「さくら耳」猫の秘密 実はある目印…2万匹超の子猫殺処分を減らすために
2018.11.28
https://www.daily.co.jp/society/life/2018/11/28/0011856688.shtml
「さくら耳の猫」ってご存じでしょうか。片耳の先に少し切れ込みが入っていて、桜の花びらのような形になっているのです。彼らは野良猫なんですが、「地域猫活動」をしている人たちが管理しています。地域猫活動とは何なのか「Happy Tabby Clinic」の院長で、獣医師の橋本恵莉子さんに聞きました。
【地域猫活動って何?】
公園などで朝や夕方、決まった時間に猫にエサや水をやりにくる人を見たことはありませんか。まるで自分のペットのように、日照りの日も雨の日も雪の日もやってきます。エサは、むやみやたらに置いていくのではなく、その公園で暮らす地域猫の分だけ持ってくるのです。なかには、猫のトイレを持ってくる人もいます。もちろん、食べ終わったエサや器、トイレはきれいに片付けて帰ります。「いったい何をしているんだろう」と、不審に思う人もいるかもしれません。しかし、町や公園を汚さないようにエサや水を与えるのは、「地域猫活動」の一環で、人と猫が共生するのに欠かせない活動なのです。
【地域猫に不妊手術をする意味】
よく見ると、その猫たちの片耳は、桜の花びらの形をしています。これが、いわゆる「さくら耳の猫」。耳の切れ込みは、不妊手術をしている証です。地域猫の不妊手術は、地域猫活動をしている有志の人や、その活動に協力して、手術をしている獣医師たちの協力で成り立っています。
猫の繁殖力は強力で、あっという間に子猫の数が増えるのですが、不妊手術をすると一定数以上増えることはありません。手術を終えた猫を元の場所に戻すことで、他の地域からの猫の流入を防ぐこともできます。縄張りの習性を利用するのです。やがて、地域猫は自然に一生を終え、野良猫の数は次第に減っていきます。
日本では、毎年、何万匹もの犬や猫が殺処分されるのですが、特に、子猫の数が圧倒的に多く、平成29年度は、2万匹以上の子猫が殺処分されました。地域猫活動によって、その数を減らすこともできるのです。
【地域猫活動を温かく見守って】
なかには、こうした地域猫活動に眉をひそめる人もいます。「こういう人がいるから野良猫が減らないのだ」と。しかし、そうした冷たい視線を向けられると、真夜中に秘かにエサをバラマキにくる人が出てきます。ペットとして飼うでもなく、不妊手術をするでもなく、エサや水の入れ物は放ったらかし。管理されていない野良猫の数はどんどん増えていき、糞尿の臭いや食べ残したフードや容器も放置され、ゴミと化してしまいます。こうなってしまうと悪循環。猫にエサをやる人と、猫が嫌いな住民の溝が深まってしまいます。
ただ単にエサや水を与えるだけではない。人が野良猫たちをきちんと管理することで、猫と人が共生できる町づくりができる地域猫活動。猫に限らず、犬や鳥など、動物が暮らしやすい町は、人も暮らしやすいのではないでしょうか。(神戸新聞特約記者・渡辺陽)
◆橋本恵莉子(はしもと・えりこ)Happy Tabby Clinic院長。大阪府立大学農学部獣医学科卒業。2017年度不妊手術数…約1500匹。大阪ねこの会の一斉不妊手術に参加。保護猫シェルターにて感染症対策セミナー講演、松原市役所にて市民向け地域猫セミナー講演するなど精力的に活動。
◆渡辺陽(わたなべ・あきら)大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。
フェースブック(https://www.facebook.com/writer.youwatanabe)
~転載終了~
さくらねこ♥TNRとは
どうぶつ基金 https://www.doubutukikin.or.jp/activity/campaign/story/
Trap(トラップ): 捕獲すること
- 注意
-
- 猫がけがをしないように気をつける。
- 連絡先、目的など書いた張り紙をつける。
- 捕獲機を仕掛けている間、その場所から離れない。
- 猫が捕獲機に入ると速やかに布で捕獲機全体を包み込んで猫を安心させる。

Neuter(ニューター): 不妊手術のこと
- 注意
-
- 不妊手術済みの目印として、猫の耳先をvカットします。
- 全身麻酔がかけられているので、猫は痛くありません。
- 出血もほとんどないです。
Return(リターン): 猫を元の場所に戻す
- 注意
-
- 猫ボランティアさんは術後経過観測をすること
- 餌は置き餌をせず、猫が食べ終わるのを待ち、あとかたづけと掃除をすること。
- 捕獲もれの猫は速やかに捕獲してTNRを行う事。
さくらねこTNR(TNR先行型地域猫活動)とは

