。
原子爆弾のスイッチを押すだけで、人を殺すことの恐怖を感じずに、何千万の人々を殺すことができる時代になっているのです。
こんな大げさな例を出さなくても、身近にも例はたくさんあります。
会社で起きた何かの出来事で、心にかなり痛手を負った部下の話を聴いたとき、やたらと自分の経験やアドバイス話を持ち出す上司がいますね。
経験をもとにアドバイスを繰り出そうとするのはマインドです。
しかし、部下は、「ただ心の悩みをじっくり聴いてもらって、上司の反応と自分の気持ちの整理で心を癒したかった」という場合もよくあるのです。
これはハートの問題ですね。
マインド優先のビジネスの世界では、ハートの問題はややもすると軽視されてしまいます。
マインドが肥大化し、ハートが失われていくとは、こういうイメージなのです。
せまめて、心のマインドとハートぐらいは、バランスよく保っておきたいものですね。
電話で彼が別れ話を持ち出した時、「そう、分かったわ、もう会わないでおきましょう」と言ってあなたが電話を切ったとき、あなたはすぐに気持ちを切り替えられるでしょうか?
「仕方がない、次は健一くんにしようかな」と言って、「次の男」にすぐ乗り換えようとするとき、それを「思考の断捨離」と言わないでくださいね。
悲しみも、怒りも、辛さも何も感じなくて、すぐに「次の男を・・・」と思える女性がいたら、それはそれで、心の状態がかなりヤバイですよね・・・。
どうヤバイかというと、本当に感情が感じられない精神疾患になっているか、無理矢理自分の感情を押し殺して感じられなくしている可能性があります。
たいていは後者の方で、それが現代人の恋愛としてはカッコいいと思っている人もいます。
しかし、それは感情をごまかしているだけで、そうなると、本当に自分が好きなのが誰かも分からない「心の迷子」のまま、男あさり(女あさり)をする女性(男性)になってしまいます。
ある意味、人との関係は、別れたときの「悲しみがどれだけのものか」によって量ることができますよね。
それをスルーしてしまっては、人の重さが分からなくなるのです。
普通は、程度の差はあっても、悲しみや怒り、辛さを感じるはずです。
そして、その感情を何とか処理したくてモンキーマインドが動き始めます。
その時、すぐに瞑想をしようとする人はいないでしょう。
(いたら、手をとって「あなたはすばらしい!」と言ってあげたいです(笑))
まずは、悲しみや怒り、辛さをしっかり感じてください。
自己受容の第一歩です。
瞑想はしなくていいですから、「あ、私は悲しいんだね、怒っているんだね、辛いんだね・・・」と、感情に包まれている自分に語りかけてください。
モンキーマインドがざわつかないうちにです。
そんなこと、なかなかできないと嘆かなくていいです。
マインドフルネス瞑想などで、呼吸法と瞑想術を続けていくと、それがだんだんできるようになります。
悲しみの感情を受け入れることができたら、泣いてください。
怒りの感情を受け入れたら、思い切り、クッションでも本でも彼の写真でも投げてください。
叫びたかったら、叫んで彼氏をけなしてください。
ひとしきり、感情との向き合いが終わったら、「それからどうするか」を考えましょう。
それでも、まだ、悲しみや怒り、辛さは残っていると思います。
頃合いを見計らって、真剣に瞑想をしてみると良いでしょう。
傷ついた自分と向き合うのです。
うまくいけば、あなたをイライラさせたモンキーマインドといっしょに、彼氏も断捨離できるでしょう。
呼吸法を取り入れた瞑想術は、マインドで肥大化した心にハートを取り戻す素晴らしい方法です。
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