どうぶつ基金が2005年から動物愛護事業の基軸として行っている「さくらねこ無料不妊手術事業」は「飼い主のいない猫」に対し「さくらねこTNR(Trap/捕獲し,Neuter/不妊去勢手術を行い,Return/元の場所に戻す,その印として耳先をさくらの花びらのようにV字カットする)」を実施することで,繁殖を防止し,「地域の猫」「さくらねこ」として一代限りの命を全うさせ,「飼い主のいない猫」に関わる苦情や,殺処分の減少に寄与する活動です。
どうぶつ基金では,従来型の地域猫活動では、話し合いをしている間に猫の頭数が倍増してしまい、当初の予算では実施できなくなってしまうケースや、公園や大学など、いわゆる“地域”が無いケースが多くあることを鑑み,「TNR先行型地域猫活動 」の推進を行い,広義の地域猫活動等の活動支援を行っています。
目印はとっても大事
平成26年度のどうぶつ基金のさくらねこ無料不妊手術事業で、63匹の猫にみみ先カットの目印がなかったために、2度捕獲されました。
この猫たちは麻酔後みみ先カットを施し、元の場所に戻しましたが、猫にとっては捕獲や麻酔のリスクを2度も受けたことになります。
人社会の片隅で生きているノラ猫たちが生きていくためには、不妊手術を施し、これ以上増えないことを主張していく必要があります。
それには、だれが見てもわかる目印が必要になってきます。
それが、さくら耳(みみ先カット)です。
さくら耳にするのに痛くないの?
不妊手術をする時、麻酔が効いている間にします。 だから痛くないです。 出血もほとんどないです。 麻酔が覚めてからですが、動物は人間よりも痛みに鈍感だと言われています。
さくらねこ?
「さくらねこ」とは、不妊手術済みのしるしに、耳先をさくらの花びらの形にカットしたねこの事です。この耳のことを、さくら耳といいます。
猫や鳥など身近な生きものの命を尊重できるかどうかは、人間社会のバロメーター。
年間9万9千頭(平成25年度)を超える日本の殺処分数は、犯罪率や自殺率にも関連し、子どもへの影響も大きな社会問題です。殺処分ゼロを具体的に実現するには、猫ボランティアさん(猫にえさをあげ、お世話している人)たちに協力してもらって、捕獲器で捕まえ、協力獣医さんに不妊去勢手術をしてもらって、元の場所に戻すのが一番だと言われています。子猫を産まなければ殖えることもなく、殺処分する必要もありません。この時この猫は不妊手術済みですということが他の人にもわかるように、麻酔中にみみ先を少し切ります。みみ先カットは、命の尊重と「この猫のうしろには世話をする優しい人がいる」というしるしです。地域の中で生きていくみみ先が少し切られた猫は、きびしい現実社会にヒトの心の温かさを灯しています。

一代限りの命をやさしく見守って
不妊去勢手術の可視化にご理解を。
せっかく自由に生きているノラ猫を捕まえて、手術して耳まで切っちゃうなんて残酷な、という人もいます。でももっと残酷な殺処分十数万頭という現実が猫たちには迫っているのです。手間とお金在出してでも、猫たちに生きてほしいと思う人たちの心の現れ、「さくら耳のさくらねこ」。この思いが世の中で見えるようになることで、じっさいに殺処分される猫が減っています。
日本では一年間に2万1千頭の犬と7万9千頭の猫が行政に殺処分されています。(H26年環境調べ)
沢山の罪なき命が殺処分されています。どうぶつ基金では「さくらねこ無料不妊手術」によるTNRの実践や「いのちつないだワンニャンコンテスト」による啓蒙活動などを着々と実行し、真面目に殺処分ゼロを目指しています。
「さくらねこ」って、いつ誰が名付けたの?
2012年10月沖縄県石垣島で公益財団法人どうぶつ基金が行った大規模一斉TNRの時です。どうぶつ基金の理事長と石垣市長と雑誌「ねこ」編集長の会談の中で「さくらねこ」という呼称を発案して名付けられました。「さくらねこ」のお誕生日は石垣島の猫がもとの場所にリリースされた平成24年10月18日になります。
当時のことは平成25年2月1日発売の雑誌「ねこ冬号 #85 84ページ」に中村仁美編集長自らが記されています。
“リリースが終わった翌日の早朝、緑地公園に行くと、人懐っこいねこたちが出迎えてくれました。不妊手術が済んだ証として、オスねこは右の耳、メスねこは左の耳が、V字に切り取られています。その愛らしい耳は、まるでさくらの花びらのようです。どうぶつ基金では、不妊去勢手術した地域猫を「耳先カットねこ」と表現していましたが、今回の事業より「さくらねこ」と呼ぶことを決めました。石垣島で花開いたさくらねこの前線を北上させ、日本全国に官民協働のTNR活動を普及させたいという思いが込められています。
春号の取材で、編集部がサザンゲートブリッジを渡ってみたのは、身勝手な人間が作った悲惨な光景でした。今もまだゴミや落書きが散乱しているものの、優しい人々が咲かせたさくらねこを見ると、明るい未来を思い描くことができます。またいつか、石垣島を訪れたときには、幸せに年を重ねたさくらねこと再会できることを願います。“
以上「ねこ冬号 #85 84ページ」より引用
※中村編集長は当時どうぶつ基金のボランティアとして全行程に参加しながら取材を続けこの記事を書かれました。
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